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2011年 6月 8日 [ イベント ]

No.509-1:「立山博物館開館20周年記念特別企画展」開催


 富山県[立山博物館]開館20周年を記念した特別企画展「綜覧 立山曼荼羅―絵で知る立山信仰の世界―」<6月18日(土)~7月18日(月・祝)、富山県水墨美術館>、「綜覧 立山曼荼羅―こころをうつす 絵鏡―」<7月1日(金)~9月25日(日)・立山博物館>、公開シンポジウム「霊場のイメージと立山曼荼羅」<7月9日(土)・富山県民会館>が開催される。

▲『立山曼荼羅』吉祥坊本

●和宮とかかわりのある立山曼荼羅など、47作品を一堂に

 富山県[立山博物館]開館20周年を記念した特別企画展「綜覧 立山曼荼羅―絵で知る立山信仰の世界―」<6月18日(土)~7月18日(月・祝)、富山県水墨美術館>、「綜覧 立山曼荼羅―こころをうつす 絵鏡―」<7月1日(金)~9月25日(日)・立山博物館>、公開シンポジウム「霊場のイメージと立山曼荼羅」<7月9日(土)・富山県民会館>が開催される。立山博物館と水墨美術館の2会場に分けて展示を行うユニークな企画展。今夏、立山信仰と『立山曼荼羅』に触れるひとときを。

 『立山曼荼羅』とは、平安時代末期から江戸時代にかけて山岳信仰の一つとして注目を集めた「立山信仰」の世界観が凝縮した掛軸式絵画。上部には立山の山岳景観、阿弥陀三尊の来迎の様子、中央には閻魔大王や鬼などを描いた立山地獄、下部には立山山麓・芦峅寺で行われた女人救済儀礼・布橋灌頂会の様子などが描かれている。立山山麓の芦峅寺村や岩峅寺村の宿坊の衆徒は、江戸時代から昭和初期まで、『立山曼荼羅』を携えて全国を回り、人々に立山開山の由来や、立山地獄などの絵解きを行って、立山信仰を広めていった。

 「綜覧 立山曼荼羅―絵で知る立山信仰の世界―」では、『立山曼荼羅』吉祥坊本(絹本4幅)、宝泉坊本(絹本4幅)など、県内外で確認されている47作品が一堂に展示される。

 『立山曼荼羅』吉祥坊本(個人蔵、立山博物館寄託資料)は、仁孝天皇の第八皇女として生まれ、江戸幕府第14代将軍徳川家茂の正室となった和宮とかかわりがある作品で、和宮の法号「静寛院」にちなんで「静寛院本」とも称されている。慶応2年(1866)に芦峅寺吉祥坊と師檀関係を結んでいた江戸幕府老中の本多忠民(三河国岡崎藩主)が同坊に寄進したもの。忠民が、夫・家茂を亡くした和宮に対し、作品への布施といった形で家茂の追善供養をもちかけたものと推察される。作品の表の上部には和宮の寄付を示す識札、裏には家茂と和宮の法号を記した2枚の識札が、施主の代表者としての扱いで張り込まれている。

 宝泉坊本(個人蔵、立山博物館寄託資料)は、宝泉坊と師檀関係を結んでいた三河国西尾藩主松平乗全(松平和泉守)が、安政5年(1858)に既存の『立山曼荼羅』を自ら模写して制作し、のちに宝泉坊に寄進したものである。江戸城本丸や二の丸、徳川御三家のうちの尾張藩邸、紀州藩邸のほか、加賀藩邸などに順々に貸し出され、家茂や天璋院篤姫をはじめ、諸大名のあいだで礼拝・鑑賞された可能性が高いとされる。

●『立山曼荼羅』に溶け込む“こころ”をどう感じるか

 「綜覧 立山曼荼羅―こころをうつす 絵鏡―」では、霊山立山への畏敬と畏怖の心を巧みに描き出し、また向かう人々の心の内面を映す「鏡の絵」として機能した『立山曼荼羅』を、人々の心を解きほぐす絵画として位置づけ、江戸時代から現代に伝える心の世界を紐解く。

 “生前の悪事が映る”とされる閻魔大王の「浄玻璃鏡(じょうはりのかがみ)」、『立山曼荼羅』唯一の絵解き台本「立山手引草」(岩峅寺延命院蔵)、霊山立山を開山した慈興上人の坐像(国重文、芦峅寺雄山神社蔵)、『熊野観心十界図』、『立山曼荼羅』(複製、大仙坊A本、佐伯家本)など、貴重な資料を鑑賞することができる。

 公開シンポジウム「霊場のイメージと立山曼荼羅」では、西山克氏(関西学院大学教授)ら4人の研究者によるパネル報告、討論、山折哲雄氏(国際日本文化研究センター名誉教授・元所長)の特別講演が予定されている。

 なお、立山山麓・芦峅寺に建つ富山県[立山博物館]は、立山信仰の世界を『立山曼荼羅』やジオラマなどで紹介する施設。“展示館”をはじめ、3面大型スクリーンで立山信仰や『立山曼荼羅』を現代風に紹介する“遙望館”、地獄から浄土、現世までを疑似体験できる“まんだら遊苑”などが緑の中に点在する。

 富山県[立山博物館]では、「『立山曼荼羅』47点が一堂に展示されるのは初めて。各作品の構図や画像の意味を読み解き、立山信仰の世界をわかりやすく紹介します。『立山曼荼羅』を鑑賞した後は、立山博物館のある芦峅寺を歩いてみてはいかがでしょうか。『立山曼荼羅』に溶け込んだ“こころ”を、皆さんの“こころ”で感じてみてください」と話している。


▲慈興上人坐像


問い合わせ
●富山県[立山博物館]
TEL.076-481-1216
FAX.076-481-1144
http://www.pref.toyama.jp/branches/3043/3043.htm

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