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2014年 8月 6日 [ イベント ]

No.669:8、9月は立山博物館へ!特別企画展「立山禅定名所案内」、荘厳な橋渡り儀式「布橋灌頂会」を紹介

夏本番、旅行で観光地へ出掛ける機会も多いだろう。富山を代表する観光地といえば、「立山黒部アルペンルート」。富山県[立山博物館](立山町芦峅寺)では特別企画展「立山禅定名所案内―観光地・立山のルーツをさぐる」を開催中<~8月31日(日)>。併せて、9月21日(日)に開催される橋渡り儀式「布橋灌頂会」も紹介しよう。僧侶と雅楽の調べに導かれながら布橋を渡り、心を清める行事が3年ぶりに開催される。白装束の「女人衆」を募集!応募締め切りは8月20日(水)。

●立山の特異な自然景観が描かれた浮世絵


▲特別企画展「立山禅定名所案内」(左)
▲布橋灌頂会(右)

 江戸時代、庶民に旅が普及し、全国各地の「名所」が注目を集めていった。立山は、立山禅定(たてやまぜんじょう:立山信仰に基づいて山に登り、山中で種々の修行をすること)により、江戸時代中期に名所化。禅定人(ぜんじょうびと)は立山信仰の拠点、立山山麓・岩峅寺(いわくらじ)、芦峅寺(あしくらじ)の宿坊で宿泊し、立山をめざした・・・。

 「立山禅定名所案内―観光地・立山のルーツをさぐる」は、山中の禅定道と「立山名所」に焦点を当て、立山の観光地化の原点とは何かを探る特別企画展。第Ⅰ章「立山禅定名所としての岩峅寺・芦峅寺」では、宿坊が栄えた岩峅寺・芦峅寺の景観を古絵図などで比較。大鳥居のあった岩峅寺は神域への入り口、聖なる杉木が林立する芦峅寺は山域への入り口と解説する。第Ⅱ章「立山山中の名所を歩く―景観と伝説」では、藤橋、材木石、美女杉などにちなんだ伝説を紹介。第Ⅲ章「立山名所の形成時期をさぐる」では、『立山寄付券記序』や『立山道名所』(巻子本)、『和漢三才図会』、『立山手引草』といった古文書や古絵図などの資料から立山名所の形成時期を推察。民間寄進によって立山山中の整備が進められ、絵図や立山曼荼羅(たてやままんだら)に名所が記されていった歴史などもわかる。第Ⅳ章「立山名所の視覚化と流布」では、山絵図や浮世絵などから観光地・立山の原点に触れられる。


▲第Ⅲ章「立山名所の形成時期を
さぐる」のコーナー(左)
▲立山博物館・展示館(右)

 展示で注目したいのは、「東海道五十三次」など名所風景画を多く描いた初代歌川広重の最晩年の作品「山海見立相撲」の中の一枚「越中立山」、二代歌川広重の「諸国名所百景」の一枚「越中立山真景」の浮世絵だ。いずれも立山が描かれ、江戸時代にいかにその名が広まっていたのかがわかる。安政5年(1858年)に板行された「山海見立相撲」は、大判横絵20枚からなる揃物。全体を通して、山の風景は奇趣、海の風景ははっきりとわかりやすくと、山海風景の妙をねらっている。華美な表現を避け、緑と藍を主調とした落ち着いた配色が印象的。深い色合いの藍は、“ヒロシゲ・ブルー”とも呼ばれている。

 「越中立山」を見ると、剱岳だろうか、急峻な峰々、岩場が連なる。地獄谷だろうか、谷間から噴煙が立ち上り、険しい山道を行く修験者が小さく描かれている。一方、「越中立山真景」は初代広重の作品を参考に、修験者を大きく描き、立山を修験の山として強調している。2枚の作品を見比べながら鑑賞してみるのもいいだろう。

 本企画展で初公開されたのが、立山曼荼羅「立山博物館E本」。収録内容は元治2年(1865年)に描かれ、筆者は摂津国坪井村(現、大阪府摂津市)の村田広秀という人物とみられる。江戸時代に岩峅寺の衆徒が発行した木版山絵図をもとに制作されたものだ。視覚化された「立山名所」が各地でどのように受容されたのかを知る手がかりとなることが期待される。立山曼荼羅は、愛知県や東京都などで発見されることが多く、大阪府に関するものは初めて。関西での立山信仰の普及を知る上でも貴重な史料といえる。

 立山博物館では、「立山の名所化には、岩峅寺、芦峅寺の衆徒が頒布した木版山絵図や立山曼荼羅が大きな役割を果たした。絵図類のほかにも地誌、名所案内などの書物で視覚化、イメージ化され、各地で知られるようになった。本展を通して、立山の魅力を再発見する機会となれば幸いだ」と話している。

●布橋灌頂会、参加者募集


▲女性たちが白装束姿で橋を渡る
「布橋灌頂会」
▲濃い緑に包まれた朱塗りの布橋

 橋渡り儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」<主催:布橋灌頂会実行委員会>が9月21日(日)10:00~12:00、立山博物館で行われる。目隠しで布橋を渡る女性の参加者を8月20日(水)<消印有効>まで募集する。

 布橋灌頂会は、女人禁制のため霊峰立山への登拝が許されなかった江戸時代、極楽往生を願う女性の救済のために営まれた儀式。布橋の下を流れる姥堂川を三途の川に見立て、布橋はこの世(此岸)とあの世(彼岸)の境界と考えられていた。女性たちは白装束をまとい、目隠しをして布橋を渡り、姥堂内で念仏を唱え、再び布橋へ。無事に渡り切ると、死後に極楽浄土に至ることができると信じられていた。明治初期の廃仏毀釈によって儀式は廃れたが、平成8年の国民文化祭で136年ぶりに再現され、その後、平成17年、18年、21年、23年に“心の癒しの儀式”として開催されてきた。24年には、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟の第3回「プロジェクト未来遺産」に県内で初めて登録されている。

 募集人数は80名(女性のみ)。日本の伝統文化に関心を持ち、健康で一人で橋渡りができる人。費用は20,000円。申し込みは、往復はがきかFAXで、1.郵便番号  2.住所 3.氏名 4.電話番号 5.身長を記入し、北日本新聞社営業局 布橋灌頂会係へ<〒930-0094 富山市安住町2-14 TEL.076-445-3320 FAX.076-445-3338>。はがきかFAX 1通につき1名の受付。申し込み多数の場合は抽選とし、抽選結果を返信はがきか電話にて通知する。

 なお、募集人数80名のうち、20名は「大人の休日倶楽部」<旅行企画・実施:JR東日本グループ(株)びゅうトラベルサービス>のツアーにて募集。コースや旅行代金、宿泊ホテルなど詳細はhttps://www.jrview-travel.com/reserve/travelItem/detail?courseNo=14B5058&genteiCd=1へアクセスを。

 立山博物館では、布橋灌頂会イベント開催記念展として、9月13日(土)~23日(火・祝)、「布橋灌頂会がわかる!!―あの世とこの世を渡す白道―」を開催。平成17年の布橋灌頂会の再現映像の公開や、立山曼荼羅「日光坊本」(個人蔵)、「天之浮橋の図」(雄山神社蔵)などの展示が行われる。白布を渡る意味とは何か、あの世とこの世を隔てるものとは・・・。全国でも珍しい行事の全貌が見えてくる。

問い合わせ
特別企画展「立山禅定名所案内」、「布橋灌頂会がわかる!!」について
●富山県[立山博物館]
TEL.076-481-1216
FAX.076-481-1144
http://www.pref.toyama.jp/branches/3043/3043.htm

「布橋灌頂会」について
●布橋灌頂会実行委員会事務局(立山町観光協会内)
TEL.076-462-9971
FAX.076-463-6611

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