イベント

アーカイブ

2011年 8月 3日 [ イベント ]

No.517-2:秋風と音色に誘われて、越中八尾おわら風の盆と前夜祭へ


 坂の町に胡弓、三味線の哀調の旋律と唄―。9月1日(木)~3日(土)、越中八尾おわら風の盆が、富山市八尾町で開催される。本番前の8月20日(土)~30日(火)、おわら風の盆前夜祭で一足早く、おわら節を堪能してみるのも晩夏の思い出づくりにおすすめだ。

●坂の町に数千のぼんぼり、まん灯

 坂の町に胡弓、三味線の哀調の旋律と唄―。9月1日(木)~3日(土)、越中八尾おわら風の盆が、富山市八尾町で開催される。本番前の8月20日(土)~30日(火)、おわら風の盆前夜祭で一足早く、おわら節を堪能してみるのも晩夏の思い出づくりにおすすめだ。

 前夜祭では11町のうち毎晩(20:00~22:00、雨天中止)、1町内(土・日曜は2町)で輪踊りや町流しが行われる。今年は、20日(土)の諏訪町・上新町から始まり、21日(日)西町・今町、22日(月)鏡町、23日(火)天満町、24日(水)東新町、25日(木)東町、26日(金)下新町、27日(土)西新町・東新町、28日(日)今町・東町、29(月)上新町、30日(火)福島の順で11日間のスケジュールが組まれている。

 八尾曳山展示館ホールでは、前夜祭ステージ(開演18:30~20:00、雨天決行)が実施される。風の盆映像上映やおわら踊り方解説、舞台でのおわら踊りが予定されているので、おわらについて学んだあとに、各町へ繰り出すと、おわらもさらに味わい深くなる。

 そして、9月1日~3日の風の盆本番。1日・2日は15:00~23:00(17:00~19:00は夕食・休憩のため、踊りは見学できない)、3日目は19:00~23:00に各町内で輪踊り・町流しが行われる。特設演舞場(1日・2日:八尾小学校グラウンド)での演舞会もお見逃しなく。

 美しい音色に合わせ、踊り手がときに格調高く、ときに勇壮に踊る。八尾の人々は、この3日間のために、1年を通して唄や踊り、楽器の稽古に励むという。おわらは暮らしの一部であり、地域や家族の絆を深める大切なものとなっている。

●優雅で品のある踊りに魅せられて

 おわらを生んだ背景とはなにか。それは、江戸時代に“富山藩の御納戸”と称されたほどの八尾の豊かな経済力だった。繁栄は、飛騨との交易や養蚕による収益、売薬用紙の販売などによるもので、豊かさを誇った八尾では、一家に一棹、三味線があったほど芸事が盛んに行われ、上方や江戸などの芸事の影響を受けながら、おわらが育まれてきたという。おわらに粋や艶やかさが感じられるのは、芸事をたしなんできた人々の想いや歴史が積み重なっているからだろう。

 人を引き付けるおわらの魅力として、三味線、胡弓が奏でる哀調の旋律と唄、盆踊りとは思えないほどの優雅で粋な踊りなどが挙げられる。ゆったりとした風情に陰りのある抑制、長い節を息継ぎせずに唄いあげることから生まれる余韻。胡弓が唄と絡み、三味線が独特のリズムを生み出していく。

 美しい踊りも魅力的。編み笠で顔を隠すことによって、手や腰の動き、踊りの姿が際立つ。種まきや稲刈りといった農作業の動きを手や指先を巻くように舞踊の要領で表現する豊年踊り、直線的な力強い動きの中にしなやかさをもつ男踊り、夏の河原で女性が蛍とりに興じる姿を表現した女踊り―。おわらの踊りは、他の盆踊りのように発散する雰囲気ではなく、情感を内に秘めて踊る「舞」に近いものがあるといわれる。風の盆期間中、曳山展示館でおわら踊り方教室が開催されるので、実際に体験してみるのも一興だ。

 秋風と黄金色に輝く田園の景観に誘われて、富山、八尾へ。切り立った石垣、坂道、造り酒屋、老舗旅館―おわらの舞台となる、江戸の趣を残す町並みを散策しながら、唄、踊り、音色を楽しんでみたい。




問い合わせ
●越中八尾観光協会
TEL.076-454-5138
FAX.076-454-6321
http://www.yatsuo.net/kazenobon/

コメント

その他のイベント

ページの先頭へもどる↑