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2011年 2月 23日 [ トピックス ]
No.495-2:高岡鋳物の製作用具、登録有形民俗文化財に
高岡市鋳物資料館が所蔵する「高岡鋳物の製作用具及び製品」が、国の登録有形民俗文化財に県内で初めて登録されることになった。高岡市金屋町を中心に江戸時代から行われてきた鋳物製作の用具など1,561点に及ぶ資料群。資料館を見学し、職人たちの息遣いを感じてみよう。千本格子の家並が続く金屋町界隈のぶらり旅も楽しい。
●製作技法と生産の実体を伝える1,561点
梵鐘、銅像、花器、茶器など、銅器製品の国内シェアの9割を占める日本一の銅器のまち、高岡から届いたニュースを紹介! 高岡市鋳物資料館(高岡市金屋町)が所蔵する「高岡鋳物の製作用具及び製品」が、国の登録有形民俗文化財に県内で初めて登録されることになった。
「高岡鋳物の製作用具及び製品」は、高岡市金屋町を中心に江戸時代から行われてきた鋳物製作の用具など1,561点に及ぶ資料群。型作りに用いられる挽き型やへら、鋳造に用いられる鞴(ふいご)、仕上げに用いられるキサゲや鏨(たがね)など製作用具1,482点と、近世の鍋、釜や梵鐘、仏具、花瓶、近代の美術工芸品など高岡鋳物の技術で生み出された製品79点で構成されている。
資料群は、高岡銅器産業の源である「高岡鋳物」の製作技法と生産の実体をよく示すものであり、地元金屋町から寄贈を受けたものと、高岡市出身の彫金家で重要無形文化財保持者(人間国宝)の金森映井智氏(故人)が使用していたものからなる。
平成17年春に開館した高岡市鋳物資料館は第1・第2展示室からなり、第1展示室には、型作り用具、仕上げ用具、鍛金用具、製品などを展示。第2展示室には、大型のたたら(大型のふいご)や風呂釜など、大型用具・製品を展示している。鋳物職人たちが愛用した道具には、独特の美しさが感じられる。自分の手になじむように手づくりされたものばかりという。じっくり見ながら、職人たちの息遣いを感じてみたい。
高岡鋳物は、慶長16年(1611)、加賀藩二代藩主、前田利長が高岡城下の繁栄を図る産業振興策として、現在の高岡市戸出西部金屋から7人の鋳物師を招き、千保川左岸に鋳物の吹場(作業場)を建てて住まわせたことがはじまり。江戸時代後期には仏具などの鋳造も盛んになった。明治に入り、万国博覧会や内国勧業博覧会に出品。昭和50年(1975)には高岡銅器が国の伝統的工芸品に指定された。
●金屋町界隈をぶらり散歩
高岡鋳物発祥の地、金屋町。格子造りの家が軒を並べ、趣のある佇まいを見せている。銅片の敷き込まれた石畳を歩けば、400年の時の重みを感じることができる。
市鋳物資料館の斜め向かいにある、銅器製造・販売の大寺幸八郎商店&ギャラリーおおてらに入ると、千本格子からの柔らかな陽射しを受けて、香炉などの伝統工芸品や、風鈴、錫製の食器や箸置き、インテリア雑貨が煌いている。創業は慶応3年(1867)。茶房からガラス戸越しに中庭を眺めると、苔むした石灯篭や松の古木。建物には重厚な梁、吹き抜け、天窓と、見ているだけでその歴史が伝わってくる。店主の大寺雅子さんは、鋳造技術を取り入れたクラフト作品を制作。現代のライフスタイルに合った高岡銅器を提案できないかと、将来を見つめる。
石畳の通りから小路を抜けて、鋳物工房・利三郎へ。茶道具の風炉などを製造するほか、金工、漆芸、陶芸など地元作家らの作品も展示・販売している。また、予約すれば、干支の文鎮や風鈴を製作する鋳物体験、ろくろ場などの見学もできる。鋳物体験は、砂型を作り、溶解した錫を流し込むなど、かなり本格的。錫が冷えて固まったら砂の中から取り出し、紙やすりやブラシで磨いて完成となる。所要時間は1時間ほど。料金は1人3,000円。見るだけでなく、体験すると、旅の思い出がより深まると、好評だ。春の足音を感じながら、金屋町界隈をぶらりと散歩し、資料館やギャラリー、工房を訪ね、匠の技とその世界に触れてみてはいかが。
問い合わせ
「高岡鋳物の製作用具及び製品」について
●高岡市教育委員会文化財課
TEL.0766-20-1453
FAX.0766-20-1667
http://www.city.takaoka.toyama.jp/kyouiku/2069/index.html
●大寺幸八郎商店
TEL.0766-25-1911
FAX.0766-25-0358
http://www.ootera.com
●鋳物工房 利三郎
TEL.0766-24-0852
FAX.0766-26-8162
http://www2.tcnet.ne.jp/jinpachi/