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2012年 4月 25日 [ イベント ]

No.554-2:―時に華麗に、時に勇壮に―5月、富山の祭に酔いしれて

薫風にのって聞こえてくるのは、典雅な祭囃子と歓声―。高岡御車山祭、福野夜高祭と、5月、県内では凛々しい男衆に曳かれた山車、曳山の登場する祭が続く。華麗な意匠に目を細め、また、曳山のぶつかり合いに熱い想いをたぎらせるひとときを。大切に守り伝えられてきた祭を堪能しよう。

▲高岡御車山祭(左)▲福野夜高祭(中央)▲越中八尾曳山祭(右)

●華麗な山車に、歴史絵巻を見る思い

 薫風にのって聞こえてくるのは、典雅な祭囃子と歓声―。高岡御車山祭、福野夜高祭と、5月、県内では凛々しい男衆に曳かれた山車、曳山の登場する祭が続く。華麗な意匠に目を細め、また、曳山のぶつかり合いに熱い想いをたぎらせるひとときを。大切に守り伝えられてきた祭を堪能しよう。

 5月1日(火)、高岡市・関野神社の春季例大祭「高岡御車山祭」(たかおかみくるまやままつり)が行われる。祭の起こりは、加賀藩祖・前田利家が豊臣秀吉から御所車を拝領し、二代当主で高岡開町の祖・利長が高岡の町民に与え、城下を曳き廻らせたのが始まりとされる。絢爛豪華な7基の山車が、山町筋(やまちょうすじ)~関野神社を巡行する。日本でも屈指の華やかな山車には、金工、漆工、染織など、高岡の名工たちの技と心意気が息づいている。また、山車の一番上につけられた、鉾留と呼ばれる飾りも印象的。通町(とおりまち)の山車は鳥兜、御馬出町(おんまだしまち)は胡簗(やなぐい)に弓矢、守山町(もりやままち)は五鈷鈴(ごこれい)、木舟町(きふねまち)は胡蝶、小馬出町(こんまだしまち)は太鼓に鶏、一番街通(いちばんまちどおり)は釣鐘、二番町は桐葉をそれぞれ飾る。4月30日(月・振休)は宵祭で、臨時山倉での山車のライトアップ展示も行われる。高岡御車山祭の御車山行事は、国の重要有形民俗文化財と無形民俗文化財の両方に指定されている。国内で両方に指定されているのは、高岡御車山祭、京都祇園祭の山鉾行事、高山祭の屋台行事、秩父祭の屋台行事と神楽、日立風流物の5件しかない。400年以上の伝統を誇る日本でも屈指の華やかな山車をぜひ観賞してほしい。

 5月1日(火)・2日(水)の「福野夜高祭」(ふくのよたかまつり)では、「ヨイヤサ、ヨイヤサ」の勇壮な掛け声とともに、御輿や宝船などをかたどった山車を飾った大行燈をはじめ、20数基の行燈が練り回る。夜空が行燈の鮮やかな灯で赤く染まるほど、南砺市福野の町は熱気に包まれる。祭は、350年ほど前、神明社の創建にあたって、伊勢神宮から御分霊を迎えた際に、町民が手に行燈を持って迎えたという故事に由来する。2日深夜には、互いの行燈を壊し合う引き合い(けんか)が行われ、祭のムードは最高潮に達する。4月30日(月・振休)は前夜祭、5月3日(木・祝)には曳山巡行がある。福野夜高行燈は昨年12月、フランス・リヨン市の光の祭典に参加。現地の人々を魅了した。

 おわら風の盆とともに富山市八尾町を代表する行事が5月3日(木・祝)の「越中八尾曳山祭」。極彩色の6基の曳山は彫刻、彫金、漆工、金箔も見事な二層式屋台山で、恵比寿神、菅原道真、在原業平・供女、深草の少将・小野小町などの人形がそれぞれのせられている。大黒天をのせた下新町の曳山は明治16年に造られ、大正10年に車輪を交換。今年、約90年ぶりに車輪が新調されたが、曳かれるごとにどんな軋みの音を聞かせてくれるか楽しみだ。曳山は、夜には趣のある提灯山車となり、坂の町を照らす―。

●県内各地に人々の熱い心が息づく

 5月4日(金・祝)・5日(土・祝)、南砺市城端で行われる「城端曳山祭」は、約300年の伝統を誇る優雅な祭で、国重要無形民俗文化財に指定されている。5日、御神像をのせた6基の山車が“越中の小京都”といわれる趣のある町を練り歩く。京都祇園の一力茶屋などを模した精巧な庵屋台がそれぞれの山車を先導。庵屋台の中では、笛、三味線の音色にのせて、庵唄が唄われる。曳山会館前での庵唄披露では、カラクリ人形の所作も観賞できる。曳き手が一気に山車を反転させる出丸坂での引き返しも見もの。なお、4日は宵祭で、御神像のない曳山と庵屋台が各町内で展示される。各山宿に飾られた御神像をめぐる時間も楽しみたい。

 「伏木曳山祭」(高岡市伏木)は“けんか山”の異名を持ち、港町ならではの威勢のよさと心意気、情熱に溢れる祭。5月15日(火)、6基の山車が、昼は花山車、夜は提灯山車として曳き回される。最大の見せ場は、大地に響く山鹿流出陣太鼓の囃子とともに、地鳴りを立てて山車と山車が何度も激しくぶつかり合う“かっちゃ”。勇壮なぶつかり合いに曳山を飾る提灯が揺れ、歓声とどよめきがあがる。

 5月17日(木)・18日(金)、富山市岩瀬を舞台に繰り広げられる「岩瀬曳山車祭」(いわせひきやままつり)も港町ならではの熱い心に満ちている。見どころは曳き合い。“たてもん”と呼ばれる判じ絵の飾りを取り付けた曳山車(12基)を激しくぶつけ合う音と、威勢のいい浜っ子たちの掛け声が港町を熱く揺さぶる。動きのある祭だが、巡行途中、運河の水面に映るたてもんの明かりに静的な美しさを感じる祭でもある。

 爽やかな風と美しい旋律に誘われて、県内各地へ。時に華麗に、時に勇壮に繰り広げられる祭に酔いしれるひとときを。きっと忘れられない思い出となるだろう。

▲城端曳山祭(左)▲岩瀬曳山車祭(中央)▲伏木曳山祭(右)


問い合わせ
「高岡御車山祭」、「伏木曳山祭」について
●高岡市観光交流課
TEL.0766-20-1301
FAX.0766-20-1496
http://www.city.takaoka.toyama.jp/sangyo/0402/kankou/index.html

「福野夜高祭」について
●福野夜高祭連絡協議会
TEL.0763-22-1120
●南砺市観光協会 福野支部
TEL.0763-22-8700
FAX.0763-22-4317
http://www12.ocn.ne.jp/~fukuno/

「越中八尾曳山祭」について
●越中八尾観光協会
TEL.076-454-5138
FAX.076-454-6321
http://www.yatsuo.net/kankou/

「城端曳山祭」について
●南砺市観光協会城端観光案内所
TEL.0763-62-1821
FAX.0763-62-2346
http://www.johana-toyama.jp

「岩瀬曳山車祭」について
●富山市岩瀬地区センター
TEL.076-437-9715
http://www8.city.toyama.toyama.jp/kanko/

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