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2008年 4月 2日 [ トピックス ]
No.346-1:とやま文化財百選事業・第四弾、「とやまの年中行事百選」選定
富山県教育委員会が平成16年度から実施している「とやま文化財百選」事業で、このほど「とやまの年中行事百選」が選定された。
「土蔵」、「獅子舞」、「祭り」に続くシリーズ第四弾として、今年度は富山の生活・風土に密接に関連する「年中行事」がテーマ。民俗芸能や競技を伴わないものを対象に、「とやま文化財百選選定委員会」による検討を経て、101件の年中行事が決まった。
●郷土の誇りとして末永く受け継ごう!
富山県教育委員会が平成16年度から実施している「とやま文化財百選」事業で、このほど「とやまの年中行事百選」が選定された。
「土蔵」、「獅子舞」、「祭り」に続くシリーズ第四弾として、今年度は富山の生活・風土に密接に関連する「年中行事」がテーマ。民俗芸能や競技を伴わないものを対象に、「とやま文化財百選選定委員会」による検討を経て、101件の年中行事が決まった。
同事業は、県内各地に残る身近な文化財を対象に、郷土の誇りとして末永く受け継いでいくべきものを選定する取り組み。ふるさとの文化財の価値を再認識し、地域ぐるみで保存・活用していくきっかけになることを目的としている。
富山には多種多様な年中行事があるが、「季節に関する行事」、「生業・産業に関する行事」、「社会生活に関する行事」、「信仰に関する行事」の4つに大きくジャンル分けすることができる。たとえば、「季節に関する行事」でユニークなのが、小正月に行われる「速星の成木責め<カキノキ カキノキ>」(富山市婦中町速星の個人宅:1月15日)。朝食に小豆ぜんざいを食べて小正月を祝ったあと、小豆ぜんざいの汁を碗に盛り、畑に行く。柿の木の前に立ち、「出っ来っかー、出っ来んかー、出っ来んにゃ、ちょん切るぞ」と唱え、幹に鉈の刃をあて、手で樹皮を少し剥く。そこに小豆ぜんざいの汁をサジでかける。柿の実の生育祈願などの行事という。もともとは広く行われていたが、ほとんどが衰退して行われなくなってしまった。「生業・産業に関する行事」では、「妙国寺の万代常閑報恩祭」(富山市・妙国寺:6月5日)。元和元年(1681)、富山藩に招かれ、反魂丹の処方を教えた岡山藩医の万代常閑(ばんだいじょうかん)の遺徳を偲び、報恩講が薬業関係者によって継承されている。
人々が集まり、健康や安全などを祈る「社会生活に関する行事」では、「吉見の一味同心を誓う祭り」(南砺市吉見・吉見八幡社:正月・四季の年5回)が興味深い。氏子が酒を入れた徳利を持ち寄り、酒を半分ずつ大きな瓶に入れて回し飲みする。氏子同士が団結して仲良くしていくことを誓い合う儀式で、神様に供えた徳利の残りの酒は家に持ち帰り、家族が分けて飲み、家内安全などを祈る。この行事も、多くの地区で衰退し、本来の姿で残っているところは少ない。
災難を払い落とすための厄払い、信仰心に基づくものとして行われる「信仰に関する行事」としては、「於保多神社の鷽(ウソ)替え」(富山市・於保多神社:不定期)が珍しい。菅原道真公ゆかりの鳥「鷽」に虚言の「うそ」をかけて、一年中に吐いた虚言を富山土人形で出来たハト笛に込め、神前に納めて罪滅ぼしするというものだ。土人形には番号が書かれており、参拝客同士が「うそかえましょ」といいながら交換。最後は神託によって当選番号が選ばれ、当選者に金色の土人形を贈る。もともと毎年行われていたが、土人形の入手が困難になっていることや参加者の減少などから、不定期開催となっている。
●子どもたちが活躍する行事も
地域の未来を担う子どもたちが重要な役割を担う行事にも注目したい。「小境の大晦日の宮籠もり」(氷見市小境:12月31日〜1月1日)は、朝日神社と夕日神社で一夜を明かして新年を迎えた子どもたちが、初詣にやってきた地区の人々に神様に代わって挨拶し、御神酒を振る舞うというユニークな行事。元旦の朝には、お供えの餅を切り分けて集落の家々に分けるという。
「利屋町の天神祭り」(高岡市利屋町:5月25日前後の土・日曜)では、宵祭りに子どもたちが運搬役として、高岡関野神社から御神体の木造の天神像を曹洞宗龍雲寺へ運ぶ。神主と僧侶が祭りを行うところがおもしろい。本祭りには、天神像の扉が開けられ、子ども神輿、高岡関野神社の神職による祀り、龍雲寺住職による大般若会(祈祷)などが行われる。いずれの行事も、少子化の影響で参加する子どもの数が減っているようだが、これからも続けてほしい行事だ。
富山県教育委員会生涯学習・文化財室では、「富山の年中行事の特徴として、天神様の軸や木彫りの人形を正月の床の間に飾る“天神信仰にまつわる行事”、富山の代表的な地場産業・薬にまつわる“売薬・製薬業に関する行事”、報恩講や太子信仰など“浄土真宗の行事”、“水神を祀る行事”、“風神を祀る行事”が多く見られることが挙げられる。水神に水の恵みを感謝する一方で、水害を被らないように祈ったり、フェーン現象による強風の被害が多い地域では風神を祀ったりと、豊かな自然とともにある富山の人々の営み、暮らしぶりを感じることができる。年中行事を春夏秋冬の順で紹介するガイドブックを県内各市町村教育委員会や図書館、美術館・博物館などに配布する。また、ホームページ<富山県デジタル文化財ミュージアム>でも見られるようになる。富山の年中行事の特徴や魅力に触れてほしい」と話している。
問い合わせ
●富山県教育委員会生涯学習・文化財室
TEL.076-444-3456
FAX.076-444-4434
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/3009/