高度な技術力で県内のものづくりの活性化に貢献した企業の製品などを顕彰する「第2回富山県ものづくり大賞」。昨年度に創設され、第2回目となる今年度の大賞に(株)ゴールドウイン(本店・小矢部市)の「汗・加齢臭 消臭下着MXP」、優秀賞にアイシン軽金属(株)(射水市)の「アルミ製ステアリングシャフト」、特別賞にシーケー金属(株)(高岡市)の「CKパーフェクトロック」が選ばれた。

●時代のニーズを先取りした技術

　高度な技術力で県内のものづくりの活性化に貢献した企業の製品などを顕彰する「第2回富山県ものづくり大賞」。昨年度に創設され、第2回目となる今年度の大賞に(株)ゴールドウイン(本店・小矢部市)の「汗・加齢臭 消臭下着MXP」、優秀賞にアイシン軽金属(株)(射水市)の「アルミ製ステアリングシャフト」、特別賞にシーケー金属(株)(高岡市)の「CKパーフェクトロック」が選ばれた。2月27日、富山第一ホテル(富山市)で表彰式が行われ、石井知事から表彰状が贈られた。

　富山県は日本海側屈指の工業集積を形成する“ものづくり県”。ものづくりが産業･文化の発展を支えてきた。「富山県ものづくり大賞」は、ものづくりの活性化に寄与した企業の顕彰とともに、ものづくり機運の一層の醸成を図ることを目的に昨年度に創設。県内に本社や主な事業所、研究開発拠点などを置く企業を対象に、概ね3年以内に開発された技術や製品を表彰する。今年度は17件の応募があり、審査委員会による第一次、第二次の審査を経て、各賞が決定した。

　汗の臭いや加齢臭に悩む中高年男性は少なくない。(株)ゴールドウインの「汗・加齢臭 消臭下着MXP」は、汗の臭いを消臭する植物系の繊維と、加齢臭を吸収する繊維を組み合わせた耐久力のある生地を使った機能性下着(シャツ･パンツシリーズ)で、着用するだけで臭気成分の発散を抑える。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のオープンラボ「近未来宇宙暮らしユニット」で共同開発した宇宙下着の技術がベースになっている。開発にあたり、県工業技術センター生活工学研究所で試験を重ねた。シャワーの使えない宇宙船内用の下着に採用されたほか、チリ鉱山の落盤事故や東日本大震災の支援物資として提供され、国内外に富山県の繊維産業の高い技術力をPRした。

●独自の技術、製品に注目

　アイシン軽金属(株)の「アルミ製ステアリングシャフト」は、軽量で低コストなアルミ製ステアリングシャフト。独自に開発した「高強度アルミ合金」や、高精度なアルミニウム押出技術と鍛造技術を融合した「多段押出成形技術」、「衝撃吸収構造」により、従来品に比べて40％の軽量化、部品点数の低減による10％の低コスト化を実現した。運転時にハンドルに伝わる振動を抑える振動吸収特性も併せ持っている。トヨタの高級車に採用されており、今後、ハイブリット車、電気自動車への搭載も期待される。二酸化炭素削減や燃費向上が求められる自動車産業のなかで、次代のニーズを先取りした同社の高い技術力が注目されている。

　シーケー金属(株)の「CKパーフェクトロック」は、アルミ3層管を用いた空調設備のファンコイルユニット接続専用の金属継手。パイプを金属製の継手に取り付ける際の施工ミスをなくすため、継手の内部にパイプをかしめる(金属の接合部分を金具・工具で固くとめる)機能を持ち、小さな工具で簡単に接続できるようにした。作業負担が格段に軽減され、また不完全な接続の場合には次の工程に進めないなど、作業ミスを徹底的に排除する工夫が凝らされている。漏水防止効果が高いのが特徴だ。5月に開業する東京スカイツリーに隣接して建設中のオフィス・商業施設、東京スカイツリーイーストタワー (31階、158m)の空調設備にも採用されている。

　2月27日の表彰式では、梶村審査委員長(一般財団法人機械振興協会 副会長)が審査報告の中で、「いずれの応募内容も優れたものばかりで、審査委員会として選考に大変苦慮した。第2回も、1つの県域と思えないほどレベルの高い技術や製品が多かった」と述べた。

　表彰式後に行われた、受賞製品についての発表会では、県内の大学などで学ぶ学生らが熱心に耳を傾け、エンジニアを目指す若い世代にいい刺激になったようだ。


問い合わせ
●富山県商工労働部商工企画課 新産業科学技術班
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