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2007年 10月 10日 [ トピックス ]

No.321-1:世界文化遺産登録を目指し、「立山・黒部」を提案


 立山・黒部地域の世界文化遺産登録を目指し、富山県と富山市、黒部市、上市町、立山町は文化庁に「立山・黒部〜防災大国日本のモデル−信仰・砂防・発電−〜」と題した提案書を提出した。“山と水”をキーワードに、防災という視点から世界に例のない文化遺産であることをアピールしている。

●防災大国のモデルとして

 立山・黒部地域の世界文化遺産登録を目指し、富山県と富山市、黒部市、上市町、立山町は文化庁に「立山・黒部〜防災大国日本のモデル−信仰・砂防・発電−〜」と題した提案書を提出した。平成18年度から文化庁は世界文化遺産について、地方からの提案制度を設け、公募を始めた。県内からは昨年、「近世高岡の文化遺産群」が提案され継続審議となっており、今回の「立山・黒部」の提案は2件目。

 3,000m級の急峻な峰々が連なる立山・黒部地域は、世界的な豪雪山岳地帯。水深1,000mの富山湾最深部までわずか50kmの距離にあり、年間6,000mm超の降水は常願寺川や黒部川の急流河川となって富山湾に注いでいる。これら河川の下流域では、古くから頻繁に災害が発生し、甚大な被害がもたらされてきた。厳しい自然環境のなか、人々は自然に深い畏敬を念を抱いて信仰を育み、災害から暮らしを守るために砂防ダムなどの防災施設群を建設するなど、100年を超える国家的事業として砂防事業を続けてきた。また巨大な水の力をエネルギーに変換するため発電施設群を建設してきた。

 提案書では、「立山・黒部地域には、自然災害から暮らしを守り続けてきた人間の栄為を刻む資産が集約的に存在し、いわば自然災害に対する防災大国日本のモデルとして、世界でも類稀な山と水と人の織り成す文化的景観が形成されている」とまとめている。“山と水”をキーワードに立山砂防、立山信仰、電源開発という異なるジャンルを1つにまとめ、防災という視点から世界に例のない文化遺産であることをアピールしているのが大きな特徴だ。

●文化資産に含まれる文化財は33点

 文化資産は、「信仰−山と水を畏れ敬う資産」、「砂防−山と水を治める資産」、「発電−山と水を活かす資産」の3つで構成されており、資産に含まれる文化財として、国重要文化財で国内最古の山小屋「立山室堂」、立山信仰の里宮にあたる「雄山神社前立社壇本殿」、巨岩に不動明王坐像などを浮き彫りにした「大岩日石寺石仏」、日本一の重力式コンクリート砂防堰堤「白岩砂防堰堤」など、33点が挙げられている。

 県では、今年1月に「立山・黒部文化資産調査研究プロジェクトチーム」を設置し、6月には「世界文化遺産セミナー 〜立山・黒部の可能性を探る〜」を開催。7月に「立山・黒部地域の文化資産にかかる有識者懇談会」(座長:青柳正規国立西洋美術館館長)を設置し、懇談会や立山カルデラ、立山博物館などへの現地視察を行いながら、提案のコンセプトづくりを進めてきた。

 文化庁への公募には、今回、「足利学校と足利氏の遺産」(栃木県足利市)、「阿蘇−火山との共生とその文化的景観」(熊本県阿蘇市など)など、全国から13件の応募があった。昨年継続審査となった20件と合わせ、33件が世界文化遺産登録に向け、国の暫定リスト入りを目指す。

 富山県知事政策室地域振興課では「世界遺産登録への道は大変険しく、かつ長い道のりとなる。しかし立山・黒部は、水と渓谷の自然美に溶け込んで一体化した優れた文化的景観であり、防災大国日本のモデルとして、立山・黒部をアピールし、関係市町や県民の方々と一緒になって世界文化遺産登録を目指したい」と話している。



問い合わせ
●富山県知事政策室地域振興課
TEL.076-444-3949
FAX.076-444-4561
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1006/

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