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2012年 7月 18日 [ トピックス ]

No.565-1:知的好奇心をくすぐる仕掛けいっぱい! 文学ファン必見!!「高志の国 文学館」オープン

富山県ゆかりの作家や文学作品をはじめ、映画、漫画、アニメーションなどを幅広く紹介する「高志(こし)の国 文学館」が7月6日、富山市中心部、舟橋南町に開館した。涼風渡る松川沿いからのアプローチを進み、エントランスへ。旧知事公館の庭園に面した深い軒を持つ大空間は街なかのオアシスといった趣。緑の景観に心を和ませたところで、文学散歩へ――。


●ふるさと文学に楽しく触れ、ふるさとへの愛着や想いを高める

 富山県ゆかりの作家や文学作品をはじめ、映画、漫画、アニメーションなどを幅広く紹介する「高志(こし)の国 文学館」が7月6日、富山市中心部、舟橋南町に開館した。涼風渡る松川沿いからのアプローチを進み、エントランス、ライブラリーコーナーへ。旧知事公館の庭園に面した深い軒を持つ大空間は街なかのオアシスといった趣。緑の景観に心を和ませたところで、文学散歩へ――。

 「高志の国 文学館」は、大伴家持の越中万葉の時代から近現代の作家まで、富山ゆかりの文学資料約3万点を収蔵する。館内は「ふるさと文学の回廊」、「企画展示の蔵」、「ふるさと文学の蔵」、「ふるさと偉人の蔵」などでゾーニングされている。富山県は、万葉歌人・大伴家持が223首もの歌を詠んだ越中万葉ゆかりの地。導入展示となる「ふるさと文学の回廊①」では、ふるさと文学万華鏡「大伴家持物語」を鑑賞することができる。家持の生涯を描いた映像を絵物語で解説した、現代的なデジタル絵巻がユニークだ。

 「企画展示の蔵」では、開館記念展「大伴家持と越中万葉―風土とこだまする家持の心―」を開催中<10月14日(日)まで>。第一部では、家持が越中で詠んだ歌の世界を現代の日本画や写真を交えて紹介している。第二部では、家持の人物像を読み解く手立てとして、生きた時代の資料や後世の人がイメージ化した家持像を取り上げている。江戸時代に最も多く読まれた木版刷りの万葉集「寛永版本万葉集」(江戸時代初期)など貴重な資料を展示。家持が越中時代に詠んだ歌の独創性を探り、越中の風土と共鳴した心のありように触れられる。

 開館に合わせて県が企画したアニメ「マイの越中万葉体験記」(ピーエーワークス制作)がモニターで上映(約30分)されているから、子どもたちにぜひ観てもらいたい。現代から万葉時代にタイムスリップした女の子、マイが家持と出会い、越中万葉の心に触れるストーリー。家持と越中の風土との関わりをマイの視点からわかりやすく紹介し、越中万葉の魅力を伝えている。このほか、絵本『春の苑 紅にほふ―はじめての越中万葉』(企画:富山県、文:高岡市万葉歴史館、絵:佐竹美保)の原画も展示。美しい水彩画から万葉時代に思いを馳せてみたい。

●映像と音で万葉の世界を体感「万葉とばし」

 「ふるさと文学の回廊②」では、富山県ゆかりの作家10名(宮本輝氏、木崎さと子氏、柏原兵三氏、三島霜川氏、小寺菊子氏、田部重治氏、堀田善衞氏、源氏鶏太氏、田中冬二氏、岩倉政治氏)をクローズアップ。現在、堀田善衞氏のブースでは、高岡市伏木で代々廻船問屋を営んでいた生家を描いた自伝的要素の強い作品『鶴のいた庭』の直筆原稿や愛用の万年筆(ドイツ製)などを展示し、創作の過程を紹介している。源氏鶏太氏のブースでは、サラリーマンの恨みつらみを描いた妖怪変化もの『永遠の眠りに眠らしめよ』の原稿などが見られる。

 圧巻は「ふるさと文学の蔵①」。高さ5m、幅13.7mの書架が壁面を覆い尽くしている。文学書など約3,000冊が棚に収められており、その一角には昨秋、急逝した歌人・作家の辺見じゅん氏が寄贈した文学書なども並ぶ。同蔵の中央には「万葉とばし」と呼ばれる映像装置がある。光の球を両手ですくい、そこに映る文字を放り上げると、スクリーンに家持の歌11首のうちの1首ずつが投影され、朗唱も始まる。朗唱、映像、自然の音を交えて体感的に学べるユニークな仕掛けだ。

 漫画ファン必見ともいえるのが、「ふるさと文学の蔵③」。原秀則氏、まつもと泉氏、山根青鬼・赤鬼氏、藤子・F・不二雄氏、藤子不二雄A氏(Aは○中にA)と、県ゆかりの漫画家6人を紹介。Gペンや雲形定規、インク、漫画の原画などが並ぶ。「越中の先人コーナー」では、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の蔵書を収蔵する富山大学のヘルン文庫の紹介や、日本を代表する銀行の創立者であり、東京大学の安田講堂、日比谷公会堂を寄付した安田善次郎氏、“京浜工業地帯の父”と呼ばれる実業家・浅野総一郎氏、アドレナリンの抽出に成功した高峰譲吉氏ら7名の先人たちを紹介している。

 このほか、次代を担う子どもたちが遊びながら文学や絵本、アニメに親しめる「親子スペース」もあるなど、同文学館には、子どもから大人まで知的好奇心をくすぐる仕掛けが盛りだくさん。万葉時代から約1,300年に及ぶ越中文学をはじめ、富山ゆかりの映画や漫画、アニメに楽しく触れるひとときを。

 なお、館内には、人気シェフ・落合務氏(日本イタリア料理協会会長)が手掛けるレストラン「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ・トヤマ」がある。東京・銀座、名古屋に次ぐ直営店舗。富山湾で獲れた魚介のムニエルやグリル、城端むぎやポークのグリルなど、富山の食材をふんだんに使った本格的なイタリアンが堪能できる。ランチは1,575円、2,100円、2,940円の3種類(先着順)、ディナーは2,520円、3,990円の2種類(予約制)。カフェタイムに庭園を眺めながらコーヒーや紅茶を味わい、文学鑑賞の余韻に浸ってみるのもいいだろう。

 高志の国文学館では、「直近のイベントとして、NHK交響楽団のメンバーによるミュージアムコンサートを7月22日(日)10:30から開きます。文学の森でクラシックを楽しむひとときを」と話している。

▲ふるさと文学の蔵①(左)
▲ふるさと文学の蔵③(中央)
▲親子スペース(右)


問い合わせ
●高志の国 文学館
TEL.076-431-5492
FAX.076-431-5490
http://www.koshibun.jp/

●文学館内レストラン「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ・トヤマ」
TEL.076-433-5656

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