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2006年 6月 14日 [ トピックス ]

No.252-1:癒しロボット「パロ」、海外のドキュメンタリー映画に


 アザラシ型のふわふわした体に、愛らしい黒色の瞳と鼻。見たり、触ったりするだけで人の心に楽しみや安らぎを与えてくれる「メンタルコミットロボット・パロ」をクローズアップしたドキュメンタリー映画「メカニカル・ラブ」がデンマークの映画制作会社とフィエ・アンボ監督によって製作されている。進化しつつあるロボットと人間との関わりが1つのテーマ。日本と欧米のロボットに対するイメージの違い、欧米でのパロの受け入れられ方、ロボットの在り方などが描かれる。
▲デンマークテレビ局の取材を受ける
柴田主任研究員(右端)を撮影

●富山の技術で進化を遂げるパロ

 アザラシ型のふわふわした体に、愛らしい黒色の瞳と鼻。見たり、触ったりするだけで人の心に楽しみや安らぎを与えてくれる「メンタルコミットロボット・パロ」。南砺市出身で産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の柴田崇徳主任研究員と砺波市の電子機器メーカー・マイクロジェニックスが共同開発したこの癒しロボットが海外から注目されている。パロを主役にしたドキュメンタリー映画「メカニカル・ラブ」がデンマークの映画制作会社Tju−Bang Film社とフィエ・アンボ監督によって製作されているからだ。            

 撮影は今春からスタートしており、これまでにイタリア・ミラノの高齢者施設でパロによるロボット・セラピーの実験の様子などが撮影されている。映画は、進化しつつあるロボットと人間との関わりが1つのテーマ。日本と欧米のロボットに対するイメージの違い、欧米でのパロの受け入れられ方、ロボットの在り方などが人との関わりを通して描かれる。

 フィエ・アンボ監督はドキュメンタリー映画の最高峰「アムステルダム・ドキュメンタリー映画祭」で2001年に最優秀賞を受賞した女性監督。パロによる高齢者への癒しの効果に監督が強い関心を持ち、映画化が決定したようだ。5月30日、デンマーク・コペンハーゲンでひらかれたIFA(世界高齢者団体連盟)の世界大会でフィエ・アンボ監督と柴田主任研究員による共同記者会見が行われ、現地のマスコミでも大きく取り上げられた。

●パロは人と触れ合い、寄り添って、人の力を引き出す

 富山県内では、8月下旬から9月にかけて撮影が行われる。ロボット・セラピーを目的にパロを利用している南砺市のデイサービスセンターでの高齢者とのふれあいの様子や、マイクロジェニックスでの製造工程、富山市内の保育所での園児との交流、一般家庭でペットとして可愛がられているパロなどが撮影される。映画は来年までに完成予定で、その後、アムステルダム・ドキュメンタリー映画祭などに出品される。パロを使った福祉の取り組みや富山の技術が映画を通して世界に紹介されることから、関係者の期待も高まっている。

 パロは2002年に「世界で最もセラピー効果のあるロボット」としてギネスブックに認定されている。体内には、ユビキタス面触覚センサ、ひげセンサ、温度センサなど30以上の独創的なセンサや、7つの静穏型のモーターなど高精密な機械や高精度の回路を装備。人の声を聞いたり、撫でられたりすると、まぶたやしっぽを動かしたり、鳴き声を発したりと、感情があるように振る舞う。国内外の高齢者福祉施設や小児病棟での実験では、人を元気づける心理的効果、ストレスなどを減少させる生理的効果、コミュニケーションの話題を提供する社会的効果が確認されている。

 柴田主任研究員は「欧米では、ロボットは人間の仕事を奪うなどマイナスイメージがありますが、パロは人と触れ合い、寄り添って、人の力を引き出してくれます。映画によって、パロのそんな能力を世界に人にわかってほしい。そして日本、富山のすばらしい技術をアピールしたいですね」と話している。

 パロは国内で600体以上が販売されており、現在海外での発売に向けて準備が進められている。羽田空港をはじめ、成田、関西、中部の各国際空港で開催中の一村一品キャンペーン(9月末まで)でパロが展示されているので機会があったら手で触れて、その魅力を感じてみたい。


▲フィエ・アンボ監督とパロ


問い合わせ
●パロ インフォメーションセンター
フリーダイヤル0120-86-1842
FAX.0763-62-8600
http://paro.jp/
http://intelligent-system.jp/

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