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2005年 3月 30日 [ トピックス ]
No.189-1:郷土の誇り「とやまの土蔵百選」〜富山県教育委員会「とやま文化財百選事業」
●地域の文化活動拠点になっている土蔵も対象に
富山県教育委員会が平成16年度に行った「とやま文化財百選事業」で、このたび「とやまの土蔵百選」が選定された。とやま文化財百選事業とは、県内各地で地域住民に親しまれている文化財を対象に、郷土の誇りとして後世に保存・継承すべき文化財を選定するもの。地域住民がふるさとの文化財の価値を再認識し、地域ぐるみで保存・活用していくきっかけづくりを目指している。このような、県庁が独自に地域の文化財にスポットを当て、顕彰する試みは全国的にみても珍しい。
百選事業の第一弾として取り上げられたのは「土蔵」。建物としては脇役でありながら、優れた建築技術や左官職人の妙技が施され、目を引くものがある。県内には約20,000の土蔵があるとされ、明治後半から昭和初めにかけて建てられたものが多い。
百選の選定に当たっての観点は次の5つ。1.技術的、もしくは意匠的に価値が高いもの 2.規模が大きいもの、もしくは建築年代が古いもの 3.名工の作であるもの、特殊な用途のもの、もしくは地域的な特色が顕著なもの 4.地域住民に親しまれ、所有者などによる保護の熱意が高いもの 5.地域の活性化などに活用されているもので、以上の一つに該当することが基準となっている。学術的・技術的な価値だけにとらわれず、ギャラリーなど、地域の文化活動拠点になっている土蔵も対象にされたことが特徴だ。
●大きな龍がうねる壁面の鏝絵
土蔵百選に選定された土蔵をいくつか紹介しよう。「名越家土蔵」(砺波市)は、江戸時代に建てられた蔵で基蔵、農機具蔵、味噌蔵、箪笥蔵からなる。印象的なのが巨大な鏝絵(レリーフ状の漆喰彫刻)の「波に双龍」。白漆喰の壁面に大きな龍がうねっているもので、壁面からいまにも飛び出してきそうな躍動感にあふれている。
富山市にある「石金家土蔵」(写真上)は“鞘(さや)”と呼ばれる出入口廻りの覆いの装飾や、松皮菱格子と亀甲積格子のなまこ壁が見事な土蔵だ。「旧森家土蔵」(写真下:国指定文化財:富山市)は、明治11年の建築。棟方向を変えた2棟の土蔵で構成され、出入り口は白漆喰の鳥居枠。扉には「竹に虎」、「波に龍」の鏝絵が施されている。
このほか、改修によって新たに酒店としてオープンした「旧岩瀬米穀」(富山市)など地域振興のシンボルとして再生された土蔵や、「庄川まちかどギャラリー蔵」(砺波市)のように再生され、地域の文化活動の拠点となっている土蔵も選ばれている。
選定された土蔵を紹介するガイドブック(A5版・46頁・オールカラー)が4月中に仕上がる予定。土蔵の歴史や構造、見どころなどを写真付きで解説するもので、県内の博物館や美術館、土蔵所有者などに配付される。また、ホームページでも土蔵を掲載する予定で、県教育委員会文化財課では「全国に富山の土蔵の素晴らしさをPRしたいですね。また、百選事業では17年度に富山の獅子舞を取り上げたいと思っています」と話している。冊子の発行やHPへの掲載の情報は、決まった時点でINTでもお知らせする。
問い合わせ
●富山県教育委員会文化財課
TEL.076-444-3456
FAX.076-444-4438
http://www.pref.toyama.jp/sections/3007/3007.htm