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1998年 6月 25日 [ トピックス ]
No.021-1:−富山の食材シリーズVol.1− 富山だけのシラエビ料理を紹介!
■シラエビを富山の名物料理に・富山市岩瀬「松月」
透明なシラエビは、富山医科薬科大学の分析では、伊勢エビやアカエビ(甘エビ)に比べてタウリンやグルタミンが多く含まれており、甘みが強い。それでいて、淡泊な風味に加えて肉質も締まっている。地元では昔から天ぷら、酢の物、そうめんの出汁などの食材に利用されてきた。
このシラエビを料亭料理にまで高め、食材の魅力を世に知らしめたのは、富山市岩瀬にある「磯料理・松月」。創業は明治44年、北前船で賑わった岩瀬を代表する老舗料亭で、3代目店主の黒田茂氏が25年ほど前からシラエビ料理に取り組み始めたもの。そして刺身、そうめん、福団子などを考案して評判を呼んでいる。
■上品な風味と甘みが特徴
【刺身・寿司】シラエビは他の魚に比べて鮮度が落ちるのが早いために、水揚げされる地元でもこれまで生で食することがなかった。それを岩瀬の魚市場で特に新鮮なものを選ぶとともに、鮮度の保持を徹底させることで、刺身や寿司ネタに使えるようにした。
シラエビは身が小さいため、刺身1人前で約70匹も必要。しかも1匹ずつ手作業で殻をむいている。刺身や寿司ネタになったシラエビの味は、コクのある甘味とエビ独特の上品な香りが特徴で、ワインや日本酒との相性もいい。
【福団子】シラエビのむき身を包丁でたたき、五弊餅のように整えて串に刺して焼き上げたもの。焼きたてのアツアツに醤油を付けて食べるが、そのままで食べてもおいしい。純白の身はコリコリとした歯ごたえがあり、甘くてふくよかな味わいが口のなかいっぱいに広がる。「松月」のシラエビ・メニューの中でも特に人気が高く、1人前作るのに手むきのシラエビを200匹も使う労作である。
【白玉吸い物】品のいい風味のシラエビの持味を十分に生かした逸品。さっぱりした口当たりながら、コクがあり、昭和天皇にも献上されたシラエビ料理である。
【シラエビそうめん】これも黒田氏のオリジナル料理。むき身のシラエビを裏ごしにして、そうめんに仕立てたもの。新鮮でないと麺がつながらないというデリケートな逸品で、涼感あふれる夏フ名物となっている。
これらのシラエビ料理は6,000円〜15,000円のコース料理の一部として、4月から11月までの間、味わえる。
■珍しい透明なエビ
シラエビは、コエビ類オキエビ科のエビで、体長が6cm前後。体が左右扁平で腹部が大きく、頭部や胸部が小さい。生きている時は体が透明だが、死ぬと乳白色になる。冷水域を好み、水深150〜300mの海底谷(かいていこく)と呼ばれるところに生息する。海底谷とは、海底がV字型に狭く切れ込んだ谷間のこと。
富山県では昔から、ゆでるとベッコウ色に変わることから「ベッコウエビ」とも呼ばれている。学名はヨーロッパ産シラエビのパシフェア・シバドウの近縁種であることから、昭和49年に「パシフェア・ジャポニカ」と命名されいる。
また、ブリやホタルイカとともに、「富山県の魚」にも指定されている。
■世界で富山湾のみの水揚げ
シラエビは日本近海に分布し、富山湾のほかにも駿河湾、相模湾などでも確認されている。しかし、これらの地域では捕れる量が少なく、サクラエビ漁に混じってわずかに捕獲される程度。また、地中海や北太平洋でも似た種類が捕れるが、極めて量は少ない。このシラエビが年間300〜400tも捕獲され、商業的に漁が成立しているのは、世界でも富山湾だけとされる。
●《シラエビについて》
富山県水産試験場
〒936-0011 滑川市高塚364
TEL 0764-75-0036(代)
●《シラエビ料理について》
磯料理・松月
〒931-8364 富山市岩瀬港町116
TEL 0764-38-1188