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2003年 7月 23日 [ トピックス ]
No.122-2:県内5地域が、農林水産業に関連する文化的景観・重要地域に選定
●日本人のふるさとや心の原風景にも通じる文化遺産
農地や林地などの「文化的景観」を調査していた文化庁の検討委員会では、全国から180カ所を重要地域として選び、保護と保存などを提言した報告書をまとめた。報告書では、農林水産業に関連する文化的景観を「きわめて地域色が豊かで身近な存在。日本人のふるさとや心の原風景にも通じる文化遺産」と位置付け。富山県内では、「砺波平野の散居村」、「黒部川扇状地」、「福岡町の菅田(すげた)と菅干」、「平村の茅場(かやば)と茅刈り風景」、「氷見市の大敷網(おおしきあみ)」の5地域が、複合景観や畑地景観など、4つの分野で選ばれた。
選定にあたったのは「農林水産業に関連する文化的景観の保存・整備・活用に関する検討委員会」で、2次の調査を経て全国2,311地域から180地域を重要地域として絞り込んだ。重要地域には、北海道・美瑛の丘陵や山梨県勝沼町のブドウ畑の畑地景観、川端康成の小説『古都』で知られる京都市北西部の北山杉の林業景観なども選ばれている。
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●「砺波平野の散居村」と「黒部川扇状地」、複合景観の分野で選定
土地利用や風土、伝統的産業などの複合景観の分野で選ばれた「砺波平野の散居村」では、広大な水田地帯に「カイニョ」と呼ばれる屋敷林で囲まれた家屋が点在し、独特の散村景観を形成している。春には水田に浮かぶように家々が点在し、秋には黄金色に彩られた田園と屋敷林の緑が美しい景観を見せる。砺波市夢の平・散居村展望台、井波町の閑乗寺公園、福光町の医王山国見ヒュッテなどが、散居村のよく見える場所だ。
砺波平野の散居村と同じく、複合景観の分野で選ばれた「黒部川扇状地」は、黒部川の度重なる洪水と向き合いながら土地利用が行われてきたことを今に伝える景観として評価された。北アルプスを水源とする急流河川・黒部川によってできた半円状の扇状地は、勾配が大きく、分流が多いため、古来「黒部四十八カ瀬」と呼ばれた。扇頂から扇端まで長さ約13.5kmと日本一の規模を誇り、洪水から生活を守るための堤防や、水田を潤す水路、散村風景などが見られる。黒部川扇状地を高台から眺められる場所として、入善町の舟見山自然公園や黒部市の宮野運動公園などをおすすめしたい。
「福岡町の菅田と菅干」は、畑地景観の分野で選定された。福岡町は全国シェアの約90%を占める菅笠の特産地で、材料となる菅草の栽培から菅笠づくりまで一貫して行われている。菅笠づくりの歴史は400年以上。小矢部川左岸の川西地区一帯では、9月に苗を田に植え、翌年7月に1m以上も背丈の伸びたスゲを刈り取り、白くなるまで天日で干す風景が広がる。「平村の茅場と茅刈り風景」は草地景観の分野での選定。カヤは合掌造り家屋の大屋根に葺かれる植物で、五箇山の厳しい自然環境から建物を守るために欠かせないもの。茅場は世界遺産・相倉合掌造り集落周辺の山の斜面にうっそうと広がり、森林組合の手によって秋の刈り取りや乾燥、管理が行われている。漁場景観・漁港景観・海浜景観の分野で選ばれた「氷見市の大敷網」。氷見沖2〜4kmの富山湾に張られた大規模な定置網と青い海、海上にそびえる立山連峰の眺めは、寒ブリなどで知られる魚都氷見を象徴する景観となっている。
問い合わせ
●文化庁文化財部記念物課
TEL : 03-3581-1726