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2005年 2月 23日 [ トピックス ]

No.184-2:利賀を世界の演劇の聖地に−舞台芸術特区TOGA構想(仮称)


●国際的な舞台芸術で活躍する人材を育成

 来年度、富山県は、利賀芸術公園一帯(南砺市)を世界的な“演劇の聖地”として位置付け、「舞台芸術特区TOGA構想(仮称)」を進める。今夏に構造改革特別区域として国に申請し、舞台芸術の国際的な人材育成を図る国内初の専門教育機関を目指す。
 構想では、毎年7月〜9月、利賀芸術公園一帯の施設を使って舞台芸術の教育訓練を実施し、演技、美術、音楽、照明など、日本で初めての立体的な芸術教育に取り組む。コースは演出、俳優、総合の3コースで、講座や訓練実習、作品創造、発表などのカリキュラムを設定する。参加者の対象は、キャリアのある者で、教授や演出家などの推薦を経て、審査によって決まる。
 教授陣の候補として、常任に演出家の鈴木忠志氏、米国の舞台女優エレン・ローレン氏、特別講師にギリシャの演出家デオドロス・テルゾプロス氏ら、世界の第一線で活躍する演出家の名が挙がっている。開講は18年7月。今年8月にはプレイベントとして、演劇表現法「スズキ・メソッド」を生かした日露俳優の人材育成事業や、ロシア国立モスクワ芸術座との舞台芸術交流による「リア王」の公演が予定されている。
 平成18年には、構想の一環として、日本、ロシア両国の芸術、行政、政治の関係者らでつくる「日露文化フォーラム」を誘致。国際的な文化交流会議の開催によって富山の文化を世界に発信する。
 なお、国への特区申請では、まず「合掌造りを活かした空間づくり」として、1.合掌造りの劇場において演出や鑑賞の障害となってしまう誘導灯設置義務 (消防法)の緩和・解除、2.一月あたりの公演回数制限(興行場法)の緩和・解除、「自由で創造力にあふれる空間づくり」のため、3.特区を訪れる外国人舞台芸術家の入国手続き(入国管理法)の迅速化、4.野外劇場で花火を使用する場合の火薬の消費量の規制(火薬類取締法)の緩和を求める考えだ。


●世界演劇祭「利賀フェスティバル」が復活

 プレイベントと共に今年の話題は、舞台芸術財団演劇人会議(鈴木忠志理事長)の主催によって、世界演劇祭「利賀フェスティバル」が復活することだ。ギリシャ、イタリア、フランス、ロシア、日本の5カ国から6団体が出演し、野外劇場や合掌造りの劇場「新利賀山房」などを使って、世界の演劇人が舞台を繰り広げる。
 「世界は日本だけではない」「日本は東京だけではない」「この利賀村で世界に出会う」をスローガンに昭和57年にスタートした世界演劇祭「利賀フェスティバル」は、平成11年に幕を閉じるまでに延べ18カ国、154団体が公演。かつて秘境といわれた利賀村(現在の南砺市利賀村)に国内外から毎夏 10,000人以上の観客が押し寄せ、ふだん静かな山里は国際交流の場として熱気と興奮の渦に包まれた。その後は、平成12年からは若手演劇人の育成を目的に「利賀サマー・アーツ・プログラム」[INT記事No.152(2004.7.14)「この夏は、世界の利賀で演劇鑑賞を」参照]、14年からは新進演出家の作品発表の場「春のフェスティバル」が開催されている。
 再び世界の注目を集める利賀で、どんな舞台が繰り広げられるのかが楽しみ。開催が近づいた段階で、再度このINTでお知らせするので、ご期待いただきたい。




問い合わせ
●富山県生活文化課
TEL.076-444-9616
FAX.076-444-3477
http://www.pref.toyama.jp/sections/1711/1711.htm
E-mail:seikatsubunka6@pref.toyama.lg.jp

●富山県利賀芸術公園(財団法人富山県文化振興財団)
TEL.0763-68-2028
FAX.0763-68-2926
http://www1.tst.ne.jp/togapk/
E-mail:togapk@p1.tst.ne.jp

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