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1998年 2月 13日 [ トピックス ]

No.016-2:縄文時代の高床式建物の復元が可能に!—発見あいつぐ桜町遺跡−


 富山県小矢部市の桜町遺跡の縄文時代中期の層から発掘された建築部材に、相欠き仕口(あいかきしぐち)のある平桁(ひらげた)材、目途穴(めどあな)、草壁などがあることがわかった。これらは、東京国立文化財研究所の宮本長二郎・国際文化財保存修復協力センター長が桜町遺跡から出土した40本の木材遺物を鑑定して明らかになったもの。新しく発掘された建築部材の詳細は次のとおりである。
 【相欠き仕口】二つの木材を凹加工して直角に組み合わせる技術のことで、今度確認されたのは長さ1.4m、幅30cmの板状の桁材。昨年出土した渡腮仕口(わたりあごしぐち)が丸桁材であったことから、丸、平の両方の建築部材を巧みに使い分けていたことが立証された。
 【目途穴】屋根の垂木(たるき)を縛って固定する目的で、柱や桁に穴を開けて縄を通す加工技術。目途穴材の先端にはほぞの突起も確認されており、これまでに発掘されているほぞ穴材とも合致することがわかった。
 【草壁】昨年発掘された網代(あじろ)壁材の近くから発見。葦のような草木類をすだれ状に並べたもので、網代壁の芯材にこの草壁を重ねて、屋根や壁に使われたものとされる。
 このような加工技術が施された建築部材は、これまで縄文時代晩期から弥生時代以降にしか発見されておらず、従来の定説より千数百年もさかのぼることになった。これは、先に発見された渡腮仕口や網代壁と同様、縄文時代の建築技術の高さを示すもので、これまでの定説を覆す発見である。鑑定にあたった宮本氏は、桜町遺跡から出土した柱、桁、壁材などの建築遺物によって、縄文時代の高床式建物の復元がはじめて可能になったと話している。
 桜町遺跡は、建築部材や山菜のコゴミなど、日本最古の発見が相次ぎ、考古学者に大きな衝撃を与えているが、他の縄文時代の遺跡と比べて有機物の保存状態が非常に良いのが特徴。それだけに今後の調査では、コメの発見に期待がかかるが、出土すれば稲作の起源が縄文時代までさかのぼり、日本の歴史に大きな影響を与えることになる。発掘調査責任者の伊藤隆三小矢部市教育委員会社会教育課主幹も「コメ粒がいつ出土してもおかしくない。調査を続けていけば出てくるのではないか」と、その可能性の大きさを指摘する。
 発掘調査は4月から再開。今度は、縄文時代草々期の深さ5mまで掘り進めると同時に、調査エリアの拡大も検討されている。掘れば掘るほど新発見が続く桜町遺跡だけに、その発掘には全国から注目が集まっている。

* 問い合わせ
●小矢部市教育委員会文化財係
〒932-0057 小矢部市本町1-5
http://www.city.oyabe.toyama.jp/sakuramati.html
TEL 0766-67-1760

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