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2011年 5月 11日 [ トピックス ]
No.505-3:「とやま文化財百選」事業 第7弾、『とやまの歴史的まちなみ』刊行
富山県教育委員会は「とやま文化財百選」事業の第7弾として、町並みや集落をテーマに「とやまの歴史的まちなみ百選」を選定し、ガイドブック(A5判・69頁・オールカラー)を刊行した。歴史的まちなみの特徴や見どころ、選定した104件について紹介。県のHP(富山県デジタル文化財ミュージアム・企画展示室)からPDFファイルをダウンロードすることができる。
●ふるさとの文化財の価値を再認識
富山県教育委員会は「とやま文化財百選」事業の第7弾として、町並みや集落をテーマに「とやまの歴史的まちなみ百選」を選定し、ガイドブック(A5判・69頁・オールカラー)を刊行した。“歴史的まちなみ”の特徴や見どころ、選定した104件について紹介している。
「とやま文化財百選」事業は、身近な文化財を対象に、郷土の誇りとして後世に受け継いでいくべきものを選定することで、ふるさとの文化財の価値を再認識し、地域ぐるみで保存・活用していくきっかけづくりとなることを目的にした取り組み。これまで、「土蔵」、「獅子舞」、「祭り」、「年中行事」、「お城」、「近代歴史遺産」をテーマとして取り上げてきた。
「とやまの歴史的まちなみ百選」は、市町村教育委員会と選定委員の推薦などを受けて、歴史的な建造物や町並みが良好に保存され、学術的に価値が高い等いくつかの選定基準をもとに選定。ガイドブックでは、新川、富山、高岡、砺波のエリア別に“歴史的まちなみ”(所在地、分類、概要、ポイント、マップ)を写真とともに紹介している。主な特徴を“歴史的建造物からなるまちなみ”(文化財、歴史的建造物のあるまちなみ)、“伝統的な行事が行われるまちなみ”(伝統の祭りや行事の舞台となるまちなみ)、“歴史的な街道や往来からなるまちなみ”(歴史的な往来、都市計画、農村整備などによるまちなみ)、“その他”(歴史的な事件や映画などの舞台となったまちなみ、海、山、丘陵からのまちなみのビューポイント)で分類したマークを添えている。このほか、建造物の構造、一覧表、県全体の簡単な位置図なども掲載している。
表紙の写真は、高岡市金屋町のまちなみ。金屋町は慶長14年(1609)の高岡の町立てにあたり、前田利長が鋳物師を招いて設けた職人の町。300mほどの通りに、木造切妻造り平入りの建物が軒を並べる。正面は格子戸、2階には白漆喰壁の美しい佇まいを見せ、独特の風情を醸し出している。
●歴史が息づく町並み散策へ出かけてみよう
北方が富山湾に面し、三方を山々に囲まれた富山県。3,000m級の峻峰から流れ下る急流河川によって形成された扇状地が、広大な富山平野を形成している。この地形的な特徴により、古代から地域間の移動と交易には、内陸河川を利用した舟運、日本海の海運、牛馬による陸運が使い分けられてきた。県内の町並みや集落はこうした交通の要衝に成立したものが多いという。
“内陸河川と歴史的まちなみ”の事例として挙げられているのが、小矢部川と千保川の合流地点にある高岡市木町。近世初期の高岡町立ての際、城下町建設のための木材などの集積場として設けられた町並みで、近世には舟運と陸運に関係する商人、町家が軒を並べた。現在も鍵字に折れ曲がる小路に建築物が密集しており、往時の賑わいを伝えている。
“港とまちなみ”の事例として、常願寺川河口の富山市水橋、神通川河口東岩瀬と四方、放生津潟の射水市八幡町周辺、小矢部川河口の伏木などには、北前船の廻船問屋が軒を並べ、往来に町屋が形成された。富山平野の農産物が積み出され、また北海道や上方の産物と情報が持ち込まれ、文化・情報の拠点となった町並みである。
加賀と越後へつながる北陸街道、飛騨とつながる飛騨街道、能登半島へ延びる海浜道など、人や牛馬が行き交った街道にも特徴的な町並みを見ることができる。朝日町境地区は、東西に走る北陸街道の両側に木造建築が建ち並ぶ集落。近世には加賀藩の境関所が設けられ、御旅屋、番所などがあったとされる。富山市猪谷地区は飛騨街道の西道の集落で、近世には、富山藩の西猪谷関所が設けられ、交通の要衝となっていた。路傍には石仏や石標が残されている。一方、東猪谷地区は、近世に加賀藩の東猪谷関所が設けられたところで、切妻造り平屋建ての民家が残る農村集落の佇まいを見せる。
また、富山県ならではの“歴史的まちなみ”として挙げられているのが、世界遺産の五箇山の合掌造り集落だ。急峻な谷間に棟を寄せ合い、背後の雪持林と組み合わさった景観は日本の農村の原風景を見るようだ。
このほか、曳山の通る御車山祭でも有名な高岡市山町筋、タテモン祭や米騒動発祥の地で有名な魚津市諏訪町周辺、おわら風の盆の舞台の富山市八尾町、曳山祭やむぎや祭が行われる南砺市城端などは、歴史的な出来事や祭り・行事の舞台として、独特の風情を漂わせている。
昭和の都市計画事業で整備された富山市中心部には、県庁も含め昭和初期の構造物が点在し、みどころの一つとして紹介されている。
『とやまの歴史的まちなみ』は、市町村教育委員会、公立図書館、美術館、博物館などに配布。県のホームページ、富山県デジタル文化財ミュージアム・企画展示室(http://www.pref.toyama.jp/sections/3009/3007/digital/index3.html)からPDFファイルをダウンロードして見ることもできる。
富山県教育委員会生涯学習・文化財室では、「県内には、歴史的まちなみが残っている地域が数多くあり、歴史や伝統が息づいています。現地を訪れ、歴史的まちなみの良さに直に触れてください」と話している。
●問い合わせ
富山県教育委員会生涯学習・文化財室
TEL.076-444-3456
FAX.076-444-4434
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/3009/