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2005年 1月 12日 [ イベント ]
No.178-2:雪深い山里で子どもたちがワラ馬の舞−初午
●家内安全と豊作を祈る民俗行事
「乗りこんだ、乗りこんだ、おウマが乗りこんだ」「春のはじめの初午(はつうま)なんぞや」−1月15日(土)、雪深い南砺市利賀の上村地区の家々に子どもたちの元気な声が響き渡る。200年ほど前から伝わる「初午」の行事だ。
観音像を描いた木札を持つ神主を先頭に、馬持ち(ワラでつくった馬の頭に幌をつけ、2人の子どもが入る)、太鼓たたき、米俵をかつぐ俵転がし、唄い手の順で列を組み、初午と染め抜いた半纏に豆しぼりの鉢巻き姿で雪道を歩きながら、地区の家を訪問する。家に着くと、玄関から、藁で編まれた足首まである深靴のまま中に入り、神主役の子どもが大黒柱に木札を立てかけ、「祓いたまえ清めたまえ高天が原(たかあまがはら)」と祝詞をあげる。終わると、冒頭の唄にあわせながら、初午の舞が披露される。首につけた鈴がシャンシャンと鳴り、景気をつける。次に、「福はそちら、俵はこちら」と俵ころがしが重そうな仕草で、小型の俵を転がし、掛声に合わせて福俵を引き寄せる。最後に「福之神 火の用心」と書いたお札を投げて、各家に福を置いていく。その後、子どもたちは、ご祝儀や菓子などを手渡されて、次の家へと向かう。
●子どもだけで一切の行事を執り行う
「初午」は、農業の主産業だった養蚕の繁栄、豊年を願って受け継がれてきた民俗行事で、昭和57年に国の無形民俗文化財に指定された。ワラでつくった馬が登場するのは、蚕の守護神が馬であると言い伝えられてきたからだ。
富山県では、江戸時代から明治・大正時代にかけて養蚕が盛んに行われ、初午のような養蚕業の繁栄を祈る行事が伝承されてきた。しかし、現在では利賀の上村地区だけに子どもが主役の初午行事が残っている。各家を回るコースや、神主・俵転がしなどの配役はすべて子どもたちが決める。練習は12月から行われ、初午当日には朝から夕方おそくまで家々(30カ所ほど)をまわる。参加するのは7人ほどの子どもだ。昔は男児だけだったが、今は子どもの数が少ないことから、女児も参加して初午が行われる。雪深い山里で繰り広げられる行事は、おとぎ話の世界のようで郷愁の世界へと誘ってくれる。
問い合わせ
●南砺市・利賀行政センター振興課
TEL.0763-68-2111
FAX.0763-68-2119
http://www.city.nanto.toyama.jp/