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2017年 7月 19日 [ イベント ]
No.815:天下人・家康と尾張徳川家の栄光と時代を偲ぶ品々、富山県水墨美術館に
●国宝、重要文化財を含む約100点を展示
天下人として徳川幕府260年の礎を築いた徳川家康が遺した刀剣、武具、茶の湯道具、衣類など数多くの財産は、家康の九男義直(尾張徳川家初代)、十男頼宣(紀伊家初代、当時は駿河家)、十一男頼房(水戸家初代)のいわゆる御三家に分与され、「駿府御分物(すんぷおわけもの)」と総称された。
江戸時代、御三家筆頭であった尾張徳川家では、初代義直・二代光友によって収蔵品を拡大し、その遺産の多くが徳川美術館に引き継がれ、コレクションの根幹となっている。同館は、尾張徳川家十九代義親が大名文化を後世に残すことを目的に、昭和10年(1935)に名古屋に開館。1万件余りを収蔵している。
本展では、「徳川家康とその遺産」、「尾張徳川家の武と文」の2部構成で、徳川美術館の所蔵品から約100点を展示。天下人・家康ゆかりの品、家康の文武を受け継いだ尾張徳川家の初代義直・二代光友にちなんだ品々など歴史遺産を通じて、受け継がれてきた伝統文化を伝える。
関ヶ原合戦に勝利し、慶長8年(1603)に征夷大将軍として名実ともに天下人となった家康は、将軍職を三男秀忠に譲ったのちも、「大御所」として徳川幕府による全国統治を進め、大坂夏の陣で豊臣家を滅ぼし、元和2年(1616)4月17日、駿府城で75年の生涯を閉じた。徐々に戦乱が少なくなる時代とはいえ、大名家では戦闘に備えて軍備を整えていた。尾張徳川家の初代義直が二代光友と家臣に宛てた遺訓で武備の必要性を述べている。一方、徳川幕府の支配により身分制秩序が構築されていくなかで、治国のために学問を修めることにも重きが置かれ、文武兼備であることが理想とされた。本展2部の「尾張徳川家の武と文」では、至宝の数々からその精神をうかがい知ることができる。
●歴史ファン、刀剣女子必見!
本展では、照明を落とした空間に甲冑や刀剣などがずらりと並ぶ。「熊毛植黒糸威具足(くまげうえくろいとおどしぐそく)」は水牛の角を象った桐製黒漆の脇立が兜の両側に突き出した甲冑。胴、籠手などに熊の毛を貼り付けている。全身真っ黒の中に真紅の面頬が鮮やかで、奇抜な意匠が印象的だ。
「脇差 無銘 貞宗 名物 物吉貞宗」は家康の愛刀。帯刀して出陣すると、必ず勝利したことから「物吉」と呼ばれた。越中国ゆかりの名工の作も見逃せない。鎌倉時代中期に活躍した越中国の刀工・則重の手による「短刀 無銘 則重」は、異なる性質の鋼が斑に見える地文を特徴とする。「刀 無銘 郷義弘 名物 五月雨郷」は吉光、正宗と並んで名物三作として称賛された名工で、正宗の弟子で越中国に住んだと伝わる郷義弘の作。霧を思わせる地文に目を奪われる。
家康所用と伝わる「鉄線唐草蒔絵鉄薬研」は薬種を細かく粉状にすりつぶす道具。家康は薬種調合を独自に行っており、健康に気を遣っていた一面が垣間見える。
国宝「初音蒔絵小櫛箱(はつねまきえこぐしばこ)」は、三代将軍家光の娘・千代姫が尾張徳川家の二代光友に嫁いだ際に持参した「初音の調度」の1つ。化粧道具で甲盛の被蓋造りの器形に、両側面に紐金具が付いている。内用品は櫛5枚と壺櫛払2個。「初音の調度」は鏡台、貝桶、棚など蒔絵調度を中心に、染織・金工品など総計75件が国宝に指定されており、日本一豪華な嫁入り道具といわれている。8月1日(火)からの後期には、国宝「初音蒔絵乱箱」に展示替え。乱箱は蓋なしの浅い箱。手廻品・衣類を入れたり、整髪・化粧道具入れとしても使用された。
細板や針金状の銀を合わせた「真珠貝玉箱」は、葡萄の木をあらわす銀の透かし彫りが重ね付けられており、その上に金の花弁に抱かれた真珠140個余りが装飾されている。家康の所用品で、その後千代姫に譲られたと伝わる。
中国・南栄~元時代、浙江省龍泉窯で焼成された「青磁香炉 銘 千鳥 大名物」は石川五右衛門が豊臣秀吉の寝室に忍び込んだときに、蓋のつまみの千鳥が啼いたため、捕らえられたという伝説がある。
富山県水墨美術館では、「家康、義直、光友のゆかりの品を通して、戦乱の世から天下泰平の世に移る時代を感じ取ってほしい。刀剣や弓、矢を収める箙(えびら)をはじめ、家康着用の浴衣や足袋、湯たんぽなど、現代人が見ても分かりやすい品々も展示しました。鉈、鎌、鉞(まさかり)、松明などの実用品も並んでいます。ぜひ、鑑賞ください」と話している。
なお、本企画展のチケットを抽選でペア5組10名様にプレゼントします。プレゼント応募フォームに、プレゼント内容「水墨美術館企画展チケット」・氏名・郵便番号・住所・メールアドレス・電話番号・記事を読んでの感想をご記入のうえ、お送りください。<7月23日(日)締切。発表は発送をもって代えさせていただきます。>
- 問合せ
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●富山県水墨美術館
TEL.076-431-3719
FAX.076-431-3720
http://www.pref.toyama.jp/branches/3044/3044.htm