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2007年 8月 22日 [ トピックス ]

No.314-1:ガウディの作品に高岡銅器の鐘!


 「アントニオ・ガウディの作品群」として世界文化遺産に登録されているスペイン・バルセロナにある「グエル邸」。その別邸の正門「龍の門」の鐘が、高岡市の銅器製造メーカー・小泉製作所によって復元された。

▲グエル別邸の正門「龍の門」の鐘

●グエル別邸の正門「龍の門」に取り付け

 「アントニオ・ガウディの作品群」として世界文化遺産に登録されているスペイン・バルセロナにある「グエル邸」。その別邸の正門「龍の門」の鐘が、高岡市の銅器製造メーカー・小泉製作所(小泉俊博社長)によって復元された。8月28日(火)には現地に届き、9月5日(水)に式典が行われる予定だ。

 グエル別邸の正門「龍の門」は、龍の独特の意匠が特徴で、ガウディの名を広めるきっかけになったといわれる。約120年前に製作され、門を飾っている鉄製の鐘は老朽化で音を響かせることができず、スペインの王立ガウディ研究室が昨年9月、同社に復元を依頼していた。出来上がった鐘は、現在の鐘と同じく、高さ・幅ともに約25cm。ただし、厚みは2倍の10mmに、材質は鉄から鐘本来の銅合金に変えて鋳造された。鐘の内部の打ち棒のおもりの直径と重量を大きくしたことも製作のポイントだ。
 
 鐘の音は、小泉社長の母校である中央大学理工学部の協力を得て、鐘の内側の形状によって変化する音の周波数をコンピュータで分析しながら調整を進めてきた。音色を決める要ともいえる切削加工は、2004年度高岡クラフトコンペ入選者の同社・石浦広行さんが担当し、重厚な響きのものと、澄んだ音色を響かせるものの2つの鐘を製作。王立ガウディ研究室で鐘を選んでもらうことにしている。どちらの鐘も聴く人の心に深く染み渡る音色。仏具である「お鈴」を手掛ける高岡銅器の職人の技と感性が生かされている。

●音色に乗せて、高岡銅器を世界へPR

 遠くスペインから鐘の復元依頼が寄せられたのは、建築家(工学博士)で、現地のガウディクラブ文化協会会長の田中裕也氏と小泉社長のつながりによるものだ。小泉製作所が2002年にガウディ生誕150周年記念として「カテナリーベル」(ガウディの残した史料やサグラダ・ファミリア聖堂に現存している試作実験用のベルなどを元に誠実に検証し製作)を商品化した際、田中会長に監修を頼んだことが親交を深めるきっかけとなり、昨年9月に小泉社長がバルセロナに住む田中会長を訪ねた折、ガウディ研究室長のホワン・バセゴダ・ノネール氏を紹介された。ガウディ研究の第一人者であるノネール室長が田中氏から高岡銅器の高い技術を聞いていたことから、小泉氏にその場で鐘の復元を依頼したという。小泉製作所では、鐘の図面から4分の1の縮尺モデルなどを試作しながら、実際のサイズや音色を検討してきた。
 
 小泉製作所では、「ガウディの作品に取り付けられる鐘の復元製作にかかわれたことは大変に名誉なこと。今回の依頼は不思議なご縁で舞い込んだもので、創業から約120年の当社にとって大きなチャンスをいただいた。ガウディの父親も銅器職人と聞いているので、本当に不思議なご縁を感じる。この鐘が高岡銅器の技を世界に広めるきっかけになれば幸いだ」と話している。


▲小泉製作所で製作した鐘(右)


問い合わせ
●小泉製作所
TEL.0766-63-6590
FAX.0766-63-6591
http://www.super.co.jp/

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