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2003年 3月 26日 [ トピックス ]

No.114-2:緑豊かな屋敷林と伝統的家屋を後世に


●田園地帯に碁石のように点在する散居の風景

 「カイニョ《と呼ばれる緑豊かな屋敷林に囲まれた家屋が田園地帯に点在し、日本を代表する散居村の景観を見せる砺波平野。富山県と砺波市、福野町など7市町村は、砺波平野の散居村の景観や「アズマダチ《といった伝統的家屋を後世に伝えていくために「田園空間整備事業となみ野地区・散居景観保全事業《を行っている。同事業は、“美しい農村地域全体が博物館”という考え方のもと、農村の自然や伝統文化などを再評価し、農村景観など地域資源の保全・活用を進めるものだ。
 屋敷林とアズマダチの特徴を紹介しよう。高木のスギを中心とした屋敷林は、夏の日差しをさえぎり、冬の季節風、春の強い南風から家屋を守っている。スギやケヤキ、アスナロ、クリ、カキなどの樹木の下では、野鳥や小動物、昆虫が棲息し、屋敷林はビオトープとして生態系の保全にも重要な役割を果たしている。7市町村のなかの散居景観形成地区に1,790軒近くあるといわれるアズマダチは、切妻の妻面を正面に向けた大きな瓦屋根と白壁、格子組の化粧をもつ家屋で、美しいたたずまいが印象的。広い屋内に入ると、太い梁と高い天井をもつ空間が広がる。

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●展望台から散居村を眺める

 広い敷地に建つ伝統的家屋と屋敷林のたたずまいに、日本の農村の原風景を見る思いだが、実際に暮らしている者にとっては負担がかかっているのも事実だ。屋敷林のスギの葉はかつて暖房などの燃料に使われたが、生活様式の変化によって今ではその処理に苦労している。伝統的家屋は夏には涼しいが、冬は寒いという難点があり、世代交代を機に現代住宅に建て替えられることも少なくない。
 そこで「田園空間整備事業となみ野地区・散居景観保全事業《では、美しい散居の景観を守る方策として、屋敷林保全のための支援活動や、伝統的家屋を保全するための融資制度など、全国でもユニークな事業に取り組んでいる。たとえば、屋敷林の枝打ち方法のガイドライン作成、枝打ち・屋敷林育成への補助金支給、アズマダチ住宅を保全するための改築・新築への融資限度額の引き上げなどが挙げられる。
 400品種、100万本のチューリップが会場に咲き誇る花の祭典「となみチュ*リップフェア《(4月23日~5月5日、砺波市)などで砺波平野を訪れたおりには、田んぼに水が張られ光り輝く田園風景を見てみたい。砺波市の鉢伏山の中腹に位置する「夢の平散居村展望台《のほか、井波町の「閑乗寺展望台《、福光町の「イオックス・アローザスキー場《などが散居村を一望できるスポットだ。

問い合わせ
●富山県農村環境課
TEL076-444-3381
http://www.pref.toyama.jp/sections/1605/tonamino.htm

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