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2004年 6月 9日 [ トピックス ]
No.147-1:「共生」を視点に環日本海地域を見つめよう−シリーズ第4集『日本海学の新世紀−危機と共生』発刊〜3名様にプレゼント
●国家や人間、自然が「共生」できる方策を探る
富山県が提唱する「日本海学」に関する論文やエッセイなどをまとめたシリーズの第4集『日本海学の新世紀−危機と共生』が、富山県国際・日本海政策課と日本海学推進機構の企画で、角川書店から発売された。(税別1,300円)
日本海学とは、環日本海地域全体を、日本海を共有する一つのまとまりのある圏域としてとらえ、過去・現在・未来にわたる人間と自然とのかかわり、そして地域間の人間と人間とのかかわりを、「循環」「共生」「日本海」の視点から総合学として学際的に研究しようとする学問。もともとこの地域には、多様な民族、言語、文化、経済状況、産業構造などが存在しており、一つの圏域としてまとまりにくい面がある。シリーズ第4集となる本書では、地域がその多様性により、交流によってお互いに魅力を認め、高めあうことができるとし、特に「共生」の視点から日本海を見つめ、国家や人間、自然が共生できる方策を探っている。
本書はA5判、318頁。口絵の日本海沿岸の酸性雨のph分布図や、シベリア・アラス湖周辺での森林火災の様子などが目を引く。また、県作成の「環日本海諸国図」(逆さ地図)からは、日本が島国という見方ではなく、北東アジア、環日本海という領域に位置していることをイメージすることができる。
本書の前半は、昨年11月に京都市で開催された日本海学シンポジウム「日本海の平和」と昨年8月に富山市で開催された日本海学夏季セミナー・講演「日本海学とグローカル・ヒストリー」を収録。後半は、「危機と共生」を大きなテーマに専門家18人が寄稿した論文やエッセイを掲載し、環日本海地域の政治・経済・文化、環境汚染の現状と保全への取り組み、水産業と農林業の共生といった多面的なアプローチからの提言をまとめている。
●富山県は地域漁業管理機関創設のリーダー的な役割を
後半の「危機と共生」の寄稿で特にユニークなのが、中国政府国務院発展研究中心企業研究所研究官・副教授の馬淑萍氏の「環日本海のリーダーと大学院」と、鹿児島大学教授・松田惠明氏の「環境問題をリードする水産業」。馬淑萍氏は、北京や上海といった都市部と農村部に住む人の社会的な差別など、あまり紹介されることのない中国社会の現状をはじめ、人口の移動を制約する戸籍制度、国有企業を代表とする単位体制、子弟の縁故採用、親戚重視などを取り上げている。また、市場経済の中で育った若いエリートは欧米に大きな関心を持っているとして、環日本海地域での日中共同政策立案などを実行し、人材の育成や経済問題の協調解決などが必要である、と提案している。
松田惠明氏は、中国・大連から福健省にかけての沿岸海域1,300kmでのコンブなどの海藻類養殖による人工海中林を取り上げ、これをモデルにした鹿児島県や沖縄県など全国各地での「海の森づくり運動」を紹介。コンブなどの海藻類の経済効果や環境浄化・天然の藻場造成の役割を挙げたうえで、日本海の中心という地理的条件に恵まれた富山県には「海の森づくり運動」を展開する地域漁業管理機関創設のリーダー的な役割が期待されている、と提言している。
なお、発刊を記念し、この『日本海学の新世紀−危機と共生』を3名様にプレゼントします。電子メールに、郵便番号・住所・氏名・電話番号、記事を読んでのご感想をご記入のうえ、表題を「日本海学希望」と明記してkoho1@pref.toyama.lg.jpへお送りください。締切りは6月13日(日)。(発表は発送をもって代えさせていただきます。)
問い合わせ
●富山県生活環境部国際・日本海政策課
E-mail : adm@nihonkaigaku.org
TEL.076-444-8650
FAX.076-444-8694
http://www.nihonkaigaku.org/