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2009年 8月 19日 [ イベント ]
No.417-1:初秋の風に誘われて、越中八尾おわら風の盆へ
お盆が過ぎ、季節は徐々に初秋へと移ろいを見せている。9月1日(火)〜3日(木)の「越中八尾おわら風の盆」(富山市八尾町)ももう間近。はやる気持ちを抑え、まずは哀愁に満ちた唄と胡弓の音色に誘われて、前夜祭へ。そして風の盆本番を楽しむ富山の旅へ。
●8月20日(木)、鏡町から前夜祭
お盆が過ぎ、季節は徐々に初秋へと移ろいを見せている。9月1日(火)〜3日(木)の「越中八尾おわら風の盆」(富山市八尾町)ももう間近。はやる気持ちを抑え、まずは哀愁に満ちた唄と胡弓の音色に誘われて、「越中八尾おわら風の盆前夜祭」に出掛けてみてはいかがだろう。
今年の前夜祭は、8月20日(木)の鏡町から始まり、天満町、東新町・西新町、東町・今町、下新町、西新町、今町、上新町、福島、諏訪町・上新町と続き、30日(日)の西町・鏡町で11日間の日程を終える。毎晩(20:00〜22:00)一町内で町流しや輪踊りが開催されるが、土・日曜は2つの町内が会場となるので、はしごしながら美しい旋律と踊りを楽しむのもいいだろう。
八尾曳山展示館ホールでは、前夜祭ステージ(18:30〜20:00、入場1,500円)として、おわら風の盆を紹介した映像の上映や、富山県民謡越中八尾おわら保存会によるおわら踊り方解説が行われる。保存会による舞台上演を観賞できるのも魅力。踊りの手ほどきを受けて、各町の会場へ向かい、踊りの輪の中で八尾の人々と交流する体験が思い出を深めてくれる。
そして、9月に入り、おわら風の盆本番。心に染みる独特の唄声や、三味線、太鼓、胡弓の音色が流れ始めると、揃いの法被や浴衣姿に編笠をかぶった男女の踊りの列が街道から路地裏へ舞い集う。八尾曳山展示館前、越中八尾駅前、八尾ふらっと館前などに特設されたステージでの踊り上演も楽しみ。また、八尾小学校グラウンド特設演舞場では1日・2日に演舞会(有料)が開催される。
おわらの踊りは美しい。他の盆踊りのように発散する踊りではなく、情感を内に秘めて踊る「舞」に近いものがあるといわれる。種まきや稲刈りといった農作業の動きを手や指先で繊細に表現する豊年踊り、男衆が鍬の打ち込みや稲刈りなどの動きを力強く、しなやかに表現する男踊り、ホタルをとる仕草や髪すき、月を眺める仕草などを表わす女踊りと、優雅で情趣漂う踊りは観る者を一目で魅了する。また、哀調の旋律と唄も印象的。ゆったりとした風情に陰りある抑制、長い節を息継ぎせずに唄いあげて余韻を残す。粋と艶やかさを感じさせる民謡である。
●各町の衣装の違いを発見する楽しみ
おわら風の盆が開催される旧町と呼ばれる11の町には、それぞれ独自の衣装がある。たとえば、西町の青年男子の法被の背中には、同町曳山の神紋「三ツ蔓柏」。青年女子の浴衣の裾には亀甲模様が散らされている。東町の法被には、神紋「笹竜胆」。浴衣は抹茶色の地に橙色の市松模様で花も描かれている。他の町の帯は黒帯だが、東町だけは黒に金銀の市松模様で華やかな風情が漂う。下新町の法被には、宝珠紋「光琳玉」。浴衣は11町内で唯一原色の赤を地色に、袂と裾先に稲穂が染め抜いてある。衣装の違いを見てみるのもおわらの楽しみといえる。
旧町は、山の傾斜に石を積み上げ、安定させたその上に町並みが広がる坂の町。井田川に架かる禅寺橋方向から眺めると、石垣の町並みが空中に浮かんでいるかのように見えるからぜひその眺望も楽しんでほしい。坂の町ならではといえば、町内の通りの両側に設けられた「エンナカ」。雪流しの用水で、耳に心地よい水音を響かせる。おわらの音色とともに水音に心を癒すひとときも八尾の町を満喫する方法だ。
また、辻々にひっそりと佇む、おわら歌碑を訪ねてみるのも一興。野口雨情ら文人墨客が八尾を題材に詠んだ歌が、おわら名歌として碑に刻まれている。今年8月8日には、初代おわら保存会会長の川崎順二氏の銅像が八尾曳山展示館(越中八尾観光会館)前に建立された。おわらを育てた偉人の像に見送られながら、おわら観賞に出掛けるとしよう。
なお、おわら風の盆開催中は、交通規制で町内への一般車の進入は禁止される。富山市八尾スポーツアリーナ、富山市ゆめの森テニスコートに駐車場が設置されるので、ここに車を置き、連絡シャトルバスで会場付近まで行くことになる。駐車場は不足気味だから、できるだけ公共交通機関を利用したほうがいいだろう。
問い合わせ
●越中八尾観光協会
TEL.076-454-5138
FAX.076-454-6321
http://www.yatsuo.net/kankou/