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2007年 4月 11日 [ トピックス ]

No.295-1:無花粉スギ「はるよこい」、品種登録全国第1号


 富山県林業技術センター林業試験場(立山町吉峰)で育成された無花粉スギ「はるよこい」が、全国第1号の無花粉スギとして農林水産省に品種登録された。無花粉スギとは、その名の通り、花粉をまったく飛ばさないスギ。「はるよこい」の名前には、“花粉が飛ばない、爽やかな春が来てほしい”との願いが込められている。

●雄花の劣性遺伝子によって花粉が壊れる

 富山県林業技術センター林業試験場(立山町吉峰)で育成された無花粉スギ「はるよこい」が、全国第1号の無花粉スギとして農林水産省に品種登録された。無花粉スギとは、その名の通り、花粉をまったく飛ばさないスギ。外観上、雄花は健全なものとまったく同じで、また、その中で花粉の基となる細胞(花粉母細胞)もつくられるのだが、遺伝子の突然変異により、花粉の表面に殻(ユービッシュ体)ができず、花粉粒同士が融合し肥大して壊れてしまう性質(雄性不稔という)を持つためだ。

 無花粉スギの研究開発は、平成4年度に同試験場の職員が花粉飛散の調査のため富山市内の神社境内を訪れた際、偶然に無花粉スギ(タテヤマスギの変異体)を全国で初めて発見したことに始まる。このスギから採取した種子で苗木235本が育成され、このなかから花粉のできない苗木29本の成長・樹形の調査がスタート。13年度に成長のよい4本が選抜され、その後、品種登録に必要な実証試験が15年度まで実施された。15年度には「はるよこい」と命名。4本のうちの1本が選抜され、農林水産省に品種登録出願されていた。

 「はるよこい」は全国3,327件の応募の中から選ばれた名前。童謡にもあって親しみやすい名前であることなどから名称選定委員会で決定されたもので、“花粉が飛ばない、爽やかな春が来てほしい”との願いが込められている。

●苗木を育成し、まずは緑化木として普及を目指す

 花粉を飛ばさないほか、初期成長が早い、挿し木能力が高いなどの特徴をもっている「はるよこい」は、他県の研究にも大きく貢献しており、青森、山形、福島、新潟、石川、東京、神奈川、静岡の各県でも「はるよこい」の無花粉スギになる遺伝子を活用して、それぞれの地域に適した雄性不稔スギの開発を進めている。ちなみに、国では、平成17年に林木育種センターで無花粉スギ「爽春(そうしゅん)」を開発し品種登録の出願をしているが、富山県が全国に先駆けて発見したことや、林業分野で花粉対策に貢献できる研究開発に早くに取り組んだことが評価されて、「はるよこい」が全国第1号の品種登録となった。

 県では16年度に親木の養成を始めており、昨年度には県の採穂園に約40本を定植。23年頃までには500本の苗木を育てる計画だ。
 
 富山県農林水産部森林政策課では「苗木の安定供給に向けて、供給体制を整えていきたい。まずは500本の苗木を育て、緑化木として公園や学校などに普及させていく予定であり、将来的には林業用として活用したい」と話している。



問い合わせ
●富山県農林水産部森林政策課
TEL.076-444-3389
FAX.076-444-4428
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1603/

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