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2014年 6月 4日 [ イベント ]
No.660:雪、水、氷と、新たな視点で立山を知るエコツアー
●街なかから世界有数の豪雪地帯、立山へ
ここ数日、真夏を思わせる暑い日が続く日本列島だが、立山一帯はまだ白銀の世界。標高2,450mの室堂平では例年のこの時期、約4mの積雪があり、美しい雪原と立山の峰々が織り成す荘厳な風景が広がっている。世界でも最も雪の多い地域の1つであり、毎年10月頃から7月初めまで、1年のうちの約9カ月も雪に覆われている。特に、室堂ターミナルの手前、雪の大谷付近は吹きだまりの地形で、立山黒部アルペンルート開通当初の4月中旬には高さ20mに迫る雪の壁がそびえ立つ。今年の雪の壁の高さは約15mで、現在でも12.5m(5月29日現在)の高さがあり、青い空と白い雪の壁のコントラストが印象的。この季節ならではのイベント・雪の大谷ウォークを楽しんでみよう。
立山に降り積もった雪は、まさに天然の雪のダム。春から夏にかけて清らかな雪解け水となって富山平野を潤す。“水の王国”富山の源であり、生命の営み、人の暮らしには欠かせないもの。その恩恵ははかり知れない。貸切バスツアー「雪の大谷が語る水と氷の物語」<旅行企画・実施:(株)Travearth(トラバース)>は、雪、水、氷という視点から立山を楽しみ、水の循環に触れることができるユニークな体験型ツアー。富山の街なかから標高2,450mの室堂平まで、大自然の壮大な物語をたどってみたい。立山や雪に精通した登山ガイドだからこそ実現できた企画。貸切バスによって、富山駅、市内各所のホテルから立山へダイレクトにアクセスできるのも大きな魅力だ。
ツアーの始まりは、いたち川沿いにある石倉町の延命地蔵尊と湧水。“いたち川の水辺と清水”として、平成の名水百選に選定されているスポットだ。万病に効く水ともいわれ、青銅製の龍の口から清らかな水がほとばしっている。安政5年(1858年)、越中・飛騨地方を襲った安政の大地震の際、大鳶山が崩れ、常願寺川の濁流が富山の町を襲い、疾病が蔓延した。お告げに従い、いたち川の川底から拾い上げた地蔵尊像を供養したところ、病で苦しむたくさんの人々が快方に向かったと伝えられている。ツアー参加者にプレゼントされるオリジナルデザインのボトルに名水を入れて旅のお供としよう。
バスは、街なかから上流部の常西合口用水へ。戦国武将・佐々成政が設けたといわれる佐々堤や江戸時代の殿様林などを横目に用水沿いを走り抜け、常願寺川に架かる立山橋を渡って立山町へ。次に立ち寄るのは、日本有数の大規模崩壊地・立山カルデラの自然や歴史、砂防について紹介する立山カルデラ砂防博物館だ。2012年に立山連峰の雄山東側斜面にある「御前沢 (ごぜんざわ)雪渓」、剱岳北方稜線の「三ノ窓雪渓」、「小窓雪渓」が日本初の氷河に認定されたが、同博物館はこの調査研究の最前線となっている。“氷の山”、“水 の山”、“上昇する山”、“火の山”、“生命の山”としての立山の特徴や自然の多様性、雪の壁からわかる地球の気象など、ロマン溢れる話を学芸員から聞くことができる。
●3,000m級の峰々の大パノラマに心を癒す
バスは桂台から立山黒部アルペンルートへ。新緑が目にまぶしい美女平を過ぎ、標高が上がるにつれ、季節は純白の雪に覆われた冬へと逆戻りする。標高1,930mの弥陀ヶ原には雪原が広がっている。弥陀ヶ原はラムサール条約の登録湿地。雪原に立つと、湿地を生みだす豪雪、寒冷な気候が肌で感じられるだろう。昼食前に参加者全員でスコップで足元の雪原を軽く掘り、スノーベンチづくり。昼食には、北前船ゆかりの町・富山市岩瀬の仕出し・惣菜店の特製弁当が用意されている。ニシンを昆布で巻き、甘く煮付けた昆布巻、べっこう、バイ貝の煮付けなど富山の郷土料理の詰め合わせ。富山平野や大日岳を眺めながら食べる弁当は格別の美味しさだ。
ツアーのハイライト、室堂平も白銀の世界。大雪原を囲むようにそびえる3,000m級の峰々の大パノラマ、圧倒的なスケール感に誰もが感動するに違いない。雪の大谷や、室堂ターミナルと立山自然保護センターを結ぶ通路・雪の回廊にも雪の壁がそびえる。観察すると、雪質の違う層が積み重なってできていて、中には氷の層や黄砂の入った層などもあることがわかる。雪の壁はひと冬の大気の様子が記録されており、タイムカプセルともいえる。ライチョウウォッチングもこの時期の楽しみ。ペアリングの季節を迎え、縄張りを見張るオスを発見しやすい。運がよければ、至近距離でその姿を観察することができる。
●特別な“山時間”を体感
室堂平では自由行動が基本だが、立山の自然をより深く感じてほしいと、ツアーガイドの大塚憲一さんが雪の壁を解説したり、みくりが池周辺をガイドしたりする時間も設けられている。雪に被われた立山とみくりが池、氷の割れ目から見えるコバルトブルーの湖面……日常生活では体感できない特別な「山時間」を満喫したい。
(公社)日本山岳ガイド協会認定登山ガイド(立山ガイド協会所属)、総合旅行業務取扱管理者の肩書きをもつ大塚さんは、東京都出身。富山大学理学部地球科学科で雪氷学を専攻し、立山の雪の研究に携わったことで富山の豊かな自然に魅了された。大学院修了後、東京でツアーコンダクターとして働いたあと、世界一周の旅へ。そこで現地発着型ツアーに参加し、日本ではあまり一般的ではない旅のスタイルに興味を持ち、2010年に富山で旅行会社「(株) Travearth」を設立した。立山での山歩きをメインとした体験型の旅を企画、ガイドしている。これからの登山シーズンには、個人客やグループを対象にした登山やトレッキング、山小屋泊、テント泊などプライベートプランも提案する。
大塚さんは、「街なかから高山帯まで1日で体験できるのが富山の素晴らしいところ。全国でもそんな地域はそうありません。大雪原とその向こうに連なる3,000m級の峰々の景観は、神々しいほどの美しさです。5月からバスツアーをスタートさせました。立山の楽しみ方はいろいろ。国内最高所の温泉、みくりが池温泉で日帰り入浴を楽しむ参加者もいらっしゃいます。県内をはじめ、県外からもぜひご参加ください。1日のツアーですが、同じバスに乗り合わせた者同士、一期一会を大切に旅を楽しんでほしいです。来年春に北陸新幹線が開業します。リピーターにつなげ、交流人口を増やしたいですね」と話している。
ツアーのタイムスケジュールを紹介しよう。8:30に貸切バスで富山駅北口を出発し、市内ホテル(エクセルホテル東急、ANAクラウンプラザホテル)を経由し、9:00~9:15いたち川の水辺と清水探訪へ。10:20~11:00立山カルデラ砂防博物館を見学し、12:00~13:00弥陀ヶ原の雪原で昼食。13:20~15:00雪の大谷ウォーク、室堂平散策。17:30富山市内到着、解散。募集人員は、6月7日、8日、14日、15日、21日、22日の各日20名(最少催行人数4名)。参加するには予約が必要。前日の18:00まで受け付けている。料金は大人12,000円、小人(小学生)7,000円、幼児(3歳~)5,000円。貸切バス代、立山有料道路代、立山カルデラ砂防博物館入館料、昼食弁当代(幼児は除く。※幼児の弁当は各自でご用意ください)、ガイド料、保険料、消費税を含んでいる。
※写真は5月25日に開催 されたツアーの様子(撮影:宮下裕介氏)
- 問い合わせ
- ●(株)Travearth(トラバース)
TEL&FAX 076-456-3770
http://www.travearth.jp/