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2008年 7月 16日 [ トピックス ]

No.361-1:ものづくりのまち・高岡に「文化財修理工房」誕生


 (財)高岡地域地場産業センター(高岡市)に開設された「文化財修理工房」が本格的に稼働し、高岡御車山祭(5月1日)で曳き廻される御車山の車輪に施された飾り金具の修復が進められている。同センターでは、祭屋台や山鉾、獅子頭など文化財の修復を全国から受け入れていく考えだ。

●文化財の修復を全国から受け入れ

 (財)高岡地域地場産業センター(高岡市)に開設された「文化財修理工房」が本格的に稼働し、重要有形・無形民俗文化財に指定されている高岡御車山祭(5月1日)で曳き廻される御車山の車輪に施された装飾金具の修復が進められている。

 高岡御車山は、高岡の金工、漆工、染織などの優れた工芸技術の装飾が施された日本でも屈指の華やかな山車だ。合わせて7基あり、今回修復中なのが二番町の御車山。ほかの6基の車輪が4輪であるのに対し、二番町のものは2輪であることが特徴。輪の直径は2m5cmで、表面に龍や桐、菊、梅鉢などを形どった美しい飾り金具が施されており、御車山の金工品では白眉といわれている。

 車輪修復は昨年夏から始まり、昨年度に富山大学芸術文化学部内の作業場で漆工の作業を終了した。今年度は、新設された文化財修理工房で金具を修復。金工、漆工、木工、繊維の職人46名で組織する「高岡地域文化財等修理協会」のメンバーのうち、今回金工部会員3人が作業を担当し、これまでに車輪から金具を取り外して洗浄作業を終え、破損した金具の溶接、磨き、彫金などの修復作業に入っている。秋以降に作業を終えた金具の取り付けが始まる予定だ。

 重要民俗文化財に指定されている全国の祭屋台などの復元・修理は京都府や岐阜県高山、木曽地方などの専門技術者に依頼されることが多いが、金具の修復はこれらの地方の修理業者を経由して、高岡の伝統工芸の職人が手掛けることも多い。

 文化財修理工房は、金工、漆工などものづくりの技が受け継がれている高岡で修理全般を手掛け、新たな産業として確立し、高岡市の産業振興とイメージアップにもつなげることを目的に開設された。工房では、高岡御車山の車輪修復のほか、祭屋台や山鉾、神輿、獅子頭など文化財の修復を全国から受け入れていく考えだ。

●「地方の元気再生事業」に選定

 文化財などの修理メンテナンスの確立を目指す(財)高岡地域地場産業センターの取り組みが、内閣府の「地方の元気再生事業」にこのほど選定されたことも紹介したい。

 この「地方の元気再生事業」は、内閣府が地域活性化や再生を目的とするプロジェクトを公募。先導性・モデル性、持続性、複合性などに優れた提案を選定し、国の委託事業として実施するもの。同センターの「文化財・大型モニュメント等修理メンテナンス産業創出支援事業」は今年度、全国を対象に文化財や大型モニュメントなどの修理についての需要調査をはじめ、受発注システムの開発、情報発信、人材育成などに取り組む。

 (財)高岡地域地場産業センターでは「高岡には京都や高山などにも負けない伝統技術をもった職人集団がある。文化財修理工房が稼働し、センターが文化財の修理メンテナンスの依頼を全国から受け付けて、伝統工芸士らでつくる高岡地域文化財等修理協会に発注する仕組みが出来上がった。マーケットの調査を進め、需要を掘り起こしていきたい。修理メンテナンスを高岡の匠の技を生かした新たなビジネスとして育て、高岡の産業振興につなげていきたい」と話している。


▲龍の飾り金具


問い合わせ
●(財)高岡地域地場産業センター
TEL.0766-25-8283
FAX.0766-26-7323
http://www.takaokajibasan.or.jp/

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