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2008年 10月 1日 [ トピックス ]

No.372-2:伝統野菜「五箇山カブラ」の復活を目指して


 南砺市・五箇山で地域振興や特産品の開発などに取り組むNPO法人「雪峯(せっぽう)倶楽部」は、「五箇山カブラ」の復活を目指し、地元に伝わる在来種の栽培を手掛けている。県から農業関連事業の補助を受け、9月に世界遺産・菅沼合掌造り集落の休耕田にタネをまき、本格的に栽培を始めた。10月下旬から11月上旬にかけて収穫し、菅沼合掌造り集落の土産物店や五箇山合掌の里などで販売する。

▲昨年秋に収穫された五箇山カブラ

●肉質は緻密で、独特の甘み

 南砺市・五箇山で地域振興や特産品の開発などに取り組むNPO法人「雪峯(せっぽう)倶楽部」は、「五箇山カブラ」の復活を目指し、地元に伝わる在来種の栽培を手掛けている。県から農業関連事業の補助を受け、9月に世界遺産・菅沼合掌造り集落の休耕田にタネをまき、本格的に栽培を始めた。

 五箇山カブラは五箇山では古くから栽培され、県野菜協会選定の伝統野菜にもなっている。やや長円形で、表面は紅色だが、中身は真っ白。肉質は緻密で、独特の甘みがあり、一夜漬けや報恩講(親鸞聖人の忌日に行う仏事)の料理などに使われてきた。ただ、現在加工用に五箇山で主に栽培され、普及しているのは、形がやや平べったく身の堅い「飛騨カブラ」の品種。五箇山カブラは、土産用に甘酢に漬けてつくる赤かぶら漬けの素材としては身が柔らかすぎ、長期の保存に適さないからだ。

 そんな中、雪峯倶楽部では、長い年月をかけて育まれてきた食材の魅力を再発見し、特産化を図ろうと、五箇山の山間部、小瀬地区で五箇山カブラの在来種を守ってきた農家から2年前にタネを譲り受け、同地区の放棄田を耕してタネを増やした。昨年から採取したタネを用いて試験的に同地区で栽培を開始。収穫した一部を名古屋市内の百貨店などで販売したところ、口当たりの良さとみずみずしい甘みが好評で、すぐに完売したという。

●新たな五箇山ブランドに

 雪峯倶楽部では、今年は小瀬地区と菅沼合掌造り集落の2カ所で五箇山カブラの栽培に本格的に取り組み、10月下旬から11月上旬にかけて収穫を予定している。栽培にあたっては発芽前にしか農薬を使用しない低農薬の農法で、安全・安心の栽培に一番気を遣っている。収穫後は4~5束ずつにまとめ、菅沼合掌造り集落の土産物店や集落に隣接する五箇山合掌の里などで販売を予定。五箇山合掌の里で提供している報恩講料理の食材としても活用していく考えだ。

 雪峯倶楽部は平成18年3月に地元の有志で設立されたNPO法人で、メンバーは現在25人。今年7月に五箇山合掌の里を会場に「五箇山音楽祭」を催すなど、文化・観光振興や交流人口の拡大を目指している。

 雪峯倶楽部事務局では、「五箇山の澄み切った大気、この時期の寒暖の差が五箇山カブラに自然の甘みをもたらしてくれる。一夜漬けをはじめ、サラダ、酢の物、炊き上げにしても美味しい。五箇山でしか味わえない伝統野菜として復活させたい。東海北陸自動車道が全線開通し、五箇山が富山県側の玄関口となった。五箇山カブラなど、五箇山の特産品の魅力を県内外に発信していきたい」と話している。



問い合わせ
●雪峯倶楽部事務局(五箇山合掌の里内)
TEL.0763-67-3300
FAX.0763-67-3644

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