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2007年 7月 25日 [ トピックス ]
No.310-1:剱岳測量100年記念、山岳集成図「剱・立山」刊行!
夏山シーズン到来! 剱岳測量100年を記念して国土地理院が3万分の1の山岳集成図「剱・立山」を作成し、全国の主な書店で販売(定価:1枚800円)が始まった。地図中には、最新の登山道が赤色で表示されているほか、山小屋、避難小屋、公共の宿、キャンプ場、水場、トイレ、バス路線などがそれぞれの記号で表示されている。
●登山に役立つ情報を盛り込む
夏山シーズン到来! 登山者に地図に関する耳寄り情報をお届けしよう。剱岳測量100年を記念して国土地理院が3万分の1の山岳集成図「剱・立山」を作成し、全国の主な書店で販売(定価:1枚800円)が始まった。
今年は、明治40年(1907)7月に、国土地理院の前身である陸軍参謀本部陸地測量部の柴崎芳太郎測量官らが三角点を設置するため剱岳に登頂してから100年という節目の年。 同院北陸地方測量部では、平成16年度から富山県、上市町、立山町などと「剱岳測量100年事業推進実行委員会」を発足させ、剱岳山頂への三角点の設置など、様々な記念行事を行ってきた。山岳集成図「剱・立山」もその一環として、平成17年度から18年度にかけて剱岳・立山周辺を現地踏査し、原稿図作成に取り組んできた。
「剱・立山」は、従来の2万5千分の1の地形図「欅平」、「毛勝山」、「越中大浦」、「十字峡」、「黒部湖」、「剱岳」、「立山」、「大岩」、「小見」の一部を3万分の1に縮小・集成したことから山岳集成図と呼ばれる。サイズはA1判(A4折図)で、水に強い合成紙を使用。図の範囲は、北側が黒部峡谷鉄道の欅平駅、南側は五色ヶ原の一部、西側は富山地方鉄道立山駅、東側は黒部峡谷となっており、剱岳・立山周辺の山岳地域が1枚でわかるのが特徴だ。また、従来の等高線に陰影を加えて立体感を出し、高度段彩表現によって山地の高低がよりわかりやすくなっている。
地図中には、登山道が赤色で表示され、山小屋、避難小屋、公共の宿、キャンプ場、水場、トイレ、駐車場、夏山パトロール駐在所、夏山郵便局、夏山診療所通行規制区間、バス路線、バス停などもそれぞれの記号で表示されている。このほか、剱岳山頂の三等三角点を原点とした500mごとの直交方眼線が引かれており、距離の概数を求めるときにも便利といえる。
さて、剱岳登頂の幕開けとなった柴崎測量隊の活動を紹介しよう。明治時代、剱岳は前人未踏で、地獄の針山として登ってはならない山と恐れられていた。しかし、柴崎は正確な地図を作成するためには周囲から見通しのきく剱岳に三等三角点を設置する必要があると考え、登頂を決意する。明治40年7月13日、柴崎測量隊の測夫・生田信と、大山村(現・富山市)の宇治長次郎、宮本金作ら5人の案内人が現在の長次郎谷から雪渓を登り、ようやく剱岳頂上に立った。その後、柴崎芳太郎も登頂を果たしたが、地形の険しさから測量のための資材などの運搬ができず、三等三角点標石の設置を断念し、周囲の山々からの観測だけによる四等三角点として位置が記録されたという。そして平成16年8月。柴崎の思いを引き継ぎ、国土地理院は剱岳山頂に三等三角点を設置。最新のGPS観測によって剱岳の最高地点の標高が2999mと算出された。写真測量でそれまで2998mと表示されていた最高地点の標高は、平成17年3月に発行された2万5千分の1の地形図から2999mの表示に変更されている。
●地図展や映画「劔岳 点の記」も楽しみ
剱岳測量100年を記念して、10月18日(木)〜21日(日)に「地図展2007年in富山」<主催:国土地理院、(財)日本地図センターほか>が富山県民会館を会場に開催されることも話題だ。
会場には、富山市域の空中写真などをパネル展示するAゾーン「地図で見る知る、富山の歴史」、柴崎測量隊による剱岳測量の業績や関連した人物のパネル紹介、平成16年8月に実施した剱岳山頂への三角点設置作業とGPS測量の様子などを紹介するBゾーン「剱岳測量100年」、伊能忠敬と新湊出身の測量家・石黒信由が使用した測量機器や絵図を紹介するCゾーン「郷土の測量家“石黒信由”と“伊能忠敬”」など7つのゾーンが設けられる。剱岳測量の業績や、測量から地図ができるまでの工程、地球観測衛星「だいち」による地図作成といった最新の技術などを紹介することで、地図・測量への理解と親しみを深め、郷土の地理や歴史などを再認識する機会になることを目的としている。
また、そのほか剱岳に関する話題として、柴崎芳太郎らの姿を描く映画「劔岳 点の記」の製作が進められていることも紹介しよう。直木賞作家の新田次郎の同名小説を東映が映画化するもので、「八甲田山」、「鉄道員(ぽっぽや)」など、名作映画の撮影を手掛けてきたキャメラマン・木村大作さんが監督を務める。出演は、主人公の柴崎芳太郎に浅野忠信さん、柴崎を助ける立山の案内人・宇治長次郎に香川照之さんほか、松田龍平さん、仲村トオルさんらが共演する。撮影は延べ200日以上を費やし、実際の剱岳、立山でのロケーションを敢行。「人の目線からの画を大切にしたい」という木村監督の思いから、作り物でない剱岳、立山の本物の映像を切り取っていく。今年4月から立山・室堂周辺で雪景色の撮影がスタートしており、秋には俳優を交えた本格的な撮影に入る。映画の完成は平成20年末、公開は21年の予定となっている。
問い合わせ
●国土地理院北陸地方測量部
TEL.076-441-0888
FAX.076-441-0889
http://www.gsi.go.jp/LOCAL/hokuriku/100syuunen/