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2009年 5月 13日 [ トピックス ]
No.403-1:黒部の魅力発信へ! 観光振興への新たな取り組み
黒部峡谷から黒部川扇状地、富山湾までの豊かな自然に恵まれ、世界規模で事業を展開する国際企業の技術拠点ともなっている黒部市。黒部ダム建設の苦闘を描いた映画「黒部の太陽」が再び脚光を浴びるなど、いま“黒部”に新しい風が吹いている。新しく誕生した産業観光施設の一般公開や観光振興への取り組みなど、話題盛りだくさんの黒部の観光を紹介。
●産業観光施設・YKKセンターパーク、一般公開
黒部峡谷から黒部川扇状地、富山湾までの豊かな自然に恵まれ、世界規模で事業を展開する国際企業の技術拠点ともなっている黒部市。黒部ダム建設の苦闘を描いた映画「黒部の太陽」が再び脚光を浴びるなど、いま“黒部”に新しい風が吹いている。新たに誕生した産業観光施設の一般公開や観光振興への取り組みなど、話題盛りだくさんの黒部の観光を紹介しよう。
世界70の国と地域でファスナーと建材の製造・販売をはじめとした事業を展開しているYKKでは、黒部市吉田の黒部事業所内に水と緑、森、展示館などで構成した「YKKセンターパーク」を整備し、一般公開を始めた。同パークは工場敷地の一部76,600平方mに、ヤマザクラやエドヒガンなど14種180本のサクラが楽しめる「さくらの森」、黒部川扇状地に生育していたシラカシ、クルミなど20種20,000本を植樹し、地域植生の再生を目指す「ふるさとの森」、YKKで最も歴史のある工場を再生させ、ものづくりへのこだわりや技術の歩みを紹介する「丸屋根展示館」、創業者・吉田忠雄の思想や足跡、事業哲学「善の巡環」を紹介する吉田忠雄記念室・展示ホール・国際会議場などの多機能施設「YKK50ビル」が点在している。広大な敷地に目に鮮やかな芝と樹木、純白のモダンな展示館‥‥まさに緑のパークといった趣きだ。
なかでも注目は、昭和33年、ファスナー原材料となる良質な綿テープ糸を製造するために建設された紡績工場の一部を保存・活用した「丸屋根展示館」。品質へのこだわりや技術の歩みについて、製品、材料、加工、生産、製造の分野別に紹介されており、ファスナー分野で米国市場での成功のカギとなったジーンズ用ファスナーの開発など、興味深い展示内容となっている。館内では、ファスナー手作り体験(所要時間30分、料金500円)にも挑戦できる。出来上がったファスナーを記念に持ち帰ることもできるので、ぜひ体験してみたい。見学後は、カフェ・ボンフィーノでブラジルの農園から直送された豆を使った香り高いコーヒーを味わいながら、芝のパークを眺める癒しのひとときを。
同パークは事前予約なしで施設内を自由に見学できる。4~10月は毎日、11~3月は平日の9:00~16:00まで開園。入場無料。また、「YKKツアーズ」の産業観光メニューとして、専用バスで工場内を巡る「ファクトリーツアー」(予約不要)、ガイドによるパーク内の展示施設の案内とファクトリーツアーを組み合わせた「パックツアー」(予約要)も設けられている。
同パークは、黒部市と富山地方鉄道が運行する「黒部市産業観光シャトルバス」のルートにもなっている。シャトルバスは、北陸新幹線の開業をにらみ、広域観光ルートの開発や滞在型観光メニューの充実につなげることを目的に運行。電鉄黒部駅を起終点に、JR黒部駅、魚の駅「生地」を経て、YKKセンターパークで折り返すルートで、1日4往復。7月18日(土)~8月23日(日)は、富山湾を横断する観光船の実験運航(氷見~黒部)との連携を図るため、1日5往復に増便される。
●新川育成牧場やトロッコ電車で“黒部”の魅力を体感
黒部市宇奈月町の標高240~424mの高台に位置し、眼前に北アルプス・僧ケ岳、眼下に黒部川扇状地、富山湾の絶景が広がる新川育成牧場。ブラウンスイス、ジャージー、ホルスタインの3品種の乳牛などを飼育し、新鮮なミルクから生まれるソフトクリームやジェラート、プリン、お菓子などを牧場内の直営店「うしのいえMOOガーデン」で販売。毎年グリーンシーズンには大勢の観光客やファミリーで賑わいを見せる。
牧場では、施設の魅力アップを図るため、これまでイベント開催時などに限定してきた牛舎体験を今春から毎週日曜に実施変更し、気軽に体験できるようにした。体験(予約)は、実際に牛舎に入り、職員の手ほどきを受けながら、乳牛の乳を搾るもの。開始時間は10:30で、所要時間60分。体験料630円で、体験後はハウスミルクが味わえる。このミルクは、65度で30分低温殺菌したノンホモタイプ(無均質)。上部にクリームラインと呼ばれる脂肪層があらわれるが、これが自然で新鮮なミルクの印。ジャージーは脂肪が多く、ミルクが濃いなど、乳牛によって味が異なるのが特徴だ。
また、手作り体験(予約要)も充実。牧場のミルクを使ってアイスクリームやバター、カッテージチーズなどを作ったり、黒部の名水ポークを使ったソーセージづくりも体験できる。牧場では、毎年12月下旬から3月下旬まで休業していた「うしのいえMOOガーデン」の通年営業にも取り組む。今後、冬場の観光客の受け入れ態勢を整えていく考えだ。
5月1日に宇奈月~欅平間20.1kmが全線開通した黒部峡谷鉄道の話題を紹介しよう。今シーズンの大きなニュースは、トロッコ電車の車内放送のナレーションが一新されたことだ。担当したのは、富山県出身の女優・室井滋さん。「雄々しく神秘的な黒部峡谷の大自然は故郷富山の宝物。そして日本一深いV字峡谷を縫うように走る小さなトロッコ電車は子どもの頃から大好き」という室井さんはナレーションの収録に備えて、昨年10月にトロッコ電車で黒部峡谷の旅を改めて体験。用意された原稿は、大幅に手直しされて室井調に仕上がった。
鐘釣駅のナレーションでは、「まもなく鐘釣です。こちらで降りられる方、行ってらっしゃいませ!また後でご一緒しましょうね。降り口は左側です」、宇奈月駅到着時には「季節によって表情を変える黒部峡谷が皆様の再びのお越しをお待ちしております。ご案内は、室井滋でした。また、ご一緒できる日を楽しみにしていますね。私、ここでずっと待ってますから!ありがとうございました」と締めくくる。
室井さんは、5月1日に宇奈月駅で開催された「黒部峡谷オープニングフェスティバル」のセレモニーに出席し、欅平に向けて出発する乗客らを着物姿で見送った。春の新緑、夏の涼風、秋の紅葉と、めくるめく季節のなかをトロッコ電車、室井さんの声と一緒に冒険旅行に出かけてみるのも楽しい。
また、沿線10駅の駅名板のデザインが新しくなったこともお伝えしよう。トロッコ電車のロゴマークをレイアウトし、黒部峡谷の自然をイメージした路線地図で駅の位置と標高が一目でわかるようにデザインされている。駅名板をバックに写真撮影し、黒部峡谷の旅の思い出を深めてみるのもいいだろう。
問い合わせ
「YKKセンターパーク」について
●黒部ツーリズム(株)
TEL.0765-54-8181
FAX.0765-54-4891
http://www.ykkcenterpark.jp
「新川育成牧場」について
●新川育成牧場
TEL.0765-52-2604
FAX.0765-52-3925
http://www.moo.or.jp
「トロッコ電車」について
●黒部峡谷鉄道・営業センター
TEL.0765-62-1011
FAX.0765-62-1724
http://www.kurotetu.co.jp/