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2011年 10月 26日 [ イベント ]
No.529-1:特別展「とやまの貝塚」、縄文人骨一体を展示
特別展「とやまの貝塚~貝塚からみえてくる縄文人の姿と生活」が富山県埋蔵文化財センター(富山市)で開催されており、考古学ファンの話題となっている。縄文時代前期の人骨など、小竹貝塚(富山市)で出土した遺物を速報として展示。土器や装身具なども並び、縄文人の暮らしぶりがみえてくる。12月1日(木)までの会期で、入場無料。
●貝塚は“生活ゴミの廃棄場”
特別展「とやまの貝塚~貝塚からみえてくる縄文人の姿と生活」が富山県埋蔵文化財センター(富山市)で開催されており、考古学ファンの話題となっている。縄文時代前期の人骨など、小竹貝塚(富山市)で出土した遺物を速報として展示。土器や装身具なども並び、縄文人の暮らしぶりがみえてくる。12月1日(木)までの会期で、入場無料。
貝塚とは、人が食した貝の殻が堆積したもの。貝殻のほか、食料としていた魚や動物の骨、土器や石器なども混じっている。いわば、貝塚はそこに住む人々の“生活ゴミの廃棄場”ともいえる。大量に投棄された貝殻などのカルシウム成分によって、土壌がアルカリ性を保ち、通常の遺跡では酸性土壌で腐ったり、溶けてなくなってしまうような骨、木器などが残る。
小竹貝塚は、約6000~5500年前の縄文時代前期の貝塚。規模は東西120m、南北190m以上になると推測され、貝が最大で約2mに堆積。約500年間にわたって形成されたと考えられている。平成21年・22年、(財)富山県文化振興財団によって発掘調査が行われ、大規模な貝塚とともに、竪穴住居や人骨71体などが出土した。縄文時代前期の人骨が見つかった例として、国内の遺跡の中では最多。人骨を分析することで、埋葬された集団の関係解明に期待が高まっている。日本側はもともと貝塚が少ないとされてきた地域だが、小竹貝塚はその定説をくつがえした。多くの遺物によって、縄文時代の生活ぶりを探る、大きな手がかりになる。
小竹貝塚では、貝層の中から70基以上のお墓が見つかった。なぜ“ゴミ捨て場”に亡くなった人を葬ったのかという疑問が湧いてくる。これについて、同センターでは、縄文時代の長い時間的な感覚で考える必要があるという。貝殻が捨てられた場所は数年も経てば、土砂が積もる。世代を超えれば、“ゴミ捨て場”であったことすら知らずに新しい墓を作ったとも推察できる。
●人骨に虫歯や関節痛の痕
「とやまの貝塚」で展示中の人骨一体は、20代男性のもので、頭から胴体、手足まで全身の骨格がよくわかる。身長は160cm台後半で、当時としては大柄。筋肉の付き具合もよかったとみられ、動物や魚などを主食にしていた採集狩猟民の特徴を表わしている。上顎歯に虫歯があり、左足指に関節痛の痕があることもわかっている(国立科学博物館人類研究部所見)。この一体のほかに、骨折の痕がある大腿骨や、磨り減って表面が平らになった女性の下顎歯も展示されている。
女性といえば、縄文人はおしゃれだったといわれる。小竹貝塚からも石製けつ状耳飾、石製垂飾品、貝輪、骨製笄、土製耳飾などのアクセサリー類が出土している。また、漆や朱、ベンガラを塗った土器なども発見されている。
現代では空前のペットブームだが、イヌなどはいたのだろうか。小竹貝塚からは、イヌの骨が頭から尻までほぼ完全な形で出土。縄文人の墓のそばに丁寧に葬られていることが多い。これは、イヌが食料ではなく、狩猟犬、愛玩犬として縄文人と一緒に生活し、丁寧に扱われていたことを示している。このほか、イノシシなどをかたどった土器や土製品もあり、縄文人が動物に親しみをもって接していたことがわかる。
同展では、氷見市上久津呂中屋(かみくづろなかや)遺跡など富山県内の貝塚や、新潟県、石川県、福井県など北陸沿岸の貝塚の資料、出土品も紹介されている。貝塚からは土器がたくさん出土する。時代によって独特の形や文様をしており、土器を調べることで他の地域との交流や移動を推測することができる。このほか、弓矢や槍の先に付ける石鏃や石槍、磨製石斧、木製品、骨角器(釣針)などの展示もある。
富山県埋蔵文化財センターでは、「貝塚は縄文時代の生活ぶりをいきいきと物語る遺跡。小竹貝塚や上久津呂中屋遺跡などから出土した舟材は北陸沿岸でも発見されており、漁労や移動の手段を証明しました。特別展では、人骨や木製品が残るわけや、貝層の中になぜお墓があるかなど、貝塚の謎をひも解きます。約1/500の小竹貝塚復元想像ジオラマも設けました。展示を通して、縄文人の息吹を感じてください」と話している。
問い合わせ
●富山県埋蔵文化財センター
TEL.076-434-2814
FAX.076-434-2859
http://www.pref.toyama.jp/branches/3041/top.HTM