300年以上の伝統がある「富山のくすり」。富山市では、健康に良いとされる食材や富山産の食材などを使用した25品目(市内21事業者)を「富山やくぜん」として認定した。「薬都富山」ならではの新たな観光資源として普及を図る。「認定店ガイドマップ」を配布中。メニューを気軽に味わってみよう。

●健康食材と富山の新鮮食材の組み合わせ

　300年以上の伝統がある「富山のくすり」。富山市では、健康に良いとされる食材や富山産の食材などを使用した25品目(市内21事業者)を「富山やくぜん」として認定した。「薬都富山」ならではの新たな観光資源として普及を図る。

　富山やくぜん普及推進会議では、昨年度から認定に向けて、「富山やくぜん」の定義や認定基準を作成。今夏、市内で料理や菓子などを提供している事業者を対象に、「富山やくぜん」の認定基準を満たした料理、菓子などを提供できる店を募集した。「富山やくぜん」の認定には、「地産地消や旬産旬消に配慮した富山の食材を1品目以上使用」、「古くから健康面で効果があるとされる食材を1品目以上使用｣、「安心・安全面に配慮した食材の使用や調理法を採用」、「使用した食材について食べる人に情報が提供できる」、「富山やくぜんの研修会に参加」、「栄養バランスや見た目がよく、独創性に富み、食べて美味しい」の6つの基準を満たすことが条件となっている。

　7月に「富山やくぜん｣研修会を実施。認定にあたっては、応募した店を認定委員会の委員(薬学博士、医学博士ら5名)が訪ねて審査した。食材や調理法を確認し、実際に試食。どのような食材が使われており、どのように体に良いかなどをお客に説明できるかなども確認した。

　薬膳といえば、生薬などを使った苦いイメージがあるが、「富山やくぜん」では、ゴマやショウガ、シソの葉といった日頃から食され、なじみのある素材なども使った和食・洋食・中華料理、菓子を幅広く認定(調理部門19品、製菓部門4品、食品加工部門2品)。県内外からの観光客に薬都富山ならではのメニューを気軽に楽しんでもらいたい考えだ。

●食べて美味しいメニューがずらり

　「富山やくぜん」に認定されたメニューをいくつか紹介すると、健康膳 薬都(池田屋安兵衛商店)の「健康膳」は、高麗人参と鶏団子のスープ、黒米の山菜おこわ、野草の天ぷら、特製デザートなどをセットにしたメニュー。癒楽甘 春々堂の「春々堂の薬膳カレー」は、雑穀米に紅花を入れて炊き上げたライスがポイント。Osteria食堂・ふらいぱんの「エゴマのスパゲッティ」&「エゴマと野菜のピッツァ」は、α-リノレン酸を豊富に含むエゴマとイタリアンのコラボ。富山第一ホテル・中国料理「白楽天」の「小矢部メルヘンポークと山薬の煮込み 季節の野菜添え」は、小矢部の特産豚肉と山薬(ヤマノイモの根茎を乾燥させたもの)の組合わせ。富山電気ビルデイングレストランの「一汁三菜薬膳」は、よもぎ胡麻豆腐やげんげの香り揚げなどをセットに。パレブラン高志会館・リトル上海の「健美コース」は鶏肉の健身スープ、エビと白キクラゲの炒め、薬膳チャーハンなど6品が並ぶ。

　富山市では認定店に認定証とステッカーを交付。このほど、認定店や料理名、料理写真、住所、TEL、営業時間などのデータを記載した「認定店ガイドマップ」を作成し、配布を始めた。12月に第2回の「富山やくぜん」研修会を開き、新たなメニューを募集する。

　なお、富山市内には薬都富山のルーツや歴史、売薬などについて学べる資料館やミュージアムが点在している。呉羽山の山麓に建つ富山市民俗民芸村の「売薬資料館」では、富山を代表する和漢薬である反魂丹（はんごんたん）に関する史資料や、柳行李（やなぎこうり）、懸場帳（かけばちょう）などの行商用具、製薬用具など、売薬の資料を3,000点ほど収蔵する。薬種商の館「金岡邸」(富山県民会館分館)は明治初期の薬種商店舗の遺構をとどめており、生薬、製薬用具、売薬版画など貴重な資料を展示。「廣貫堂資料館」では売薬300年の歴史、製造工程などをスクリーンで観賞できる。富山駅前CiCビルのいきいきKANにある「くすりミュージアム」は薬膳カフェやハーブ体験コーナーを併設している。「富山のくすり｣の歴史に触れながら、「富山やくぜん」の認定店をめぐってみてはいかがだろう。



問い合わせ
●富山やくぜん認定委員会事務局(富山市商工労働部薬業物産課内)
TEL.076-443-2071
FAX.076-443-2183
http://www.yakuzen-toyama.com/