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2003年 6月 11日 [ トピックス ]

No.119-1:漫画『美味しんぼ』で描かれた富山の食文化


●富山の美味を追求

 人気漫画『美味しんぼ』(作:雁屋哲、画:花咲アキラ)の単行本84巻が発売された。漫画雑誌『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に連載中の『美味しんぼ』は食ブームの火付け役となった作品で、富山県新湊市出身の花咲アキラさんが作画を担当していることでも知られている。
 84巻では、同スピリッツで昨年5月から8回にわたり紹介された「日本全県味巡り富山編」を収載。「日本全県味巡り」は、日本の各地域に根ざした伝統的な食文化を読者に知ってもらおうと、各都道府県を巡り、各地の料理を取り上げている。
 富山編は「日本全県味巡り」の第5弾で、峻厳なる立山連峰、神秘の富山湾------日本の自然が凝縮した地、富山の生み出す美味を追求。富山の海の幸、山の幸と、豊かな素材を使った料理がふんだんに紹介されており、富山の食文化の素晴らしさを知ることができる。


●自然・風土への畏怖と感謝の心が富山の食文化を豊かなものに

 ストーリーを紹介しよう。主人公・山岡の「究極のメニュー」側と、海原雄山の「至高のメニュー」側が富山で勝負することになる。山岡は「富山から外に向けての発信が少ないのはなぜか」をテーマに掲げ、食文化の面から追求し、その理由を探りながら県内各地の味覚を取材。「富山では海沿い、山間部どこでも豊かな食文化が育まれており、さらに芸能・文化の面も多様。富山の人たちは自分達の暮らしに満足しており、これなら外部に興味を持つ必要もなく、発信する理由もない」と結論付ける。海原は、「河川の氾濫や豪雪など自然との闘い、立山信仰や浄土真宗などにみられる信仰心が県民の意志の強さ、伝統を守り続ける律儀さを育み、さらに、自然・風土への畏怖と感謝の心が富山の食文化を豊かなものにした」という考えを披露する。
 漫画では、ブリやホタルイカ、ます寿しなど富山を代表する素材・料理をはじめ、報恩講(法会)で供されるお膳や「ゲンゲ」といった県民になじみの薄い魚なども紹介されている。どの素材・料理も臨場感たっぷりに描かれており、深い味わいが想像できる。『美味しんぼ』を片手に、富山の食文化を探究する旅に出かけてみるのもいいだろう。

問い合わせ
●小学館・『週刊ビッグコミックスピリッツ』編集部
TEL.03-3230-5505

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