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2010年 2月 17日 [ トピックス ]

No.442-1:富山市ファミリーパーク、ライチョウの飼育・繁殖研究へ


 国の特別天然記念物であり、富山県の県鳥でもあるニホンライチョウの保護・増殖を最終目標に、富山市ファミリーパークが、東京都恩賜上野動物園と共同で、北極圏に生息するノルウェー産「スバールバルライチョウ」の飼育に取り組む話題や、黒部市に国際保護鳥・国特別天然記念物のトキが飛来し、特別住民票が交付されている話題も紹介。

▲スバールバルライチョウ(富山市ファミリーパーク提供)

●上野動物園に次ぐ、国内2例目の飼育

 国の特別天然記念物であり、富山県の県鳥でもあるニホンライチョウの保護・増殖を最終目標に、富山市ファミリーパークは、東京都恩賜上野動物園と共同で、北極圏に生息するノルウェー産「スバールバルライチョウ」の飼育に取り組む。

 3月に入って上野動物園へ職員を研修のため派遣し、3月中にスバールバルライチョウを借り受けして飼育を始める。当面は、バードハウス内で非公開で飼育し、状態が安定すれば、飼育状況を映像で公開。7月には上野動物園とともに、ノルウェーに職員を派遣し、生息地の調査や飼育研究施設の視察を行う。園内で飼育、繁殖技術を蓄積する計画だ。国内では、上野動物園に次ぐ飼育拠点となる。

 ニホンライチョウは、世界に16種類いるといわれているライチョウの仲間のうちの「ライチョウ」という種(23亜種いる)のなかの一亜種で、北アルプスなど本州中部の高山にのみ生息している。国内で3,000羽、富山県では1,300羽が生息していると推定されており、絶滅危惧Ⅱ種(環境省レッドリスト)に指定されている。

 一方、スバールバルライチョウも同じ種のなかの一亜種で、ニホンライチョウと生態などが似ている。上野動物園が平成20年にノルウェーから有精卵を譲り受け、国内で初めて人工ふ化に成功し、現在28羽を飼育している。富山市ファミリーパークでは、スバールバルライチョウの飼育・繁殖技術を確立することでニホンライチョウの飼育・繁殖技術の確立につなげ、保護ネットワークづくり、種の保存などを目指す。

 富山市ファミリーパークでは、「ニホンライチョウは地球温暖化の影響を受け始め、生息数の減少が危惧されている。ニホンライチョウが生息する北アルプスの地元にある動物園として、保護、増殖という役割を果たしていきたい。大学などの研究機関や自然保護団体などとネットワークを構築することも重要だ。また、今回取り組む、スバールバルライチョウの飼育、展示を通して、自然環境保全の重要性を啓発していきたい」と話している。

●ツシマヤマネコの飼育の拠点

 富山市ファミリーパークでは、開園以来、“日本の動物を飼育展示し、郷土の自然を伝える”をコンセプトに掲げ、種の保存にも取り組み、ニホンカモシカやニホンコウノトリなど、国の天然記念物や絶滅危惧種の動物の飼育で実績を重ねてきた。平成19年には、国の天然記念物で、国内希少野生動植物種に指定されているツシマヤマネコの飼育を、これまでの動物飼育の実績を環境省に認められて始めた。長崎県の対馬野生生物保護センター、福岡市動物園、井の頭自然文化園、よこはま動物園ズーラシアに続く、分散飼育の一拠点となっている。

 ツシマヤマネコは、ベンガルヤマネコの亜種で、長崎県・対馬にのみ生息。環境悪化などで野生個体の数はこの30年で3分の1までに激減し、100匹前後しか生存していない。一方、飼育個体は現在、38匹が国内施設で分散飼育されている。このうち、富山市ファミリーパークでは、現在、オス1頭、メス3頭が飼育されており、ヤマネコ舎でメス2頭を公開中。また、今年に入り、オス、メスのペアリングに向けて、お見合いが行われている。絶滅の危機にあるツシマヤマネコの個体を増やすため、ぜひペアリングに成功してほしい。

●トキに「トキメキ」の愛称! 黒部市から特別住民票交付

 新潟県佐渡島の佐渡トキ保護センターで誕生し、平成20年9月に放鳥された10羽のトキのうちの1羽が黒部市に飛来している話題も紹介しよう。昨年5月16日に飛来し、黒部市内の高木をねぐらに滞在。石田、生地地区の田んぼなどを主な餌場に活動している。

 黒部市では、地元小学生よりトキの愛称を募集し、“新潟から幸せを運び、黒部市でトキめいている”という意で「トキメキ」と決定。黒部市を飛来地に選んでくれたことに感謝の気持ちを込めて、昨年6月に特別住民票を交付するとともにトキ保護募金を呼びかけ、集まった107,238円を佐渡トキ保護センターへ寄附するなど、市を挙げて歓迎してきた。トキ色の美しい姿を見せるトキメキ。格好の被写体として、写真展が行われるなど、市民のアイドル的な存在となっている。

 地元では、環境省から選任されたトキボランティアモニター7名、黒部市が選任したトキメキボランティアモニター7名が、トキの行動確認、見学者へのマナーの普及・啓発、説明などの活動を行っている。

 黒部市農林整備課では、「黒部市は本州でトキが最も長く滞在している場所。清流や清水に恵まれ、田んぼでの餌が豊富なことなど、黒部市の豊かな自然環境を気に入ってくれたのかもしれない。トキに出会ったら、遠くから静かに観察するなど優しく見守ってほしい」と話している。


▲ツシマヤマネコ(富山市ファミリーパーク提供)


問い合わせ
「スバールバルライチョウ」、「ツシマヤマネコ」の飼育について
●富山市ファミリーパーク
TEL.076-434-1234
FAX.076-434-1208
http://www.toyama-familypark.jp

「トキメキ」について
●黒部市農林整備課
TEL.0765-54-2111
FAX.0765-65-9121
http://www.city.kurobe.toyama.jp/

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