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2012年 12月 12日 [ イベント ]
No.585-1:高志の国文学館 開館記念展第2弾!「富山が育んだ少年時代」
高志の国文学館の開館記念展第2弾となる「富山が育んだ少年時代―小説・漫画・映画が描く疎開少年の長い道―」が開幕した。入善町ゆかりの芥川賞作家、柏原兵三の小説「長い道」、同作を漫画化、映画化した「少年時代」と、3つの手法によって描かれた作品の魅力や作り手の思いを、直筆原稿やパネル、漫画の複製原画、写真、映画台本、ポスターなど約130点の展示を通して紹介する。来年2月25日(月)まで開催。
●富山の豊かな自然のなかで成長する少年たちの姿
高志の国文学館の開館記念展第2弾となる「富山が育んだ少年時代―小説・漫画・映画が描く疎開少年の長い道―」が開幕した。入善町ゆかりの芥川賞作家、柏原兵三の小説「長い道」、同作を漫画化、映画化した「少年時代」と、3つの手法によって描かれた作品の魅力や作り手の思いを、直筆原稿やパネル、漫画の複製原画、写真、映画台本、ポスターなど約130点の展示を通して紹介する。来年2月25日(月)まで開催。
小説「長い道」は、昭和19年から1年半、父の故郷・入善町に縁故疎開し、終戦後に帰京した柏原の自伝的小説。東京から疎開した少年が地元の子どもたちの複雑な葛藤に巻き込まれ、苦しみ耐えながら成長していく姿を富山の豊かな自然、風土を背景に描いている。
疎開体験をまとめた作品は、同世代の共感を呼び、漫画家の藤子不二雄A氏(※Aは○囲み:以下同じ)は原作に自身の朝日町への疎開体験を加えて漫画「少年時代」を執筆。田舎の疎開生活を臨場感溢れるタッチで表現するとともに、少年世界での権力闘争のドラマ、少年たちの愛憎を描いている。
漫画を映画化したのが映画「少年時代」。篠田正浩監督がメガホンを取り、山田太一氏が脚本を担当した。撮影は入善町、朝日町を中心に県内各地で行われた。原作のタイトルにもなった小学校へと続く長い1本道には入善町の農道が選ばれ、戦時中を再現するためにアスファルトがはがされ、片側に木の電信柱を連ねるという徹底ぶりだった。
●“少年時代にこそ人間の純粋な魂が光りかがやく!”
同展は“小説「長い道」―理想と現実”、“漫画「少年時代」―いじめ”、“映画「少年時代」―憎しみ、そして愛―”の3部構成。小説「長い道」の展示では、柏原の直筆原稿や日記、エッセー、講談社版「長い道」の表紙に使われた直筆の絵画などを紹介する。柏原自身の疎開体験が作品にどのような影響を与えたのか。いじめなどの普遍的な問題を思いながら直筆原稿を見てみたい。
漫画「少年時代」の展示では、「人はだれもが少年時代をとおる!その少年時代にこそ人間の純粋な魂が光りかがやく!―」と書かれた原画の複製を展示するほか、昭和53年の『週刊少年マガジン』(講談社)の連載開始号や単行本『少年時代』(講談社コミックス)なども展示。漫画には、富山の美しい風景を描いたコマが物語の随所に盛り込まれている。
映画「少年時代」の展示では、「子供が現われる映画は道徳的であった。つまり美談に包まれていたのである。柏原兵三は、その美談の仮面を剥ぎとり、少年も大人と同じ時代を生き、大人と同じ政治悪を行使することを、疎開という出来事に遭遇した子供たちから発見した―」とパネルで紹介された篠田監督の言葉や、「どの少年のキャラクターもよく描き分けられてなどという水準では少年の映画をつくる意味はなく、ひとりひとりがキャラクターをこえた存在であるような作品を目指しました。(中略)美しい富山平野の四季と少年たちの物語が現前せしめられたら、どんなに魅力のある映画になるだろうと、スタッフの一人であることを忘れて胸が熱くなります」と紹介された山田太一氏の言葉が印象的だ。
高志の国文学館では、関連講演会として、12月23日(日・祝)に「昔、学童疎開があった頃―柏原兵三と藤子不二雄Aの少年時代―」、来年1月13日(日)に「柏原兵三『長い道』、藤子不二雄A『少年時代』、篠田正浩監督『少年時代』」、2月3日(日)に「映画『少年時代』の少年捜し」を開催する。事前申込みは不要。受講無料。
また、企画展に合わせ、「私の少年時代」と題したはがき作品を県内外から募集中。子ども時代の記憶を文章、写真、絵(またはイラスト)のいずれかで表現。寄せられたはがきは、企画展の会期中に文学館内で展示される。締め切りは1月31日(木)。宛先は、〒930-0095 富山市舟橋南町2-22 高志の国文学館「私の少年時代」係。詳しくはホームページ(http://www.koshibun.jp/)にて。
問い合わせ
●高志の国文学館
TEL.076-431-5492
FAX.076-431-5490
http://www.koshibun.jp/