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2006年 10月 18日 [ トピックス ]

No.270-1:県民参加で森づくり! 「富山県森づくりプラン」策定


 森林面積が28万haと県土面積の3分の2を占め、植生自然度が本州一と評価されている富山県。今年6月に制定された「富山県森づくり条例」に基づき、森づくりを推進するための基本計画として「富山県森づくりプラン」がこのほど策定された。

●森林を里山林、保全林、生産林、混交林の4つに区分

 森林面積が28万haと県土面積の3分の2を占め、植生自然度が本州一と評価されている富山県。森づくりに関する施策を推進し、水と緑に恵まれた県土の形成と心豊かな県民生活の実現に寄与することを目的に、今年6月に「富山県森づくり条例」が制定され、県民全体で支える森づくりの推進に関する基本理念や「水と緑の森づくり税」についての規定などが定められた。そして、この条例に基づき、森づくりを推進するための基本計画として「富山県森づくりプラン」がこのほど策定された。

 プランでは「とやまの森づくり基本指針」として、森林の整備及び保全にあたっては、天然林を1.地域ニーズなどに対応した多様な里山の再生をめざす「里山林」、2.原則として自然の推移に委ね、保全・保護する「保全林」に、人工林を、3.地球温暖化防止と循環型社会に貢献する持続的な木材生産に重点を置く「生産林」、4.針葉樹と広葉樹を混在させることで長期的な木材資源の確保と公益的機能の維持・向上の両立を図る「混交林」に区分して取り扱い、森林の状態や立地条件に加え、地域ニーズなどを反映した多様な森づくりを目指すこととしている。

 森づくりの推進にあたっては、地域住民、森林所有者をはじめ、幅広い県民の参加がポイントとして掲げられている。たとえば、生活様式などの変化のために利用されなくなり、放棄されたことで暗くなった里山林を森林ボランティアなどの協力で手入れし、明るい林にすることで、多様な生物が共存する豊かな林や県民憩いの場となることを目指すという。

 富山県では、県民参加による森づくり活動の推進に向け、昨年10月に「とやまの森づくりサポートセンター」を設立。森づくり活動グループのネットワーク化や、草刈り用の大鎌やヘルメットなどの機器の貸し出し、活動フィールド情報の提供、森林ボランティアの施業技術の向上を目指した森づくり塾の開催などが進められており、県民参加の輪が広がっていることも特筆したい点だ。

 本プランは、平成19年度から平成28年度までの10年を1期とする計画。目標として、新たな取り組みによる森林整備面積については、里山林及び混合林の整備を2,000haとして設定。また、県民参加による森づくりの年間参加延べ人数については、平成28年に7,000人と、平成17年の1,672人の約4倍を目標にしている。

●「とやまの森づくり総合情報システム」を新たに構築

 森づくりのための新たな財源として、平成19年度から5年間、「水と緑の森づくり税」が導入されることも話題だ。個人が年間500円、法人は資本金などに応じて年間1,000〜4万円を負担することで、年間約3.3億円、5年間で約16.5億円の税収が見込まれる。

 新税は、「水と緑に恵まれた県土を支える多様な森づくりの推進」と「とやまの森を支える人づくりなどの推進」に充てられる。

 森づくりの推進は、里山林(モウソウ竹林を含む)、カシノナガキクイムシの被害木の伐採跡地などを対象に、野生生物との棲み分け、森林環境教育の場の提供など、地域や生活に密着した里山の再生整備を推進するほか、風雪被害を受けた人工林や過密となった人工林などを、スギと広葉樹の混交林へと誘導し、公益的機能の確保や景観の保全を図るものだ。

 人づくりなどを推進するためのものとして、とやまの森づくりサポートセンターなどによる森林ボランティア活動の支援、とやまの森づくり総合情報システムの整備、県産材の有効利用、提案型事業の創設などが掲げられている。

 注目は、新事業のとやまの森づくり総合情報システムの整備。このシステムは森林資源の現状や風雪被害林などの位置を県民に情報提供するための森林GIS(地理情報)システム。既存の森林情報データベースを地図、航空写真、森づくりの活動状況写真などと結び付けることで、森林情報の視覚的表示を高め、インターネットでの公開も可能となることから、森づくりへの県民の理解の醸成が図られることを期待している。

 富山県農林水産部森林政策課・森づくり推進班では、「多種多様な動植物が生息・生育する森林は、地球温暖化の緩和や洪水緩和、水資源貯留、水質浄化、土砂災害防止、レクリエーションの場の提供など、多くの機能を持つ。富山県の森林の公益的機能の評価額は年間約1兆1,210億円にもなる。県内の豊かな森林を守り育てるために、森づくりを県の施策の柱として位置付け、長期的に取り組むために、森づくりの基本理念や森づくりを支える税制度などを規定した富山県森づくり条例が制定された。今後は、広く県民の皆さんに、この条例に基づく県民全体で支える仕組みについてご理解をいただき、県民参加による豊かな森づくりを進めていきたい」と話している。



問い合わせ
●富山県農林水産部森林政策課 森づくり推進班
TEL.076-444-3385
FAX.076-444-4428
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1603/

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