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2006年 5月 2日 [ トピックス ]
No.246-2:となみ散居村ミュージアム、6月にオープン
緑豊かな屋敷林に囲まれた家々が田園地帯に碁石を散りばめたように点在し、散居の美しい景観を見せる砺波平野。その一角、砺波市に6月上旬、「となみ散居村ミュージアム」がオープンする。散居村についての学び場や体験の場となる情報館、大正から昭和初期にかけて建築された伝統的家屋・アズマダチを復元した伝統館などが並び建つ。
●伝統的家屋・アズマダチを移築・復元
緑豊かな屋敷林に囲まれた家々が田園地帯に碁石を散りばめたように点在し、散居の美しい景観を見せる砺波平野。その一角、砺波市に6月上旬、「となみ散居村ミュージアム」がオープンする。砺波平野の散居景観は、日本の稲作農村を代表する景観の一つといわれる。その景観を保全することや、砺波地方に伝わる農村文化や伝統文化を継承し、全国に発信していくことがミュージアムの役割として挙げられる。
遊水池を配置した敷地には、「情報館」、「伝統館」、「交流館」の3つの建物が並び建っている。
黒い瓦屋根に、太い梁や柱の木組みが美しい情報館は、総合案内、情報発信施設で、散居村保全活動の拠点となる。館内には、散居村の映像などを映し出す大型のスクリーンを装備し、講演会や研修会に活用できる研修室をはじめ、散居村の歴史、移り変わり、特徴を写真・パネルなどで紹介する展示コーナーやパソコンを使いながら散居村について学べる学習コーナーのほか、体験コーナーなどが設けられる。体験コーナーでは、砺波特産のチューリップを使った染め、そば打ちなどを楽しむコースが設定される予定だ。
伝統館は、大正から昭和初期にかけて建築された伝統的家屋・アズマダチを砺波市内から移築・復元したもの。灰小屋や農業体験が可能な納屋も敷地内に建っており、そのたたずまいに郷愁をそそられるだろう。アズマダチは、切妻の屋根に黒い瓦、白壁の外観をもつ豪壮な造り。家屋の内部は、欅の太い六角柱や梁の木組み、大きな囲炉裏が圧巻で、高い天井と広い間取りの独特の空間が広がる。館内には昭和初期の民具や生活用具、農具などが展示される。
情報館の右隣に建つ交流館は、アズマダチをリフォームした施設。伝統家屋の外観を維持しながら、二世代・三世代同居などに合わせて、バリアフリー設計、洋室の設置など、現代のライフスタイルを提案する。
●美しい農村地域全体が博物館
となみ散居村ミュージアムは、“美しい農村地域全体が博物館”という考えのもと、農村がもつ豊かな自然、美しい景観、伝統文化などの継承・保全・復元・整備を目指す「田園空間整備事業」における、となみ野地区の中核施設として建設された。ハード整備として、ミュージアムをコア施設に、二万石用水親水空間、安居大堤ビオトープ、法王寺歴史街道、桜ヶ池遊歩道、カイニョと椿の森など、砺波市と南砺市に点在する地域資源をサテライト施設として位置付け、ネットワークを図る点も大きな特徴。観光ルートになることも期待されている。
「田園空間整備事業」のソフト面では、砺波市内と南砺市内の各地区で「散居景観を活かした地域づくり協定」が進められており、協定を結んだ地区では屋敷林の枝打ちや育成費用を助成する制度が機能している。平成16年10月に県内に暴風雨をもたらした台風23号によって、両市ではスギの大木が根こそぎ倒れ、約20,000本の屋敷林が被害を受けたと推定されるが、富山県と砺波市、南砺市では屋敷林再生に向けて散居景観保存活動特別補助金を交付し、屋敷林再生に向けて取り組んできた。地域の住民にとっては、台風被害が屋敷林や散居景観の維持、保全に対する意識を改めて見つめ直すきっかけにもつながったようだ。
となみ散居村ミュージアムの開館に合わせるように、砺波市教育委員会では、散居村の「重要文化的景観」選定(文化庁)を目指し、今年度から散居景観に関する調査に乗り出すことも話題。早々に調査委員会を立ち上げて、具体的な調査方法などを検討。地域住民の意向も十分に聞きながら、3年ほどかけて調査を行いたい考えだ。
砺波平野では、散居の伝統的家屋が約7,000戸あるとされているが、都市化の波やライフスタイルの変化などにより、貴重な屋敷林を含めて減少しつつある。そんななかで誕生する、となみ散居村ミュージアムによって、日本を代表する農村原風景の保全活動の一層の進展が期待されている。
問い合わせ
●となみ散居村ミュージアム
TEL.0763-34-7180
FAX.0763-34-7182