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2006年 12月 13日 [ トピックス ]

No.278-1:富山三尺、富山かぶ‥‥富山の伝統野菜、復活の動き


 地元の食文化や食材などの魅力再発見や地産地消の動きなど、食への関心が近年高まりを見せるなか、「富山三尺」、「富山かぶ」、「草島ねぎ」など、「富山の伝統野菜」を復活させようと、富山県内でも県農業技術センター・野菜花き試験所、県富山農業普及指導センターなどが生産農家とともに取り組んでいる。

▲富山三尺

●長さ50cm以上にもなるユニークなキュウリ「富山三尺」

 長い年月をかけてその土地土地で育まれてきた食文化や食材の魅力を再発見したり、地元で栽培された食材を地元で消費する“地産地消”の動きなど、食への関心が近年高まりを見せている。富山県内でも富山県農業技術センター・野菜花き試験所、県富山農業普及指導センターなどが「富山の伝統野菜」を復活させようと、生産農家とともに取り組んでいる。

 今夏、市場によみがえったのが「富山三尺」というキュウリ。これは、野菜花き試験所が砺波園芸分場時代に中国伝来のシベリア系キュウリの中から優良なものを選抜・独自に育成し、1952年に名称登録した富山県固有の品種で、その名前の通り、実の長さが50cm以上にもなるもの。歯切れがよく、そのまま食べても風味も豊かで昭和30年代には県内で広く栽培されていたが、実が曲がりやすく、収穫できる量も少ないことから栽培されなくなってしまった。

 県では2004年に農業生物資源研究所(茨城県つくば市)から種を譲り受け、翌年種の増殖に成功。今年、富山市日方江の生産農家や女性農業グループに栽培を委託し、約60株を育てたところ、60kgほどの収穫に結び付いた。皮がやわらかく、そのまま食べるほか漬物にも適しており、今後、新たな栽培方法や食べ方などを開発し、普及を図っていく考えだ。                      

●やわらかくて甘い「富山かぶ」、収穫

 富山市石坂の生産農家の畑で今年11月から収穫期を迎えているのが、復活した「富山かぶ」だ。直径7〜8cmの中かぶで、横に長い実の形が印象的。香気にすぐれ、実の肌が美しく、やわらかくて甘いのも特徴。11月〜2月に収穫する雪中どりの代表品種で、昭和38年1月に北陸地方を襲った三八豪雪のときには、「2m以上も積もった雪をはね除けカブラの収穫をし、トラックも通れない雪道をソリを使って市場へ出荷し、市場の関係者や市民に感謝された」(『石坂郷土史』)と記されているほどの地域の特産だった。しかし、病気に対する弱さ、形の嗜好などの理由や、新種のカブの登場で昭和50年代ごろから栽培されなくなっていた。

 また、大正時代まで栽培されていたが、それ以降途絶えていた「草島ねぎ」の栽培も始まっている。富山市百塚の農家で栽培されており、現在90cmほどの丈に成長。12月中旬から収穫され年明けまで続く予定となっている。葉鞘部がやわらかく、熱を加えると甘みが増すのも特徴。『草島校下郷土史』には、西暦50年ごろに渤海からこの地に渡ってきた武将が持っていた葱がこの「草島ねぎ」のルーツという記述がある。「このことが真実なら1900年以上の歴史を持つこととなる」と郷土史は紹介している。なんともロマンを感じさせる話だ。

 富山三尺、富山かぶ、草島ねぎのほか、枕型の大きなスイカとして知られる「黒部西瓜」、白いぼ系で歯ごたえがあり苦味も感じられる「三谷きゅうり」、小ナスで皮が薄くて甘みのある「天正寺なす」、肉質がやわらかく、独特の甘さがある「上島ねぎ」にも伝統野菜復活の期待がかかっている。

 富山県農産食品課では「富山県ならではの伝統野菜を復活させ、富山ブランドの育成と普及を図りたい。また、近年の消費者ニーズに対応した、すぐに食べ切れるミニ野菜のブームに合わせて新たに商品開発した、全長40cmの短葉性の白ネギ・ねぎたん♪(INT/No.261-2/8月16日紹介)、長さ20cmほどの雷鳥とうがんなど、特色のある野菜の普及にも力を入れていきたい。」と話している。


▲富山かぶ


問い合わせ
●富山県農林水産部農産食品課
TEL.076-444-3284
FAX.076-444-4410
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1613/

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