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2007年 5月 23日 [ トピックス ]
No.301-1:高岡鋳物発祥の地に、高岡市鋳物資料館オープン!
“さまのこ”と呼ばれる千本格子の町家と石畳が美しい町、高岡市金屋町。今日の高岡銅器・アルミ産業の源流、「高岡鋳物」の発祥の地として知られるこの町に「高岡市鋳物資料館」がこのほど開館した。職人が使っていた工具や鋳物製の鉄瓶、火鉢、鍋、灯籠、古文書など約300点が展示されており、高岡鋳物の歴史と伝統を紹介する町の小さな博物館といった雰囲気が漂っている。
●400年にわたる伝統産業の歴史に思いを馳せる
“さまのこ”と呼ばれる千本格子の町家と石畳が美しい町、高岡市金屋町。今日の高岡銅器・アルミ産業の源流「高岡鋳物」の発祥の地として知られるこの町に「高岡市鋳物資料館」がこのほど開館した。職人が使っていた工具や鋳物製の鉄瓶、火鉢、鍋、灯籠、古文書など約300点が展示されており、高岡鋳物の歴史と伝統を紹介する町の小さな博物館といった雰囲気が漂っている。
まずは、格子戸風のファサード(建築物の正面)を抜け、製鉄に使うたたらや、大型の梵鐘などを見ながら、奥にある第1展示室へ。印象的なのが、「鰐口(わにぐち)」だ。これは、寺院や神社の堂前の軒先に吊るし、参詣者が綱を振り動かして打ち鳴らす金属製の梵具。表に「奉掛 元禄九年 八月十五日 高岳金屋町」の銘があり、初期の高岡鋳物の鉄製品のなかで製作年代が判明している最も古い作品として市指定文化財となっている。重さは100kg以上あり、威風堂々の存在感がある。上部の桐紋、16弁の菊花をかたどったつき座など、美しい造形に思わず溜め息がもれる。
古文書では、仁安2年(1167)に発行された『仁安の御綸旨(にんあんのごりんじ)』(市指定文化財)の写しは必見。これは、高岡鋳物師の祖先が、河内国(現在の大阪府堺市)に住んでいたときに下賜された簡札で、鋳物師として仕事をすることを朝廷が認めたものだ。全国で鍋や釜、鋤、鍬などを販売することを命じ、そのため諸役を免除し、全国で通行の自由を保証する旨が書かれている。
第1展示室の中央にずらりと並んだ工具も見ごたえがある。鋳型面の仕上げに使用する「へら」や鋳型の角のなでつけに用いた「なでべら」、深い鋳型底面に落ちた砂やごみをすくい上げるときに用いる「ものあげ」など、鋳物職人たちが愛用した工具は独特の美しさが感じられる。いずれも自分の手になじむように手づくりされたものばかりという。特に、ヤスリのめたてに用いられた金槌のもち手は、長年の使用によるものか、指の力加減がわかるほどに変形しており、道具を大事に使った鋳物職人の思いが伝わってくる。
●鋳物職人の息づかいが聞こえる
金屋町通り側にある第2展示室では、砂鉄を木炭で還元して鉄、または鋼を作る日本古来の製鉄法「たたら製鉄」に使う大型のたたら(大型のふいご)が目を引く。たたらは溶解炉に強い風を送る道具で、軸に板を渡し、板の両端を交互に足で踏みおろして送風する。たたら場では8人の職人(板人)が両方に分かれて、天井から下げられた縄につながり、交互に板を踏んだ。このとき、板人頭が青竹の息杖(たたらの板を踏むときに体を支えた杖)でトントンと踏み板を叩いて拍子をとったという。この作業は一晩中続く重労働で、板人たちは疲れる体を元気づけるために弥栄節(やがえふ)という作業歌を口ずさんだ。
「河内丹南鋳物の起こり(ヤガエー) 今じゃ高岡金屋町エー(エンヤシャ ヤッシャイ) 今じゃ高岡金屋町エー(エンヤシャ ヤッシャイ) ‥‥中略‥‥ タタラ踏み踏みやがえふ唄うや(ヤガエー) 鉄も湯となる釜となるエー 鉄も湯となる釜となるエー ‥‥中略‥‥」。この弥栄節と踊りが観賞できるのが、毎年6月20日(加賀藩二代藩主、前田利長の命日)に金屋町で行われる「御印祭(ごいんさい)」だ。慶長16年(1611)、城下の産業発展のため、砺波郡西部金屋(現在の高岡市戸出西部金屋)に住んでいた鋳物師7人を金屋町に呼び寄せ、鋳物業を育て保護した利長に報恩の意をあらわすために、法被・鉢巻き姿に杖を持った町衆によって弥栄節が披露される。鋳物師の心意気を伝える勇壮な祭で、美しい町並みとともに町流しを見学したい。なお、19日は前夜祭で御印太鼓や弥栄節町流し、子ども奉納踊りが行われる。
高岡市教育委員会生涯学習課では「千本格子の古い町家が軒を並べる通りを散策しながら、鋳物資料館に立ち寄り、鋳物職人のまちであった金屋町の歴史や鋳物の世界に触れてほしい」と話している。
問い合わせ
●高岡市鋳物資料館
TEL&FAX.0766-28-6088
●高岡市教育委員会生涯学習課
TEL.0766-20-1452
FAX.0766-20-1644
http://www.city.takaoka.toyama.jp/sggs/