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2016年 8月 17日 [ イベント ]
No.769:閻魔王宮への誘い! 立山×地獄展
●閻魔、地獄で亡者を裁き、衆生救済
立山の自然と人との関わりをテーマに、新しい「立山の文化学」を発信してきた富山県[立山博物館]。「立山×地獄展」は開館25周年と「山の日」制定を記念した特別企画展で、第Ⅰ部「閻魔の眼光」と第Ⅱ部「地獄の閃光」<9月17日(土)~11月13日(日)>の2部構成だ。
立山は雄大な山岳景観や高山植物などの美しい一面と、火山活動など自然の脅威が共存する山。往古より「地獄のある山」として知られてきた。「立山×地獄展」は、立山と地獄が一対の存在として同一視されてきた山岳信仰の歴史的過程とその魅力を紹介するものだ。「閻魔の眼光」では、地獄で亡者を裁き、衆生を救済するとされる閻魔と立山がどのように関わり合いながら伝わってきたのかを考察する。
立山博物館のある立山町芦峅寺はかつて立山信仰の拠点だったところ。閻魔堂には、木造閻魔大王坐像(県有形民俗文化財)、初江王坐像、泰山王坐像、司命半跏像の4体の冥府像が伝わっている。「閻魔の眼光」では立山博物館・展示館に初めて4体の像を迎え、一般公開している。同展の目玉とも言える展示だ。寄木造の閻魔大王坐像は鎌倉時代の作とされており、かっと見開いた目と赤の彩色が不気味な雰囲気を漂わせる。像高は163cmあり、奈良の東大寺に伝わる閻魔王坐像(像高123cm)、白毫寺の閻魔王坐像(像高118.7cm)をはるかにしのぐ大きさだ。
なぜ、これほど大きな閻魔大王坐像が立山の麓、芦峅寺に伝わっているのか。立山博物館では、地方の信仰に基づく堂舎整備ではなく、国家鎮護、境界の守護として整備されたのではないかと推測する。平安時代、後白河法皇が京都に勧進した新熊野神社の社領として設定された荘園28カ所に「立山外宮(立山)」と九州の「彦山」(英彦山)の2つの「山」が含まれている。京の都から北東(鬼門)と南西(裏鬼門)にあたる境界とみなされ、特に立山の地獄谷が注目されたのではないかとしている。
このほか、女性の亡者が立山地獄から救われ、往生する話を記した「今昔物語集 巻14」(複製)や、無間地獄、黒縄地獄などの地獄を描いた聖衆来迎寺(滋賀県)の国宝「六道絵」の複製パネル、木造うば尊坐像などを展示。立山と閻魔信仰、閻魔王と帝釈天、閻魔王と地蔵信仰などについてもわかりやすく解説している。
●目玉が浮かぶ、不気味なスイーツ、召し上がれ
8月26日(金)、27日(土)、28日(日)10:00~16:00には、展示館入口付近で「地獄カフェ」がオープンする。スイーツで地獄のムードを体感してもらおうと、地域住民と立山博物館の学芸員がメニューを考案。11日と12日にもオープンし、家族連れらに盛況だった。
しそジュースを使った「血の池地獄ジュース(大)」、コーラジュレを使った「閻魔の眼玉」、イチゴ味ゼリーの「熱地獄ゼリー」と、地獄をイメージしたスイーツメニューがずらり。いずれのメニューにも寒天で作った「目玉」が入っている。地獄でくり抜かれた人の目玉のようで、なんとも不気味。閻魔大王が、日頃の行いに目を光らせているぞというメッセージでもあるかのようだ。
このほか、カシスアイスと辛みのある菓子またはシリアルなどを組み合わせた「寒地獄アイス」、植物の種・チアシードを入れた「地獄サイダー」など見た目もユニークなメニューが揃う。特別企画展を見学すると、閻魔大王から「免罪符」がもらえ、指定の1品と交換できるので味わってみよう。
8月26日(金)、27日(土)、28日(日)18:30~20:00、立山博物館・まんだら遊苑での夏のイベント「まんだらナイトウォーク ―光りと香りのページェント」も楽しみだ。キャンドルなどを使ったライトアップや、ビャクダンなどのお香・アロマを使った香りの演出で、地界、天界、陽の道、闇の道をより幻想的な雰囲気に。また展示館では「閻魔王宮ナイトミュージアム」(17:00~20:30)を開く。展示館を地獄の業火のごとく真っ赤にライトアップし、閻魔大王坐像も普段とは違った光の演出に。夜、おどろおどろしい地獄の世界を体感してみてはいかがだろう。
立山博物館では、「地獄思想は人々を脅かすだけのものではなく、厳しく自己の在り方を律する“内なる他者の目”として機能してきました。夏の終わりに立山の閻魔信仰の世界に触れてみてください。第Ⅱ部の“地獄の閃光”では、江戸時代の地獄の世界と立山地獄に焦点を当てます。立山×地獄展に来場の方には特製『閻魔帳』をプレゼントしています」と話している。
- 問合せ
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●富山県[立山博物館]
TEL.076-481-1216
FAX.076-481-1144
http://www.pref.toyama.jp/branches/3043/3043.htm