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2016年 8月 24日 [ イベント ]
No.770:民謡の宝庫・富山へ、情緒漂う旋律と踊りに酔いしれて
●おわらの粋を肌で感じる初秋
人々が各地で唄い、踊り継いできた民謡は、長い歴史の中で大切に紡がれてきた貴重な文化遺産。県内には、美しい音色に合わせて流麗な踊りを繰り広げる「越中おわら節」や菅笠を手に勇壮に舞う「麦屋節」、狩衣の姿で楽器・ささらを手に踊る「こきりこ節」など全国に名高い民謡と祭が伝わっている。心地よい風に誘われて、風雅な調べを満喫する秋の始まりを……。
虫の音に近づく秋を感じる晩夏。越中八尾おわら風の盆前夜祭が8月20日(土)から富山市八尾町で始まり、おわら本番を待ちきれない大勢の観光客で賑わっている。11町のうち毎晩(20:00~22:00、雨天中止)、1町内(土・日曜は2町)で輪踊りや町流しを実施。20日(土)に下新町、21日(日)西新町、22日(月)今町、 23日(火)上新町を終え、24日(水)には福島(ふれあい広場・駅前通り)、25日(木)諏訪町(諏訪町通り)、26日(金)西町(西町通り)、27日(土)鏡町・西町(鏡町通り・西町通り)、28日(日)天満町・下新町(天満町通り・下新町通り)、29日(月)東新町(若宮八幡社広場・東新町通り)、30日(火)東町(東町通り)の順でスケジュールが組まれている。連泊して各町の踊りを見比べてみるのも前夜祭の楽しみ方だ。
前夜祭期間中、八尾曳山展示館ホールでは、おわら風の盆の紹介映像の上映や、おわらの踊り方解説、ステージでのおわら踊り観賞が楽しめる。28日(日)には、おわらのど自慢大会がホールで開催される。叙情豊かで、気品高い唄声を堪能したい。
「八尾よいとこ おわらの本場 二百十日を オワラ 出て踊る」――9月1日(木)~3日(土)の越中八尾おわら風の盆。いつもは静かな町も、ぼんぼりやまん幕で飾られ、3日3晩、おわら一色。わずか3日間で全国から20万人以上が訪れる。1日(木)・2日(金)は15:00~23:00、3日(土)は19:00~23:00、各町内の踊り場で町流し・輪踊りが行われる。また、八尾小学校グラウンドで開かれる「演舞会」も楽しみ。各町の踊りを椅子に座りながら一挙に観賞できるのが魅力といえる。
おわらが人を惹きつけるのは、胡弓、三味線が奏でる哀調の旋律と唄、そして洗練された優雅な踊りだろう。唄は、長い節を息継ぎせずに唄いあげ、余韻を響かせる。踊りには、種まきや稲刈りといった農作業の動きを手や指先を巻くように表現した豊年踊り、直線的な力強さとしなやかな動きで農作業の所作を表現した男踊り、夏の河原で女性がホタル取りに興じる姿を表現した女踊りの3種類がある。
男性の踊り手は股引に法被姿、女性の踊り手は浴衣姿。衣装の色や模様は各町で異なるため、その違いをみるのもおわらの楽しみ方だ。たとえば、福島の法被の背中には「福」の字に稲穂、今町は菅原道真公の「菅」の字と梅鉢紋、上新町は業平菱に夜桜。東町の浴衣は抹茶色の地に橙色の市松模様と花、帯は黒に金銀の市松模様。諏訪町の浴衣は薄い柿色の地に、袂と胴におわらの歌詞の染め抜き。西町の浴衣の裾には亀甲模様、東新町は薄い橙色に折り鶴の模様などを散らしている。石畳の坂道、石段、造り酒屋のたたずまい…各町を訪れ、風景を眺め、お気に入りの町を探してみるのもいいだろう。
●凛とした風格のある踊りに魅了
「麦や菜種は二年で刈るが 麻が刈られよか半土用に…」――9月17日(土)・18日(日)、南砺市の城端別院善徳寺、城端伝統芸能会館・じょうはな座をメイン会場に繰り広げられる城端むぎや祭。むぎや節は、屋島・壇の浦の合戦に敗れ、五箇山に隠れ住んだ平家の落人が慣れない山仕事や農耕をするなかで、都を偲んで唄い踊ったのが始まりとされ、刀を鍬や鎌に持ち替え、麦を刈るときに唄ったことから「麦屋節」の名称が伝えられている。紋付き、はかまに白たすき、腰に刀をさした若者たちが菅笠を持ち、男踊りを披露―哀愁を帯びた旋律と風格漂う踊りは、動と一瞬の静の融合が見事で、武士道の風格さえ感じさせる。
祭では、城端地区などの団体による舞台競演会・むぎや踊り競演会や、趣のある造り醤油屋の前の坡場(はば)の坂会場、揚羽蝶紋の白幕を備えた出丸町会場などでの街並み踊りをはじめ、ストリートパフォーマンスのコンテスト・じゃんとこいむぎや2016、菅笠の持ち方・回し方を習える踊り講習会、麦屋節コンクール全国大会、むぎや踊りパレード、総踊りなどが予定されている。
深まる秋とともに五箇山へ。五箇山麦屋まつりが9月23日(金)・24日(土)に下梨地主神社境内、こきりこ祭りが25日(日)・26日(月)に上梨白山宮境内で行われる。五箇山麦屋まつりでは、奉納「麦屋節」や正調「麦屋節」のど自慢コンクール、麦屋節踊り講習会、舞台競演、総踊りなどが組まれている。囃子ことばの「じゃんとこい じゃんとこい」が周囲の山々にこだまする秋の日を堪能しよう。
「こきりこの竹は七寸五分じゃ 長いは袖のかなかいじゃ」――平安時代の荘園開拓時に踊った田楽が起源とされるこきりこ節。烏帽子、狩衣の独特の衣装をまとい、ささら、筑子竹など、往時のままの珍しい楽器を鳴らしながら踊る。108の煩悩を表す木の板を麻縄で結び合わせた楽器・ささらがざざっと鳴れば、遠くいにしえの世に導かれる。こきりこ祭りでは、奉納こきりこ踊り、奉納獅子舞、こきりこ輪踊り、舞台競演会などが行われる。囃子ことばの「窓のサンサもデデレコデン はれのサンサもデデレコデン」を聴くと郷愁をそそられ、心が解きほぐされていくようだ。
- 問合せ
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「越中八尾おわら風の盆」について
●越中八尾観光協会
TEL.076-454-5138
FAX.076-454-6321
https://www.yatsuo.net/kazenobon/
「城端むぎや祭」について
●南砺市観光協会 城端観光案内所
TEL.0763-62-1821
FAX.0763-62-2346
http://www1.tst.ne.jp/johana-k/festival/mugiya/
「五箇山麦屋まつり・こきりこ祭り」について
●五箇山総合案内所
TEL.0763-66-2468
FAX.0763-66-2469
http://www.gokayama-info.jp/