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2004年 7月 7日 [ イベント ]
No.151-1:墨の可能性を探る−「国際公募:墨画トリエンナーレ富山2004」開催
●中国・韓国からの応募を含めた秀作54作品を展示
7月9日(金)〜8月22日(日)、富山県水墨美術館で、開館5周年を記念した「国際公募:墨画トリエンナーレ富山2004」が開催される。この展覧会は、“墨画の魅力を広め、新しい墨表現の可能性を探ろう”と3年に一度のトリエンナーレ方式で催されているもの。2回目となる今回は、新たな試みとして墨を使用する文化圏である中国、韓国からも広く作品を公募した。その結果、中国から74名・91点、韓国から2名・2点、国内では北海道から沖縄まで全国 37都道府県から161名・211点の合わせて237名から304作品が寄せられた。
展示に先立って審査が行われ、優秀賞には中国女流水墨画の代表的作家である中国の王迎春氏の「山村新娘」<写真>、2001年の墨画トリエンナーレ富山で入選を果たした京都府の斎藤宗氏の「老宴(月光)」、東京都の丁長林氏の「暮」の3作品、奨励賞には中国の劉奇偉氏の「回娘家」、野々内宏氏の「鳥譜」、野口稔氏の「身辺雑記抄・04」など5作品が選ばれている。展覧会ではこれらの優秀賞、奨励賞を含めた54作品が展示される。観覧料は一般700 円、高大生500円、小中生350円で、常設展も観覧できる。
●墨の扱いに大らかな自由さを感じる
審査員長の内山武夫氏(京都国立近代美術館長)は、選考所感として「墨の濃淡や深い階調を表現した作品よりも、黒として墨色を用いた作品が多かった。今回のトリエンナーレでの収穫は、中国から100点近い出品があったことである。中国の国画様式として知られている型にはまった作品もあったが、表現や様式の幅が広く、日本で知られていないような自由な様式の作品が多かった。墨の扱いもさすがに一日の長があり、大らかな自由さが感じられた」と述べている。県水墨美術館では「この展覧会を通じ、“墨”という長い歴史をもつ素材が、今日の美術でどのように受け止められ、表現に活かされているか、これからの絵画表現にどのような役割を果たすかを考えるきっかけになれば」と話している。
県水墨美術館は、竹内栖鳳や横山大観、前田青邨など、近代を代表する作家たちの水墨画を系統的に展示する全国的にもユニークな美術館で、平成11年4月にオープン。県砺波市出身の日本画家・下保昭氏の初期から最新作を展示する作品室も常設されている。寄せ棟造りの和風建築が印象的で、廊下のガラス越しには立山連峰を望むことができる。敷地内には、日本の数寄屋建築の第一人者であった県小矢部市出身の中村外二棟梁が最晩年に手掛けた茶室「墨光庵」がある。作品鑑賞の後は、ここで庭園を眺めながら一服のお茶と茶菓子を楽しんでほしい。
問い合わせ
●富山県水墨美術館
TEL.076-431-3719
FAX.076-431-3720
E-mail : suiboku@pref.toyama.lg.jp
http://www.pref.toyama.jp/branches/3044/3044.htm