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2017年 3月 1日 [ イベント ]

No.796:初公開! 「国宝 法隆寺金堂 釈迦三尊像」再現像

 展覧会「法隆寺 再現 釈迦三尊像展―飛鳥が告げる未来―」が3月10日(金)~20日(月・祝)、ウイング・ウイング高岡(富山県高岡市)で開催される。高岡市、南砺市、東京藝術大学では、産学官連携で国宝 法隆寺釈迦三尊像の再現に取り組んでいる。高岡の鋳物技術、南砺・井波の彫刻技術を活用した地場産業活性化モデル。再現された釈迦三尊像や金堂壁画などを鑑賞できる貴重な機会。ぜひ富山県高岡市へ。

●高岡、南砺の地場産業、競争力強化へ


▲「法隆寺 再現 釈迦三尊像展
―飛鳥が告げる未来―」

 門外不出の釈迦三尊像の再現プロジェクトは、産(伝統工芸高岡銅器振興協同組合、井波彫刻協同組合)、学(東京藝術大学)、官(高岡市、南砺市)が連携し、平成27年度から始まった。科学的に限りなく同素材、同質のもので複製することにより、日本の芸術文化、地域の伝統技術の継承、歴史的美術工芸品の未来の復元技術の発信につなげるのが大きなねらいだ。高岡の鋳物、南砺の彫刻という伝統工芸技術を発信して貴重な文化財や美術品の複製、修復という新たな需要を取り込む。地場産業の高度な技術力を生かす成長分野となる可能性がある。

 法隆寺(奈良県)の金堂に安置される国宝・釈迦三尊像は、飛鳥時代の625年、日本最初の仏師とされる鞍作止利(くらつくりのとり)が聖徳太子の病気平癒を祈願して制作した。中央の釈迦如来像、左右の脇侍で構成されている。

 再現プロジェクトでは、東京藝術大学が法隆寺と文化庁から特別に許可を得て、釈迦三尊像の計測や金属分析などを行い、そこで得られた高精細な3Dデータを基に3Dプリンターで原型を作成した。これを用いて、伝統工芸高岡銅器振興協同組合の職人たちが鋳型を作り、三尊像と大光背を鋳造。井波彫刻協同組合の彫刻師たちが、1tの重みに耐えられる木製の台座を制作した。同大学では、鋳造した御像の造形を仕上げ、漆を塗り、傷なども再現。1300年の経年変化による古色風に表面処理を施した。門外不出の国宝 法隆寺釈迦三尊像。最新研究成果と、職人の経験と感性が相互に補い合い、より高いレベルでの歴史的資産の再現につながった。

 なお、東京藝術大学では2010年に模写や模刻の伝統技術に現代のデジタル技術を融合させ、高精度かつ同素材、同質感で文化財を複製・再現する技術を開発した。約400年の歴史がある高岡の鋳物技術は、世界遺産に登録されているスペイン・バルセロナにあるグエル邸の「龍の門」の鐘の復元に用いられるなど、歴史的記念碑や工芸品の修復・再現が期待されている。台座の木工、木彫を担当した南砺市の井波彫刻は、欄間や工芸品、各種インテリアなどにその技が生かされている。歴史的な木彫品の修復、復元などにもその技術が用いられており、現在名古屋城本丸御殿再建事業で、欄間7枚の再現に取り組んでいる。

●観覧無料、ぜひ高岡へ

 展覧会「法隆寺 再現 釈迦三尊像展―飛鳥が告げる未来―」(主催:400年を超える高岡市の鋳物技術と600年を超える南砺市の彫刻技術を活用した地場産業活性化モデルの構築・展開事業推進協議会)は3月10日(金)~20日(月・祝)10:00~18:00(入場17:30まで)、ウイング・ウイング高岡 4階ホール・ホワイエ(富山県高岡市末広町1-7)にて。観覧は無料。再現された釈迦三尊像と台座、金堂壁画(東京藝術大学で再現制作)が法隆寺の金堂に近い配置で展示される。このほか、3Dプリンターで制作された原型、鋳造工程で使用された石膏型なども展示。実際の法隆寺では金網越しの拝観で像の後方を見ることはできないが、この展示では釈迦三尊像の再現物を2mの距離で拝むことができる。像の裏側の銘なども見られる貴重な機会となる。


▲高岡の彫金師による彫金風景
(写真協力:飛鳥園)(左)
▲井波の彫刻師による彫刻風景
(写真協力:飛鳥園)(右)

 3月9日(木)のオープニング(17:45~)では、「内覧会」、「洋遊会と東京藝術大学のコラボレ―ションによる雅楽演奏」、伊東順二氏(本展キュレーター、東京藝術大学社会連携センター特任教授)、隈研吾氏(建築家、東京大学教授)らによる「トークイベント」が開かれる。11日(土)・18日(土)には、再現に携わった職人によるギャラリートークとして、「彫刻技術による釈迦三尊像の再現」<11日(土) 14:00~14:45>、「金工技術による釈迦三尊像の再現」<18日(土) 14:00~14:45>、職人による実演として、「台座を制作した彫刻師による実演」<11日(土)13:30~15:30 >、「大光背の光背銘を彫金した職人による実演」<18日(土)13:30~15:30 >がある。上記イベントへの参加は、事前申込みが必要。詳細はhttp://www.city.takaoka.toyama.jp/sanki/sangyo/shinsangyo/shakasanzon.htmlへアクセスを。

 同協議会事務局では、「門外不出の国宝 法隆寺 釈迦三尊像を同素材、同質感で本物そっくりに複製しました。再現された金堂壁画とともに初めて一般公開します。北陸新幹線(新高岡駅下車)でぜひお越しください」と話している。

問合せ
●400年を超える高岡市の鋳物技術と600年を超える南砺市の彫刻技術を活用した地場産業活性化モデルの構築・展開事業推進協議会 事務局(高岡市産業企画課内)
TEL.0766-20-1395
FAX.0877-20-1287
http://www.city.takaoka.toyama.jp/sanki/sangyo/shinsangyo/shakasanzon.html

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