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2012年 3月 14日 [ 特産品 ]

No.548-2:紙風船のクリエーター、伝統を次代へつなぐ

富山の薬売りといえば、おまけとして配られた紙風船が思い浮かぶが、そんな紙風船も、薬売りの衰退とともに県内でもなじみが薄くなっている。富山の紙風船の伝統・文化を廃れさせまいと、県内各地で紙風船制作教室を開いているのが、創作紙風船倶楽部代表の飯田光男さんだ。創作を始めて17年目、御年79歳。定年後の第二の人生を紙風船とともにいきいきと過ごしている―。

▲紙風船を制作中の飯田光男さん

●富山の紙風船の魅力発信へ!

 富山の薬売りといえば、おまけとして配られた紙風船が思い浮かぶが、そんな紙風船も、薬売りの衰退とともに県内でもなじみが薄くなっている。富山の紙風船の伝統・文化を廃れさせまいと、県内各地で紙風船制作教室を開いているのが、創作紙風船倶楽部代表の飯田光男さんだ。創作を始めて17年目、御年79歳。定年後の第二の人生を紙風船とともにいきいきと過ごしている―。

 自宅の書斎には、伝統のサイコロ型の紙風船をはじめ、万華鏡のように中をのぞくと達磨が見えるもの、20面体30個の紙風船を組み合わせた中にさらに風船が入ったもの、誕生月色紙風船、ピラミッドリング飾りなど、色、形さまざま紙風船が並ぶ。まさに紙風船ワールド。飯田さんは紙風船のクリエーターだ。

 千代紙やポスター、封筒、チラシなど材料はさまざま。紙風船の伝統的な作り方に、独創的な工夫を施した。考案した紙風船の作り方は174種類にもなる。机の上には、千代紙基本紙風船、花籠入り内蔵紙風船など、考案した紙風船の設計図の数々。標準紙15cm四方、谷折り線、のりしろ3辺……という文字が図面に書き込まれている。紙風船と聞けば、民話の世界を思い浮かべてしまうが、テクニカルな世界、創造力が必要な世界のようだ。造形の美しさ、手作りならではの温もりがハーモニーを奏でている。

●県外の人に気づかされた紙風船の魅力

 両親が砺波市出身で、昭和7年に東京で生まれた飯田さんは、大手自動車部品メーカーの技術的営業職や社内インストラクター、関連子会社の社長を務めた後、63歳で退職し、富山に帰郷。「これからの人生、人や富山に何か役に立てることはないか」と思いながら、四国巡礼の旅へ。この旅が紙風船の魅力に気づく、きっかけになった。四国の霊場でお世話になった岡山市の女性にお礼の手紙と紙風船を送ったところ、「なつかしい紙風船、遠い昔、母が紙風船を持たせてくれたこと、富山の薬売りを思い出し、胸が熱くなりました」と書かれた手紙が返ってきたのだ。「何気なく送った紙風船が人の心を揺り動かした。その魅力に県外の人に気づかされた。普及させたい」と思い、平成7年から紙風船作りに取り組み始めた。

 平成17年、創作紙風船倶楽部を設立し、普及活動に力を入れてきた。これまでに教室で学んだ生徒は、子どもから高齢者まで2,457人。普及させるには1人では限界があると、指導者コースを設け、現在4人を認定している。

 「紙風船は世界に誇るべき、富山の伝統・文化。郷土にこんな素晴らしいものがあることに、もっと目を向けてほしい。縁があれば、県外や、海外にも広めたい」。飯田さんの思いは紙風船のようにふくらんでいる。

●富山やくぜん、43品目に

 富山の薬のつながりで、話題をもう1つ。薬都・富山の伝統を生かした「富山やくぜん」の第2弾として18品目が新たに認定され、昨年秋の25品目と合わせて43品目になった。健康ブームで人気を集める薬膳料理。「富山やくぜん」は、新鮮な富山の食材を使用し、栄養や安全・安心面に配慮しながら、古くから健康面で効果があるとされる食材をくわえたもの。富山市では、新たな観光資源として普及を図っている。

 認定には、「地産地消や旬産旬消に配慮した富山の食材を1品目以上使用」、「古くから健康面で効果があるとされる食材を1品目以上使用」、「安全・安心面に配慮した食材の使用や調理法を採用」、「使用した食材について食べる人に情報が提供できる」、「富山やくぜんの研修会に参加」、「栄養バランスや見た目がよく、食べて美味しい」の6つの基準を満たすことが条件となっており、認定委員会の審査員による書類審査、試食審査を経て、認定品が決まった。

 いくつかメニューを紹介すると、いけす割烹店「銀鱗」の「やくぜん食材の黒字釜めし」は、県産コシヒカリと自家製黒作り、イカの墨、松の実、蓮の実、クコなどの食材を使った釜飯。リバーリトリート雅樂倶・西洋膳所「サヴール」の「地元菜園で収穫した、たっぷり旬菜と雛鶏の薬膳スープ仕立て」は八尾産のキノコ、大沢野産の野菜、ナツメ、ショウガ、チョウジなどを使ったメニュー。ANAクラウンプラザホテル富山「カフェ・イン・ザ・パーク」の「氷見産牛バラ肉の中華風煮込み」は、県産野菜、氷見産牛バラ肉、桂皮、甘草などを使用。「日本料理 五万石本店」の「立山ポークとやく膳だしつゆしゃぶ」は、松の実、八角、ウコン、陳皮などを使っただしつゆが特徴の鍋。認定店や料理などの情報は、「富山やくぜん」のホームページで確認することができる。春、うららかな日射しや桜の花びらに誘われて、「富山やくぜん」の店をめぐってみてはいかが。

▲「氷見産牛バラ肉の中華風煮込み」(ANAクラウンプラザホテル富山「カフェ・イン・ザ・パーク」)


問い合わせ
「創作紙風船」について
●創作紙風船倶楽部
TEL&FAX.076-425-6175

「富山やくぜん」について
●富山やくぜん普及推進会議(富山市商工労働部薬業物産課内)
TEL.076-443-2071
FAX.076-443-2183
http://www.yakuzen-toyama.com/

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