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2012年 1月 18日 [ トピックス ]
No.540-1:7月6日、高志の国文学館、開館
「高志(こし)の国(くに)文学館」が7月6日(金)、富山市中心部に開館する。大伴家持の越中万葉から現在に至るまでの富山県ゆかりの文学作品のほか、映画、漫画、アニメーションなどを幅広く紹介する施設。著名作家の直筆原稿や愛用品など見ごたえたっぷりの展示となる。
●誰もが気軽に文学や漫画などに親しめる空間
「高志(こし)の国(くに)文学館」が7月6日(金)、富山市中心部に開館する。大伴家持の越中万葉から現在に至るまでの富山県ゆかりの文学作品のほか、映画、漫画、アニメーションなどを幅広く紹介する施設となる。富山市出身の歌人・作家で、昨秋に急逝した辺見じゅん氏をはじめ、入善町に疎開した経験のある芥川賞作家・柏原兵三氏や高岡市伏木出身で芥川賞作家の堀田善衞氏ら、県ゆかりの文学者を紹介するコーナーなどを開設する。松川べりにある旧知事公館と隣接地を活用して県が整備するもので、館長には、国文学者で池坊短期大学学長、奈良県立万葉文化館館長の中西進氏が就任。
館内は、「企画展示の蔵」、「ふるさと文学の蔵」、「ふるさと偉人の蔵」などでゾーニングされる。導入展示では、越中万華鏡「大伴家持物語」として、家持の生涯を描いた映像を絵物語で解説し、家持の作風に富山の自然や風土がどれほど影響したかを伝える。また、「山岳文学物語」として、立山が育んだ文化や文学についても絵物語で紹介する。
「企画展示の蔵」では、第1回企画展(オープニング企画展)が7月6日(金)~10月中旬、「大伴家持と越中万葉」をテーマに開催。越中万葉の世界と家持の実像を、古写本や絵画、写真などを用いて紹介する。第2回企画展は「富山を描く映画の世界」、第3回は「藤子不二雄A( 本記事中の藤子不二雄AさんのAはすべて「○中にA」)の世界」を予定している。
「ふるさと文学の蔵」では、立山連峰をイメージした折り紙オブジェに、家持と現代人が語り合う場面のシルエットを投影。和歌を天にとばし、家持が詠んだ富山の景色をよびもどすなど、凝った演出が見ものだ。「越中文学の回廊」では、岩倉政治氏、柏原兵三氏、源氏鶏太氏、堀田善衞氏ら富山県ゆかりの文学者(10名)の直筆原稿や愛用品などを常設展示するほか、辺見じゅん氏を紹介する常設展示コーナーも設ける。
漫画・アニメファン必見のスポットといえるのが、「ふるさと偉人の蔵」。藤子不二雄A氏、藤子・F・不二雄氏、まつもと泉氏、花咲アキラ氏ら富山県ゆかりの漫画家に焦点を当てる。作品の原画、創作ノートなどを展示。また、漫画やアニメーションの原理、制作工程などを学べるコーナーもあり、子どもから大人まで楽しめそうだ。
館内には、イタリアンレストランもオープンする。人気シェフの落合務氏(日本イタリア料理協会会長)が手掛けるもので、東京、名古屋に次ぐ直営店舗。富山の海、山、野の素材を生かした本格的なイタリア料理に期待も高まる。
●県内外から約27,000点の文学資料を収集
県では、文学館開館に向け、文学資料の確認、収集を平成21年から始めた。現在、収集した文学資料は約27,000点にのぼる。このうち、辺見じゅん氏と遺族から寄贈を受けたものが、約2,100点を占める。芥川龍之介『羅生門』、島崎藤村『若菜集』、泉鏡花『高野聖』、高村光太郎『道程』、萩原朔太郎『月に吠える』、宮沢賢治『春と修羅』など著名作家の初版本をはじめ、父親で俳人の角川源義宛の川端康成氏の封書、折口信夫宛の角川源義氏の葉書、源義氏のアルバム、源氏鶏太氏のアルバム、岸田劉生氏の「武者小路実篤像」、与謝野晶子氏の「短冊」など、貴重な資料が揃う。
県内外の在住者から提供を受けた富山県ゆかりの文学資料は、約15,900点にのぼる。入善町で疎開した経験のある芥川賞作家・柏原兵三氏の『長い道』、『徳山道助の帰郷』の直筆原稿や、大江健三郎氏、井上靖氏らと交わした書簡、写真アルバムをはじめ、南砺市出身の小説家・岩倉政治氏の代表作『無告の記』の直筆原稿や書簡、富山市出身で英文学者・登山家の田部重治氏の直筆原稿、小説家の池波正太郎氏の書簡などが集まった。
富山県生活環境文化部文化振興課 高志の国文学館整備班では、「このほか、万葉集関係資料を約6,000点、小泉八雲関係資料を約3,000点収集しました。寄贈くださった方々に感謝したい。今後も引き続き、資料の収集に努めていきます。文学館は、富山県の豊かな自然や風土の中で育まれてきた文学の魅力を発信する施設。次代を担う子どもたちが遊びながら文学や絵本、アニメに親しめるように、親子スペースも設けます。県内外から大勢の文学ファンに訪れてほしい」と話している。
問い合わせ
●富山県生活環境文化部文化振興課 高志の国文学館整備班
TEL.076-444-8929
FAX.076-444-8900
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1718