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2009年 1月 14日 [ トピックス ]

No.386-2:富山湾の海水で育った“近大・堀岡トラフグ”の鍋に舌鼓


 近畿大学水産研究所富山実験場と堀岡養殖漁業協同組合(射水市海竜町)は、富山湾の水深100mから汲み上げた清浄な海水を使用して育てた養殖トラフグ「近大・堀岡トラフグ」のブランド化を図るため、「鍋セット」の販売を始めた。

●天然物のような締まった身、淡白な味わい

 近畿大学水産研究所富山実験場と堀岡養殖漁業協同組合は、富山湾の水深100mから汲み上げた清浄な海水を使用して育てた養殖トラフグ「近大・堀岡トラフグ」のブランド化を図るため、「鍋セット」の販売を始めた。同実験場と堀岡養殖漁協はこれまでヒラメやアワビなどの養殖で“産学連携”しており、高級魚・トラフグの養殖を新たな事業として育てていく考えだ。

 同実験場は、平成17年からトラフグの養殖に取り組んでおり、現在5万匹を育てている。富山湾に回遊してきたトラフグから採卵して人工受精させた後、生まれた稚魚を富山湾の海水を入れた水槽で養殖。約3年で体長30cm以上、体重約1~1.5kgになり、今冬本格出荷を迎えた。水槽の海水温度が低温のため、他県産に比べて成長は1年ほど遅くなるが、天然物のように身が締まっているのが特徴。生まれてから出荷するまで、適正な水温や飼料など厳しい管理のもと時間をかけて丁寧に育てられた、安全・安心で美味しさを探究した養殖トラフグといえる。

 鍋セット(4人前)は、トラフグ一匹をさばいて仕上げたもので、切り身(約300g)、あら(約350g)、皮刺し身(約100g)、ひれ(約8枚)、特製ポン酢、きざみあさつき、もみじおろしがセットになって、価格は8,800円(レシピ集付き)。切り身とあらは鍋に、皮刺し身はポン酢をつけてそのまま味わう。ひれは、火で炙った後に熱めの日本酒に入れてひれ酒。つくり置きせず、注文が入ってから料理人が丁寧にさばくため、今冬300セット限定の予約販売のみとなっている。他県産の養殖物に比べて安く提供し、販売の拡大につなげる。(送料別で宅配も受け付けるが、生もので要冷蔵扱いのため、翌日着とならない地域への発送はできない。)

●富山湾の海水でオスの発生率アップ

 近畿大学水産研究所富山実験場と堀岡養殖漁業協同組合は昨冬、実験段階ながら「近大・堀岡トラフグ」を県内の割烹や居酒屋など料理店に出荷した。天然並みの素材の良さや、天然物に比べて割安な価格から、料理店や一般客から高い評価を得た。今冬、販売が始まった「鍋セット」も「淡白な白身が美味」などと好評のようだ。

 さて、トラフグといえば、オスの白子(精巣)が珍重されるが、同実験場ではオスの発生率を8割以上にする画期的な養殖技術を確立していることも特筆すべき点だ。天然のトラフグの場合、オス、メスの発生比率は半々くらいだが、富山湾の海水を使い、水温、栄養素など一定の条件を整えることで、オスの発生率を高めることができるという。それは、富山湾の海水が清浄なことや、海水に含まれるミネラルのバランスがいいこと、水温が低いことなどが関係しているためと考えられている。

 同実験場の服部亘宏技術員は、「富山湾の清浄な海水で育った美味しいトラフグを多くの人に味わってほしい。将来的に出荷数を増やし、刺し身や白子なども一般販売できるような体制をつくりたい。今後も地域に根ざし、貢献できる研究を進め、地域の産品として流通にのせられるようなモデルをいろいろと構築していきたい。現在、富山湾で水揚げされるマコガレイの養殖にも取り組んでいる。トラフグとともに富山湾の新たな名物になれば」と話している。



問い合わせ
「近大・堀岡トラフグの養殖」について
●近畿大学水産研究所富山実験場
TEL.0766-86-2111
FAX.0766-86-2772
http://www.kindai.ac.jp/

「近大・堀岡トラフグの鍋セット販売」について
●堀岡養殖漁業協同組合
TEL.0766-86-4240
FAX.0766-86-4241
http://www.jf-horioka.net/

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