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2002年 6月 12日 [ トピックス ]

No.095-1:富山から生まれた「日本海学」を全国に発信


●環日本海地域から21世紀の人間の営みの方向性を探る

 富山県と日本海学推進会議が企画した『日本海学の新世紀2 還流する文化と美』(青柳正規、ロナルド・トビ編)が、角川書店から発売された。
 「日本海学」とは、環日本海交流の拠点づくりを推進する富山県で生まれた新しい学問。過去・現在・未来にわたる環日本海地域の人間と自然、人間と人間のかかわりなどを、循環・共生・海の視点に立って総合学として学際的に研究し、環日本海・北東アジア地域から21世紀の人間の営みの方向性を探ろうとするものだ。
 『日本海学の新世紀2 還流する文化と美』は、昨年、日本海学について全国で初めて発売され、注目を浴びた『日本海学の新世紀』の第2集。日本海学の入門書として位置付けられる第1集では、日本海学を人文・社会から自然までの幅広い視点で捉えて紹介されていたが、第2集では、青柳正規氏(東京大学大学院教授)の「日本海と地中海—豊かな海域をもとめて」など、日本海を介した人・文化・美の交流にスポットをあてた論文・エッセイを中心に編集されている。また、昨年2回開かれた「日本海学シンポジウム」の基調講演・パネルディスカッションの内容も収められている。


●日本と朝鮮半島の人・文化・美の交流

 本書に収められた論文のなかで特に注目したいのが、ケネス・ロビンソン氏(国際基督教大学助教授)の「15、16世紀における対馬/対馬島と朝鮮」、ロナルド・トビ氏(東京大学大学院教授)の「環日本海の富岳遠望」、河宇鳳氏(韓国・全北大学校教授)の「漂着朝鮮人の日本認識」、太田昌子氏(金沢美術工芸大学教授)の「海をめぐる日本と韓国の美術」など、日本と朝鮮半島の人々の交流や比較文化をまとめたものだ。江戸時代に蝦夷地や長崎に漂着した朝鮮の人々の紹介、漁師や海上貿易に携わる人々の朝鮮と日本の境界認識、日本と韓国の美術品における海の描かれ方の比較など、読みごたえのある内容となっている。
 今年は、サッカーワールドカップの日韓共催や日中国交正常化30周年などで、日中韓の関係がより深まりをみせている。日本海をキーとした本書から環日本海地域の過去、現在、未来を考察してみるのもいいだろう。
 『日本海学の新世紀2 還流する文化と美』は、A5判・303ページ、定価1,300円(税別)。日本図書館協会選定図書。

問い合わせ
●富山県国際・日本海政策課
TEL (076)444-3339

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