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2010年 9月 29日 [ トピックス ]

No.474-2:読書の秋に、ふるさと富山の本はいかが?「すすめたい ふるさと とやま 100冊の本」


 ふるさと教育を推進している富山県では、富山にゆかりのある文学作品や富山を舞台にした物語などから、小中学生、高校生向けに合計100冊を選定したブックリスト「すすめたい ふるさと とやま 100冊の本」を作成した。県内各校に配布したほか、県ホームページ(http://www.pref.toyama.lg.jp/cms_sec/3009/kj00008053.html)でも紹介している。


●児童・生徒にすすめたい100冊の本を選定

 四季折々の美しく豊かな自然や風土のなかで、たくさんの民話や物語、文学が生まれてきた富山。ふるさと教育を推進している県では、富山にゆかりのある文学作品や富山を舞台にした物語などから、小中学生、高校生向けに合計100冊を選定したブックリスト「すすめたい ふるさと とやま 100冊の本」を作成した。県内すべての小・中学生、高校生及び教員に配布したほか、県ホームページでも紹介している。

 100冊の本の選定にあたり、県教育委員会では県内の小・中学校、高等学校及び特別支援学校にアンケートを実施。児童・生徒、教員からの推薦を含めたアンケート結果を踏まえ、県子ども読書活動推進会議が100冊を選定した。ふるさと文学を通じて、ふるさとの歴史や文化を学び、先人の心や優れた知恵を知ることは、大きく変化する時代を生きるための心のよりどころとなる。県では、ブックリストを手がかりに、児童・生徒が読書活動を深めること、自分とふるさと、そしてこれからの人生について考えることを期待している。

 ブックリストはA4版8頁で、小学生編40冊(低学年10冊、中学年16冊、高学年14冊)、中学生編16冊、中学・高校生共通編28冊、高校生編16冊、合計100冊の本が紹介されている。各編が絵本、読み物、詩・歌、知識の4種類にジャンル分けされていることも特徴だ。
 
●本から富山を学ぶ、富山の魅力を知るきっかけに

 選定図書をいくつか紹介しよう。小学生編の『カモシカとしょかん』(魚瀬ゆう子/文)は、ニホンカモシカのカーモ君が楽しそうな子どもたちを見て、図書館へやってきた様子を描いた絵本。県東部・舟橋村にある舟橋村立図書館にカモシカが飛び込んできた実話を元にしたものだ。『とべないホタル』(小沢昭巳/文)は、羽が曲がって飛べないホタルを他の仲間たちが優しくかばう心温まる話。いじめの問題を考えるうえでも参考になる読み物だ。『理科室から生まれたノーベル賞 田中耕一ものがたり』(国松俊英/文)は、富山市出身でノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんの生い立ちから受賞までを描いている。ブックリストではこのほか、中学生編に『きめた道をまっすぐに ノーベル賞化学者田中耕一の原点』(北日本新聞社編集局/監修)、『「田中耕一さん」の研究』(フレア情報研究会/編)、高校生編に『生涯最高の失敗』(田中耕一/著)と、田中さん関連の本を紹介している。

 中学生編として、『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ』(井村和清/著)は、不治の病に冒された砺波市出身の若き医師が死の直前まで家族や周囲へ愛を綴った手記。『長い道』(柏原兵三/著)は戦時中に入善町の叔父の家に疎開した少年の苦しい体験と成長を描いた作品。映画「少年時代」の原作でもある。『黒部の太陽』(木本正次/著)は世紀の難工事といわれた黒部川第四発電所・ダム建設にかける人々の情熱と苦闘を描いた小説。ブックリストでは、小学生編に『クロベのトロッコ電車』(浜口駿介、浜口節子/著)、『ライチョウは生きる』(遠藤和子/著)、中学・高校生共通編に『劒岳〈点の記〉』(新田次郎/著)、高校生編に『高熱隧道』(吉村昭/著)、『立山・黒部 未来への道』(北日本新聞社編集局/編)など、立山・黒部関連の本を多く紹介している。

 中学・高校生共通編の『螢川』(宮本輝/著)は、昭和30年代の富山県を舞台に、経済的に苦しい中での少年の恋の目ざめと人間的な成長を描いた、芥川賞受賞作品。戦国武将、佐々成政に焦点を当てた『史伝 佐々成政』(遠藤和子/著)は加賀藩が意図的に作り上げた虚像を退け、人々に慕われた名君、情義に篤い成政を描いた作品で、歴史解釈に大きな一石を投じた。『とやま面白学・富山の自然再発見』(とやま面白学企画編集会議/編)は、身近な富山の自然に潜む不思議を解き明かす知識本。世界的にも珍しい富山の自然現象を解説している。

 高校生編の『納棺夫日記』(青木新門/著)は、納棺夫として人の死に接し、生をみつめてきた著者の静かなる声が心に残る小説。『ダモイ遙かに』(辺見じゅん/著)はシベリア収容所に抑留された日本人を描いた物語。過酷な環境の中で最後まで希望を捨てず、命をかけた姿を描いている。

 富山県教育委員会生涯学習・文化財室では、「今年は、国民読書年。これを記念し、ブックリストを作成した。また、11月を“ふるさと とやま 読書月間”とし、児童、生徒のふるさと文学に親しむ機会としたい。ブックリストは、大人にも本選びの参考になるだろう。ホームページでも紹介しているので、ぜひ活用し、富山の本の世界に触れてほしい」と話している。




問い合わせ
●富山県教育委員会生涯学習・文化財室
TEL.076-444-9647
FAX.076-444-4434
http://www.pref.toyama.lg.jp/cms_sec/3009/kj00008053.html

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