トピックス

アーカイブ

2009年 12月 9日 [ トピックス ]

No.433-1:富山の伝統工芸に新しい波


  井波彫刻、高岡銅器、高岡漆器など、富山県の伝統工芸の世界で、受け継がれてきた伝統の技を生かしながら現代のライフスタイルやニーズに合った商品を開発しようとする動きが加速している。景気の先行きが不透明ななか、新たな需要を掘り起こす起爆剤にと期待が高まっている。


●井波彫刻の技を駆使したエレキギター

 井波彫刻、高岡銅器、高岡漆器など、富山県の伝統工芸の世界で、受け継がれてきた伝統の技を生かしながら現代のライフスタイルやニーズに合った商品を開発しようとする動きが加速している。景気の先行きが不透明ななか、新たな需要を掘り起こす起爆剤にと期待が高まっている。

 200本以上のノミ、彫刻刀を駆使する卓越した技で欄間や衝立、獅子頭などの工芸品を生み出す井波彫刻。南砺市の井波彫刻協同組合では、木彫のエレキギター、案内看板、照明器具など、これまでの伝統工芸の枠を越えたユニークな新商品を開発、オーダーを受け付け中だ。
 
 エレキギターの「龍剣(Dragon Sword)」は、天から舞い降りた龍が剣に巻き付いた迫力のあるデザインで、長さ約160cm、幅約60cm。重さは約8kgと通常のギターの倍ほどあり、龍の部分はクス材。また、「水月」はギターのボディーに透かし彫りが施されている。いずれのギターも演奏に支障がなく、音にも問題がない。ギタリストや音楽ファンの間で話題になり、派手な装飾はロックバンドのコンサートでもウケるのではと、海外デビューを期待する声も多い。

 案内看板は、寺院に置くことをイメージした趣のあるデザインで、ケヤキ材に「宝物殿」、「土足厳禁」、「禁煙」などの文字やサインが彫られている。井波別院瑞泉寺の境内に見本として置かれ、井波彫刻の技を参拝者にPRしている。照明器具には、椅子型やテーブルスタンド型、鏡付きの衝立型などがあり、木と光の温もりが感じられる。

●洋の空間にあった現代仏具などの開発

 約400年の歴史を誇る高岡銅器では、現代の生活様式にマッチしたデザイン性の高い“現代仏具”の商品展開が顕著だ。花立、香炉、燭台からなる「三具足」に蓮の形を取り入れたデザイン性の高い商品、都会のマンションやアパートの洋室に置いても違和感のない、小型で家具調の仏壇などが登場している。このほか、真鍮を素材にした鍋敷や栓抜き、風鈴、スズを使った食器類など高品質の商品が売り上げを伸ばしている。東京で開催される国際見本市や、イタリア、フランスなど海外の展示会に出展する動きも拡大。伝統の技術を生かした新商品を発表することで、新しい販路開拓につなげることが期待されている。

 アワビなどの貝を使った青貝塗、勇助塗、彫刻塗など、多彩な技術がある高岡漆器。彫刻、下地塗、色漆を用いたビアカップやそばお猪口、大碗、青貝塗の技法を用いた名刺入れ、螺鈿細工の携帯ストラップなどの商品が開発されており、「富山プロダクツ選定商品」(県内で企画、または製造される性能、品質及びデザイン性にすぐれた工業製品を選定)も多い。また、ガラスや竹などに漆塗りを施すなど、伝統の枠を打ち破る商品開発も進められている。

 このほか、越中和紙を使った独特の優しい光を灯す照明器具や、撥水・防汚処理を施した新たな和紙加工品も開発中。また、庄川挽物木地の技術を使って、美しい木目を活かした芯材から飲み物を入れる携帯用マイボトルを製作するなど、現代のニーズに合った商品の拡大が進められている。

 富山県商工労働部経営支援課では「富山県には、国指定の伝統的工芸品として、高岡銅器、井波彫刻、高岡漆器、庄川挽物木地、越中和紙の5品目があります。それぞれ伝統の心と技を守るとともに、新しい分野に挑戦する動きが活発になってきています。新感覚の商品、デザインに触れ、その魅力を感じてもらい、ぜひ暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか」と話している。




問い合わせ
●富山県商工労働部経営支援課
TEL.076-444-3249
FAX.076-444-4402
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1300/index.html

コメント

その他のトピックス

ページの先頭へもどる↑