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2009年 12月 2日 [ トピックス ]

No.432-1:美しい景観づくりに向けて


 海越しや市街地から見える雄大な立山連峰、世界遺産の五箇山合掌造り集落など、自然景観や歴史・文化的な景観に恵まれた富山県。「富山県景観条例」や「うるおい環境とやま賞」、「景観広告とやま賞」など、暮らしにうるおいや安らぎを実感できる景観づくりに向けた富山県の取り組みをクローズアップ。

▲うるおい環境とやま賞・土の賞に選ばれた
砺波郷土資料館


●「うるおい環境とやま賞」に砺波郷土資料館ほか

 海越しや市街地から見える雄大な立山連峰、世界遺産の五箇山合掌造り集落、高岡鋳物発祥の地・高岡市金屋町の町並みなど、自然景観や歴史・文化的な景観に恵まれた富山県。「富山県景観づくりフォーラム2009」が11月24日、富山県民会館で開催され、平成21年度の「うるおい環境とやま賞」と「景観広告とやま賞」の表彰式が行われた。

 富山県では、先人から受け継いだ貴重な財産ともいうべき、優れた景観を守り、暮らしにうるおいや安らぎを実感できる美しく快適な環境をつくるため、平成15年4月1日、富山県景観条例が施行された。「うるおい環境とやま賞」は、この条例に基づき、県内の優れた景観づくりを県知事が顕彰するもので、「土の賞」(地域の歴史や文化、自然などを守り、生かした景観づくり)、「風の賞」(新たな息吹を感じさせる景観づくり)、「水の賞」(水を効果的に活用した景観づくり)、「緑の賞」(花や緑を効果的に活用した景観づくり)、「光の賞」(地域への愛情に基づいた景観づくり活動)の5つの賞が設けられている。

 今年度の「うるおい環境とやま賞」には37件の応募があり、土の賞2件、風、緑、光の賞各1件が選ばれた。土の賞の「遊心亭 (株)ユニゾーン研修所」(砺波市)は、屋敷林に囲まれた吾妻建と呼ばれる伝統的家屋を改修したもので、砺波平野に広がる美しい散居景観の保存と再生の活動が行われているなかで地域の交流の場としても活用されているところが高く評価された。同じく土の賞に選ばれた「砺波郷土資料館」(砺波市)は旧中越銀行本店の建物で、和風の土蔵造の外観と洋風意匠の内装が融合した擬洋風建築。風の賞の「富山市まちなか賑わい広場“グランドプラザ”」(富山市)はガラス屋根をもつ明るく開放的な空間で、富山市中心部の新たな賑わいを創出している。緑の賞の「東福寺野自然公園」(滑川市)は富山湾や富山平野を一望する高台に広がり、自然の地形を生かした施設が特徴。光の賞に選ばれた「栃津川を愛する会」(立山町)は、洪水で流失した桜堤の復元をきっかけに、美化活動、地域の活性化に取り組んでいるグループ。水辺空間を生かしたイベントなど今後の取り組みが期待できる点も高く評価された。

●「景観広告とやま賞」、第2回大賞に「ちゃぶ有」

 屋外広告物は私有物であり、どのようなデザインにするかは広告主の自由な権利だが、誰もが見るものであり、景観としては“公共物”でもある。皆が気持ちよく生活できるように、景観に配慮したデザインを心掛ける必要がある。

 そこで富山県では、景観に配慮し、いきいきとしたまちづくりに寄与する屋外広告物を「景観広告」と位置付け。昨年3月に「富山県景観広告ガイドライン」を発行し、具体的な企画やデザインの手法、色彩計画などについて紹介。サインデザインなどへ活用してもらおうと普及を図っている。

 昨年度、景観に配慮された屋外広告物の普及を図るため、「景観広告とやま賞」を創設。第2回となる今年度は、応募53作品から景観広告大賞1作品、景観広告優秀賞3作品、景観広告賞9作品が決まった。景観広告大賞に選ばれた「ちゃぶ有」(富山市)は、富山駅近くにある飲食店。壁面を活かした店名の看板が昼は周辺景観に溶け込み、夜は光で浮かび上がる。昼と夜の演出、広告物としての時間の使い方が評価された。景観広告優秀賞には、工場の建築とサインがシンプルで景観にマッチした「YKK AP(株)黒部荻生製造所」(黒部市)、ブランド戦略を上手にサインに展開した「源 富山インター店」(富山市)、越中八尾おわら風の盆の舞台として、風を感じさせる暖簾による町並み景観づくりを地域ぐるみで展開した「上新町商店街」(富山市)が選ばれた。

 このほか、富山県では、山岳里山景観、海岸景観、田園景観、住宅地景観、歴史的町並み景観など、県全体の景観を7つのパターンに類型化し、建築物、土木構造物などの色彩に「避けたほうがよい色」、「おすすめの色」を提案する「富山県景観づくり色彩ガイドライン」も発行している。たとえば、山岳里山景観は、立山連峰からより身近な里山まで、周囲を傾斜地の緑に囲まれた山岳部の景観。豊かな自然の緑を生かし、緑の中にとけ込むような景観づくりが求められる地域としている。

 富山県土木部建築住宅課では「富山県景観条例の目的は、優れた景観の保全及び創造を図り、水と緑といのちが輝く美しい県土をつくること。立山連峰など豊かな自然景観、花や樹木など季節を印象づける四季の景観を眺望できる地点を“ふるさと眺望点”として指定しているので、富山ならではの景観をお楽しみください」と話している。



▲景観広告大賞に選ばれた「ちゃぶ有」


問い合わせ
●富山県土木部建築住宅課
TEL.076-444-9661
FAX.076-444-4423
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1507/kj00001771.html

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