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2006年 5月 10日 [ トピックス ]

No.247-2:「ものづくり・デザイン人材育成特区」と「黒部国際化教育特区」認定


 国の構造改革特区「ものづくり・デザイン人材育成特区」に認定された高岡市と、「黒部国際化教育特区」に認定された黒部市では、今年度から小学校や中学校などで新たな取り組みがスタートした。高岡銅器、漆器など“ものづくりのまち”高岡市では、「ものづくり・デザイン科」の授業を必修科目とし、伝統技術の継承やものづくり・デザインを担う人材育成を推進。

▲ものづくり・デザイン科の授業

●伝統工芸の職人らを講師に迎えた体験授業で、感性を育む

 国の構造改革特区に認定された高岡市と黒部市では、今年度から小学校や中学校などで新たな取り組みがスタートした。

 全国一のシェアを占める高岡銅器や、青貝塗りなどの技法をもつ高岡漆器、手の温もりあふれる菅笠などが伝わるものづくりのまち・高岡市。「ものづくり・デザイン人材育成特区」の認定(3月)を受けて、市内すべての小・中・養護学校で「ものづくり・デザイン科」の授業を必修科目とし、伝統技術の継承やものづくり・デザインを担う人材育成を推し進める。

 同科は小学5・6年生、中学1年生が対象。年間35時間(およそ週1回)のうちで、鋳造工芸や漆工芸などの伝統工芸、栽培・食品加工などの地域産業について見たり、触れたり、体験したりする授業が行われ、伝統工芸の職人ら、各産業の関係者も講師となる。授業を通して、児童・生徒が豊かな感性と郷土を愛する心を育み、ものづくりの素晴らしさとその道で精進を重ねる人々の生き方を学ぶことがねらいだ。

 高岡市内のある小学校では、4月に高岡市美術館で「人間国宝 大澤光民の全貌展--鋳金の技と美」展を見学。児童が鋳金家の大澤氏から直接作品の解説を受けたほか、後日工房を見学し、鋳物の工程や魅力を体感した。また別の小学校では、高岡漆器の工法や歴史を学習。6月には青貝塗りの実習として、下塗りや貝切り、貝むき、仕上げなどを学ぶ予定だ。「一つひとつの作業を丁寧にしたい」、「世界でたった一つの物になる。宝にしたい」など、子どもたちは実習を楽しみにしている様子。このほか、国吉リンゴの栽培や収穫、ジャムづくり、大豆栽培や豆腐づくり、チューリップ細工、菅笠づくりなど、農業・食品加工の授業を選択している小学校もある。    

 高岡市教育委員会学校教育課では「体験的な製作活動を通して、ものづくりの喜びを感じ、デザインセンスを養ってほしい。地場産業の活性化にもつなげたい」と話している。

●英会話でコミュニケーション! 国際交流の担い手を育成

 昨年11月に構造改革特区「黒部国際化教育特区」に認定された黒部市では、今年4月から市内すべての小学校(11校)、中学校(4校)で正式教科として「英会話科」の授業がスタートした。年間授業数は小学1・2年生で10時間(およそ月1回)、3〜6年生で35時間(およそ週1回)、中学校では全学年でいずれも35時間となっている。
 
 小学校では、初歩的な英語学習を体験することや、外国人とのふれあいなどを通じて、言語や文化への興味や関心を児童に持ってもらい、よき国際人としての素地を養うことを大きな目標に掲げている。小学1・2年生では「英語に触れる」、3・4年生は「英語に親しむ」、5・6年生は「英語を使う」をテーマに、歌やゲームなどの活動を通して、英語のリズムやイントネーションを体で感じ取り、楽しく英語にふれたり、基本的な英語表現に親しんだりする。5・6年生では、相手の話を聞き、学校や黒部について簡単な英語で伝えられることも望まれている。中学校では従来の英語の授業に加え、英会話の授業を設定。他国の文化を積極的に理解し、英語によるコミュニケーション能力の向上を図ることが大きな目標で、3年生では黒部などの身近な話題について、情報を交換したり、簡単な討論が可能な能力を身につけることが望まれている。
 
 4月下旬に小学校で初めて行われた授業では、外国人の英語指導助手(ALT)と日本人の英会話指導補助員が担任教師と連携して(ティームティーチング)英語での自己紹介などを教えた。子どもたちは名前や年齢、好きな芸能人などについて、目を輝かせながら話したという。授業では教科書を使わず、オリジナルのプログラムで進めるため、「あ--ありがとう お父さん--Thanks,Dad」、「い--生地の清水がじまんです--We are proud of the clear water in Ikuji」、「う--宇奈月温泉へ来てね--Please come to Unazuki Onsen」と黒部を題材にした英語カルタなど、新しい教材も作成されている。
 
 黒部市では、アメリカ・メーコン市、オランダ・スネーク市など海外の姉妹都市と交流を進めている。また、世界各地で事業展開する建材・ファスナーメーカーの事業所が市内にあることから海外からの訪問者や帰国児童・生徒も多く、市民レベルでの国際交流も盛んだ。黒部峡谷など、国際的にも通じる観光名所がある黒部市。国際感覚をもち、国際社会と地元に貢献できる児童・生徒の誕生が期待されている。


▲英会話科の授業


問い合わせ
<ものづくり・デザイン人材育成特区について>
●高岡市教育委員会 学校教育課
TEL.0766-20-1451
FAX.0766-20-1667
http://www.city.takaoka.toyama.jp/kyouiku/2010/

<黒部国際化教育特区について>
●黒部市教育委員会 学校教育課
TEL.0765-54-2111
FAX.0765-65-0899
http://www.city.kurobe.toyama.jp/

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